【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

TPP条約承認は2016年通常国会の見通し

2015年10月09日 22時53分35秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 甘利明TPP相は、平成27年2015年10月9日(金)放送の、NHKニュースのインタビューで

 「いま交渉参加各国が法的な整合性を審査していて、それが終わり次第、署名の準備ができてくる。アメリカは署名する3か月前までに議会に協定内容を通知するルールがあるので、アメリカの署名は少なくとも来年1月以降になる」

 「各国の署名の後、国会に提出することになるが、それぞれの国ができるだけ直近の国会に提出して承認を得る作業に入っていくと思う」

 と語りました。

TPPの国会承認要請は1月以降

 担当大臣が明言したことから、条約の承認は来年1月以降になります。

 議案は「TPP条約の締結について、日本国憲法第73条第3項ただし書きの規定に基づき、国会の承認を求める。理由 政府はTPP条約に署名した。よって、この条約を締結することといたしたい。これが、この案件を提出する理由である」だけになるようです。(浅野一郎・河野久編「新・国会事典」有斐閣参照)

 条約の承認案件が国会で否決されたり、修正されたりしたことは過去にありません。条約本体の日本語訳は、付属文書として扱います。このため国会審議中に仮訳の直しなどが入っても、それ自体が大きな問題にはならないようです。

 ただ、TPPの大筋合意文書の第30章では「大筋合意12か国のうち、その合計のGDPの85%を占める6か国以上の批准」により発効することになっています。このため、アメリカが批准しなかれば、TPPは発効しないことになります。

●第190回秋の臨時国会は、まず衆議院本会議で議院運営委員長の選出からーー

 一方、第3次安倍第1次改造内閣で、衆議院議院運営委員長の林幹雄さんが経産相、衆議院内閣委員長の井上信治さんが環境副大臣、参議院厚生労働委員長の丸川珠代さんが環境相、参議院環境委員長の島尻亜伊子さんが沖北相になり、辞職しました。この後任人事の本会議が必要になるため、2016年秋の第190回臨時国会は必ず開かれることになります。ただ1日だけで終わることも可能ですが、たとえば河野太郎・防災担当大臣の所信表明とそれへの一般質疑をしないまま、年を越すのは政府与党からしても得策ではないと考えられます。

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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強姦罪など性犯罪の罰則強化、非親告罪化など、刑法改正案は2016年秋以降提出へ 法相諮問

2015年10月09日 18時53分46秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 岩城法相は平成27年2015年10月9日(金)、法制審議会総会で、「性犯罪に対処するための刑法の一部改正に関する諮問をしました。

 平成16年改正刑法の衆議院法務委員会の附帯決議「4 性的自由の侵害にかかる罰則は、強盗罪などの法定刑との均衡を考慮して、検討する」などをもとに、第2次安倍内閣の松島法相(当時)が昨年10月に設けた「性犯罪の罰則に関する検討会」の最終とりまとめを受けたものです。

 法案提出の具体的なめどの明示はありませんが、提出は2016年秋の臨時国会以降になると予想されます。

 まず現行刑法では、第22章「わいせつ、姦淫(かんいん)および重婚の罪」を定めています。第174条から第184条まで。

 公然わいせつ、続いて、わいせつ物頒布(はんぷ)、強制わいせつ、強姦(ごうかん)、準強制わいせつおよび準強姦、集団強姦。そして、これらの未遂罪。さらに、強制わいせつ致死傷、淫行勧誘(いんこうかんゆう)、重婚(じゅうこん)を定めています。

 強姦罪(刑法177条)は、暴行または脅迫を用いて、13歳以上の女子を姦淫した場合に成立するとし、13歳未満の女性に対しては、手段のいかん、同意の有無を問わず、姦淫した場合は成立します。懲役3年以上。未遂も処罰されます。

 法制審のたたき台となる、検討会の最終とりまとめは、ヒアリングをへて、次のように論点を整理しています。

 ・強姦罪と強姦致死傷罪の法定刑を引き上げる方向の意見が多数だった。

 ・非親告罪化すべし。現行法で親告罪とされていることで、立件、訴追という手続きでの責任やイニシアチブが被害者に負わされており、心理的負担になっている。

 ・肛門性交と口淫を、姦淫行為として取り扱うことに反対は少なかった。

 ・手指や異物の膣・肛門への挿入は、姦淫行為として取り扱うことには反対が多数だった。

 ・陰茎を膣・肛門に挿入する行為に加えて、挿入させる行為についても処罰することに、肯定的な意見が比較的多かった。

 ・地位または関係性を利用した性的行為に関する何らかの規定を設けるべきとの意見が多数を占めた。

 その一方、

 ・配偶者間の強姦罪の成立については、とくだん明文化の必要はないとの意見が多数を占めた。

 ・性向同意年齢の引き上げについては、いずれかの意見が多数を占めるには至らなかった。

 としており、法改正はないと思われます。

 以上のとりまとめに、法相が「強姦罪と強盗罪が同一に行われた場合の規定の整備」を加えて、諮問しました。

 前法相は記者会見で「スケジュールもあわせて審議してほしい」としており、国会への改正法案提出までにはかなり時間がかかるかもしれません。意見がある人は今のうちに法務省に届けた方が、数年後と思われる法案採決に前後して反対運動をするよりも、強い政策実現力を持てるでしょう。

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