【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

原発即時ゼロをうたう左翼リベラルはお花畑から卒業を、中川雅治環境大臣「世界の流れだ」と中国電力の石炭火力発電所の建設ストップ、ガス発電所の効率化促す

2018年01月12日 23時39分57秒 | 法律の執行状況

[写真]中川雅治環境大臣の後援会活動用ポスター、2015年、東京都内で筆者・宮崎信行撮影。

 我が国の電源構成をご存じでしょうか。石炭火力発電が3割を超えていますが、原発はわずか5%未満。

 我が国が直面する、環境問題と産業問題で大事なのは、安いけど大気を汚す石炭火力から、環境への配慮や高効率化が進む、石油火力発電や、LNG液化天然ガス発電所へのシフトにほかなりません。

 昨年8月に初入閣した、中川雅治環境大臣(自民党、参議院東京)は、きょう平成30年2018年1月12日(金)中国電力に対して、
三隅発電所(島根県浜田市)2号機の石炭火力発電機増設にストップをかけました。

 環境影響評価・環境アセスメント法と、電気事業法にもとづく、大臣意見を出し、環境省ホームページに掲載されました。この中で、気候変動枠組に関するパリ協定(昨年国会承認され発効)が発効されたとし、電力業界は二酸化炭素を削減する必要があると明示しました。そして、石炭火力発電について、天然ガス発電と比べて、温室効果ガス排出係数が約2倍だ、と指摘しました。そして、諸外国においては官民問わず石炭火力発電及を抑制する流れがある、と指摘しました。そして、「本計画が容認されるためには、所有する低効率の火力発電所の休廃止・稼働抑制及びLNG火力発電所の設備更新による高効率化など2030年度のベンチマーク指標の目標達成に向けた具体的な道筋の明確化」が必要だと釘をさしました。

 中国電力は、今持つLNG火力発電所の設備更新が可能かどうか、改めて検討しなくてはならなくなった、ということだと考えます。ですから、石炭火力発電所増設にきょうのところは、待ったがかかったということだと思います。

 電力会社の貸借対照表上、核燃料は固定資産となっています。ですから、即時ゼロとなると、これが負債になるでしょう。会社の事業継続性にかかわります。廃炉するにも、会社の事業継続性が必要。

 私は、とくに、アメリカがシェール革命で不要になった石炭を我が国に安く輸出してくれるので、日本の会社が喜んで使うということになると、半世紀前のウランと同じ構図にみえてなりません。

 中川大臣の言う通り「諸外国の流れ」は石炭火力の抑制です。

 いつまでも、原発即時ゼロ、などと言っていると、時代の流れという階段を転げ落ちます。

(C)2018年、宮崎信行。

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天皇陛下退位はいつ?即位はいつ?[皇室典範特例法の施行日]政令で決まる

2017年12月13日 23時02分54秒 | 法律の執行状況

 天皇陛下のご退位を可能とした「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」(平成29年6月16日法律63号)の施行日が決まりました。法律は「この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」としていましたが、

 平成31年(2019年)4月30日(火)に施行する、との政令が先週の閣議で決定し、きょうの官報に載りました=上記スクリーンショット=。

 これで、

 今の天皇陛下、平成の明仁さまは、

 再来年、2019年4月30日(火)にご退位され、


[写真]今の天皇陛下、平成の明仁さま、2009年9月、国会正門付近で筆者・宮崎信行撮影。

 今の皇太子殿下、徳仁・現殿下が、

 2019年5月1日(水)に新しい天皇陛下に即位することになりました。

以下は法律の全文です。

 

[法律全文の引用はじめ]

天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年 6月16日法律63号)

 (趣旨)

第一条 この法律は、天皇陛下が、昭和六十四年一月七日の御即位以来二十八年を超える長期にわたり、国事行為のほか、全国各地への御訪問、被災地のお見舞いをはじめとする象徴としての公的な御活動に精励してこられた中、八十三歳と御高齢になられ、今後これらの御活動を天皇として自ら続けられることが困難となることを深く案じておられること、これに対し、国民は、御高齢に至るまでこれらの御活動に精励されている天皇陛下を深く敬愛し、この天皇陛下のお気持ちを理解し、これに共感していること、さらに、皇嗣である皇太子殿下は、五十七歳となられ、これまで国事行為の臨時代行等の御公務に長期にわたり精勤されておられることという現下の状況に鑑み、皇室典範(昭和二十二年法律第三号)第四条の規定の特例として、天皇陛下の退位及び皇嗣の即位を実現するとともに、天皇陛下の退位後の地位その他の退位に伴い必要となる事項を定めるものとする。

 (天皇の退位及び皇嗣の即位)

第二条 天皇は、この法律の施行の日限り、退位し、皇嗣が、直ちに即位する。

 (上皇)

第三条 前条の規定により退位した天皇は、上皇とする。

2 上皇の敬称は、陛下とする。

3 上皇の身分に関する事項の登録、喪儀及び陵墓については、天皇の例による。

4 上皇に関しては、前二項に規定する事項を除き、皇室典範(第二条、第二十八条第二項及び第三項並びに第三十条第二項を除く。)に定める事項については、皇族の例による。

 (上皇后)

第四条 上皇の后は、上皇后とする。

2 上皇后に関しては、皇室典範に定める事項については、皇太后の例による。

 (皇位継承後の皇嗣)

第五条 第二条の規定による皇位の継承に伴い皇嗣となった皇族に関しては、皇室典範に定める事項については、皇太子の例による。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条並びに次項、次条、附則第八条及び附則第九条の規定は公布の日から、附則第十条及び第十一条の規定はこの法律の施行の日の翌日から施行する。

2 前項の政令を定めるに当たっては、内閣総理大臣は、あらかじめ、皇室会議の意見を聴かなければならない。

 (この法律の失効)

第二条 この法律は、この法律の施行の日以前に皇室典範第四条の規定による皇位の継承があったときは、その効力を失う。

 (皇室典範の一部改正)

第三条 皇室典範の一部を次のように改正する。

  附則に次の一項を加える。

   この法律の特例として天皇の退位について定める天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成二十九年法律第▼▼▼号)は、この法律と一体を成すものである。

 (上皇に関する他の法令の適用)

第四条 上皇に関しては、次に掲げる事項については、天皇の例による。

 一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第二編第三十四章の罪に係る告訴及び検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の規定による検察審査員の職務

 二 前号に掲げる事項のほか、皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)その他の政令で定める法令に定める事項

2 上皇に関しては、前項に規定する事項のほか、警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)その他の政令で定める法令に定める事項については、皇族の例による。

3 上皇の御所は、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成二十八年法律第九号)の規定の適用については、同法第二条第一項第一号ホに掲げる施設とみなす。

 (上皇后に関する他の法令の適用)

第五条 上皇后に関しては、次に掲げる事項については、皇太后の例による。

 一 刑法第二編第三十四章の罪に係る告訴及び検察審査会法の規定による検察審査員の職務

 二 前号に掲げる事項のほか、皇室経済法その他の政令で定める法令に定める事項

 (皇位継承後の皇嗣に関する皇室経済法等の適用)

第六条 第二条の規定による皇位の継承に伴い皇嗣となった皇族に対しては、皇室経済法第六条第三項第一号の規定にかかわらず、同条第一項の皇族費のうち年額によるものとして、同項の定額の三倍に相当する額の金額を毎年支出するものとする。この場合において、皇室経済法施行法(昭和二十二年法律第百十三号)第十条の規定の適用については、同条第一項中「第四項」とあるのは、「第四項並びに天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成二十九年法律第▼▼▼号)附則第六条第一項前段」とする。

2 附則第四条第三項の規定は、第二条の規定による皇位の継承に伴い皇嗣となった皇族の御在所について準用する。

 (贈与税の非課税等)

第七条 第二条の規定により皇位の継承があった場合において皇室経済法第七条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物については、贈与税を課さない。

2 前項の規定により贈与税を課さないこととされた物については、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第十九条第一項の規定は、適用しない。

 (意見公募手続等の適用除外)

第八条 次に掲げる政令を定める行為については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第六章の規定は、適用しない。

 一 第二条の規定による皇位の継承に伴う元号法(昭和五十四年法律第四十三号)第一項の規定に基づく政令

 二 附則第四条第一項第二号及び第二項、附則第五条第二号並びに次条の規定に基づく政令

 (政令への委任)

第九条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

 (国民の祝日に関する法律の一部改正)

第十条 国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)の一部を次のように改正する。

  第二条中

春分の日

春分日

自然をたたえ、生物をいつくしむ。

 を

天皇誕生日

二月二十三日

天皇の誕生日を祝う。

 

 

春分の日

春分日

自然をたたえ、生物をいつくしむ。

 に改め、「天皇誕生日 十二月二十三日 天皇の誕生日を祝う。」を削る。

 (宮内庁法の一部改正)

第十一条 宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)の一部を次のように改正する。

  附則を附則第一条とし、同条の次に次の二条を加える。

 第二条 宮内庁は、第二条各号に掲げる事務のほか、上皇に関する事務をつかさどる。この場合において、内閣府設置法第四条第三項第五十七号の規定の適用については、同号中「第二条」とあるのは、「第二条及び附則第二条第一項前段」とする。

 2 第三条第一項の規定にかかわらず、宮内庁に、前項前段の所掌事務を遂行するため、上皇職を置く。

 3 上皇職に、上皇侍従長及び上皇侍従次長一人を置く。

 4 上皇侍従長の任免は、天皇が認証する。

 5 上皇侍従長は、上皇の側近に奉仕し、命を受け、上皇職の事務を掌理する。

 6 上皇侍従次長は、命を受け、上皇侍従長を助け、上皇職の事務を整理する。

 7 第三条第三項及び第十五条第四項の規定は、上皇職について準用する。

 8 上皇侍従長及び上皇侍従次長は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条に規定する特別職とする。この場合において、特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号。以下この項及び次条第六項において「特別職給与法」という。)及び行政機関の職員の定員に関する法律(昭和四十四年法律第三十三号。以下この項及び次条第六項において「定員法」という。)の規定の適用については、特別職給与法第一条第四十二号中「侍従長」とあるのは「侍従長、上皇侍従長」と、同条第七十三号中「の者」とあるのは「の者及び上皇侍従次長」と、特別職給与法別表第一中「式部官長」とあるのは「上皇侍従長及び式部官長」と、定員法第一条第二項第二号中「侍従長」とあるのは「侍従長、上皇侍従長」と、「及び侍従次長」とあるのは「、侍従次長及び上皇侍従次長」とする。

 第三条 第三条第一項の規定にかかわらず、宮内庁に、天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成二十九年法律第▼▼▼号)第二条の規定による皇位の継承に伴い皇嗣となつた皇族に関する事務を遂行するため、皇嗣職を置く。

 2 皇嗣職に、皇嗣職大夫を置く。

 3 皇嗣職大夫は、命を受け、皇嗣職の事務を掌理する。

 4 第三条第三項及び第十五条第四項の規定は、皇嗣職について準用する。

 5 第一項の規定により皇嗣職が置かれている間は、東宮職を置かないものとする。

 6 皇嗣職大夫は、国家公務員法第二条に規定する特別職とする。この場合において、特別職給与法及び定員法の規定の適用については、特別職給与法第一条第四十二号及び別表第一並びに定員法第一条第二項第二号中「東宮大夫」とあるのは、「皇嗣職大夫」とする。

 [法律全文の引用おわり]

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(C)2017年、宮崎信行。

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Miyazaki Nobuyuki 


[改正鉄道機構法&前年度2次補正の施行状況]JR東海リニア中央新幹線の名古屋非常口で談合か

2017年12月10日 17時21分23秒 | 法律の執行状況

[写真]2017年12月10日付朝日新聞1面、宮崎信行撮影。

 JR東海が発注した、「JRリニア中央新幹線」の、工事で不正があったとして、東京地方検察庁特捜部が大林組を捜索しました。

 これは、JRリニア中央新幹線で、名古屋駅近くの、県警と市役所の間の非常口をめぐる入札で、大林組などが不正をしたのではないかという疑惑です。

 JRリニア中央新幹線の建設では、改正鉄道機構法にもとづき、昨年度第2次補正予算と、今年度予算で、3兆円が鉄道機構を通じて、JR東海に融資されました。この金額は、同時期の、政府から国民生活金融公庫に対する財政投融資の総額と比べて、3分の2ぐらいのボリュームがあるお金を、1社に融資するもの。向こう40年間で、そのうち30年間は据え置きとなっており、「あげた」という感覚でもいいかもしれません。参院選に前後して提示された新・成長戦略の政策パッケージでは、東京ー名古屋間の開業を9年前倒すと強調。これは、東京名古屋の東海道新幹線輸送客×1・1万円×9年=3兆円なので正しい数字と思われます。

 国会内での審議では、東海ブロック選出の本村伸子衆議院議員(共産党)が麻生太郎副総理・財務大臣(衆議院、自民党)が「40年後まで生きていて見届けろ」と迫りました。正しい認識だと考えます。

 もちろん、今回の話は、JR東海や鉄道機構側から積極的に告発したものかもしれませんし、3兆円の「国益」を粋に来た頼りがいのある検察官が取り組んでいるのかもしれません。ただ、数少ない浮上ポイントである名古屋駅周辺が、同線の開通の地権者の大多数を占めていることもあり、3兆円を無駄なく使わせることは、貸し手である政府の責任であり、金を出した以上は口も出していくべきです。JR東海に自由無し、というところまで、政府がかかわり、運賃値下げ圧力や、在来線存続圧力を向こう40年間かけ続けるべし。


[画像]平成28年度特別会計のうち、第2次補正予算書での補正後の財投計画、宮崎信行がキャプチャ。


[画像]平成29年度予算書の財投計画、上とあわせて、鉄道機構からJR東日本へ3兆円。

 なおこれとは別に、きょうの朝日新聞の第2社会面に、スーパーコンピューターの補助金水増し請求・受給の疑惑で逮捕されている、スーパーコンピューター会社社長の案件で、政治ジャーナリストの山口敬之さんが、同社から家賃の肩代わりを受けていた、との記事が載っています。これは私も既に知っていた話で、衆議院議院会館裏の、キャピトル東京ホテルに事務所を持っているということで、以前からその資金源は詮索されていました。伊藤詩織さんへのレイプ疑惑とその逮捕状の官邸関係者からの圧力での執行停止の話がくすぶっています。私は、「警視庁が公正中立なのが当たり前」という山口批判の風潮に嫌気して発言してきませんでしたが、とはいえ、山口さんに対して同情する気持ちはもともとありませんから、家賃の件と伊藤さんの件をていねいに説明してほしいところです。刑事は難しくても、社会的な地位は失墜が目の前でしょう。


[写真]きょう付け朝日新聞第2社会面、宮崎信行撮影。

 さて、話は戻って、JR東海3兆円融資に関して、過去の記事を貼り付けておきます。衆議院共産党は先々月の選挙後人事をやったようで、本村伸子さんは国土交通委員から総務委員に異動したようです。ぜひ、この件では、JR東海が疑われないようしっかりやってほしいところです。

[当ブログ内エントリから抜粋引用はじめ]

本村伸子さん、JR東海への40年間の財投で「麻生大臣、生きていて責任をとってください」、補正衆通過[きょうの国会]

(前略)

 締めくくり質疑では、共産党比例東海1位の1期生、本村伸子さんが質疑。強く反対し、「リニアへの負の影響はないのか」と安倍首相にただしましたが、首相は「大阪までの全線開通を最大8年間前倒しできる」と答弁しました。麻生財務相が「私はその頃100歳を過ぎている」と答弁すると、本村さんは「生きていてください。生きていて責任をとってください」と発言しました。

(後略)

[当ブログ内エントリから抜粋引用おわり]

[当ブログ内エントリから抜粋引用はじめ]


財投2法が成立JR東海1・5兆円鉄道機構法と改正JOGMEC法、参議院自民党「熟慮の府」と長時間議論を宣言[きょうの国会]


(前略)
 「改正独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法」が投票総数239、賛成217、反対22の賛成多数で可決し、成立しました。公布日に施行。審議中の議案番号は192閣法2号でした。

 ともに、財投機関債などの発行で調達したマネーを、JR東海、海外石油資源開発会社などに融資や、投資することができる法律。鉄道機構法は政府は第2次補正予算と同時に成立させてほしいと希望しましたが、1カ月遅れとなりました。補正の1・5兆円を、JR東海に融資し、政府は30年後から40年後にかけて返済を受けます。


(後略)

[当ブログ内エントリから抜粋引用おわり]
[当ブログ内エントリから全文引用はじめ]


政府、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法改正案を2016年秋の臨時国会に提出

2016年09月06日 13時05分50秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

[写真]国土交通省、東京都千代田区霞が関、2015年秋、筆者・宮崎信行撮影。

 政府は「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法改正案」を、平成28年2016年9月26日(月)召集の「第192回国会」に提出することを決めました。

 法律のホームページ

 機構のホームページ

 これは召集当日に提出する予定の「平成28年度第2次補正予算案」で、JR東海への1・5兆円の融資を、鉄道・運輸機構(旧鉄建公団)の財投機関債を活用した財政投融資で行うための、予算関連法案。

 8月2日にとりまとめた、「未来への投資を実現する経済対策」で、「事業規模28兆円」のうち、リニア新幹線の名古屋・大阪間を6年前倒すために、総額3兆円(来年度当初予算案での手当て含む)を超低金利で融資するもの。

 この背景には、国庫の一般会計がひっ迫する中、官僚が長期融資で、長期的な政策を実現したいとする、ここ3年ほどの動きが見て取れます。

 ちなみに、6年前倒すとどうなるか。計算してみました。この場合、乗客1人当たりの運賃のうち2500円を6年間返済すればいいことになります。ただ、東海道新幹線をどうするのか、JR東海の自前の資金を考えると、必ずしも安いものではないように考えます。運賃への上乗せや、後年度の税金での処理などもありうる計算になると思います。ところで、計算の過程で知りましたが、JR東海の大阪(新大阪)駅、の乗降客は、名古屋駅、京都駅より少ないんですね。 

 法案は、衆参国土交通委員会に付託されると思われますが、同委員会は、羽田雄一郎国土交通大臣就任後、太田昭宏大臣、石井啓一大臣が、卒のない安定した答弁を続けており、法案の成立は確実のように思います。ただ、リニアが開業したら、在来線をより手軽にして、東京ー大阪直通列車の再開などを期待したいところです。法案の採決よりも、議事録が、将来参照されることになりそうな気配です。

 第192回国会の衆議院国土交通委員長は谷公一さん、参議院国土交通委員長は増子輝彦さんとなっています。

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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フィブリノゲン薬害C型肝炎救済法で、まだメッセージが届かない1000人 野党・菅直人代表代行が厚労省倉庫突撃から10年

2017年12月07日 17時28分11秒 | 法律の執行状況

[画像]厚生労働省地下倉庫に突入した菅直人さん、2007年放送のTBS(CSチャンネルTBSニュースバード)放送画面から当時2007年にキャプチャ。

 ミドリ十字などが製造した「フィブリノーゲン」または「フィブリノゲン」製剤の薬害で、C型肝炎になった28万人のうち、1000人前後に、まだ救済金が支給されていない公算が高まりました。

 これは、きょう、平成29年2017年12月7日(木)の参議院厚生労働委員会で、C型肝炎被害者救済法を5年延長する法律案(あす成立のはこび)の審議で明らかになりました。政府は、「フィブリノゲンは、28万人に投与され、1万人が感染し、そのうち、9083人に連絡した」と答えました。残り1000人程度の人が被害に気付けば、救済金がもらえる期間が、もう5年延長されます。

 政府が公式に認めてから10年。

 きょうの、政府の答弁者は、厚生労働省医薬・生活衛生局。私は局の名前にさといのですが、旧厚生省薬務局から2回以上名称が変わっています。当時の局長や医官などは、いまでは他界しました(刑事では無罪)。

 10年前、参院選で大勝した民主党が、第168回臨時国会で、幹事長部局の対策本部をつくり、当時・トロイカとよばれた実力者、菅直人代表代行が本部長となり、厚生労働省地下倉庫などに突入。このときのメンバーが山井和則さん、柚木道義さんらで、その後、政権交代で、首相、政務官などをつとめました。

 10年経って、野党は、財務省が書類を破棄していたと知って、いまさら成立するわけがない公文書管理法改正案を会期末に出していますから、ずいぶん偉くなったものだ、ということでしょう。別の案件では、さいたま新都心の国土交通省出先機関の5階から18階まで官僚を追いかけて階段を上った議員もいました。

 菅さんが突撃してから、10年。新聞報道では、福田康夫首相の英断という歴史的評価になっていますが、当時の野党が、有権者と一緒の「本部」をつくり、与党を責めたということです。10年後の野党も「国対チーム」というのをやっていますが、これも役人を読んでいるだけですから、ずいぶん偉くなったというところでしょう。

 ただ、こういう考え方をする人は少ないのですが、自民党の厚生族と厚生省が、もっと早く、政治力のあるミドリ十字の「犯罪」を認めていれば、もっと早く救済できた人がいたはずです。

 以下は、10年前の当ブログ内記事です。


[当ブログ内記事から引用はじめ]


菅直人、厚労省地下倉庫に“突撃”

2007年10月23日 21時10分45秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

 民主党肝炎総合対策推進本部長の菅直人さん(東京18区)、山井和則さん(京都6区)らが23日、厚労省の地下倉庫に“突撃”!

 「元厚相だ」と名乗る菅さんを押しとどめる警備員。もみくちゃになる報道陣。菅さんが携帯電話で舛添大臣から立ち入りの許可を受けて、役人の案内で地下3階へ。

 カメラを制する警備員。完全に厚労省は悪者。『水戸黄門』の悪代官状態です。

 日本におけるテレ・ポリティックス(TVを利用した政治)の先駆け的な存在でもある菅さんのシナリオ通り。

 活字メディアの世界にいる下町の太陽としても、この一部始終は、ぜひTVでご覧いただきたいと思います。

 地下3階の倉庫で、段ボールが積まれている様子を視察。段ボールの中の文書は閲覧しなかったようです。
関連エントリー「お元気内閣」だけど・・・に引き続きネクスト副総理がやってくれました。









 結局、何があったのか、まだよく分からないのですが、インパクトのある映像なのでアップしました。
(CSチャンネル「TBSニュースバード」から)

[当ブログ内記事から引用おわり]

[当ブログ内記事から引用はじめ]

【国会傍聴記】菅さん、厚労委で薬害肝炎「フィブリノゲン30万人投与」を指摘

2007年10月25日 09時42分56秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦
【国会傍聴記 2007-10-24 衆院・厚生労働委員会】

○民主党の菅直人さん、山井和則さん、薬害C型肝炎で厚労省追求

 下町の太陽はこの審議をずっと聞いていました。傍聴席には患者、ご家族、ご遺族がかなり詰めかけていたようです。

 菅さんの追求に、舛添厚労大臣はタジタジ。そして厚生労働省医薬食品局長の体たらくにはあきれたのヒトコト。質問通告されたことに即座に答えられない役人など初めてみました。

 下町の太陽はどうやら、きょうの審議を、“冷静”かつ“客観的”にまとめることができなさそうです。
 そして、それがきょうの最大の感想ということです。

 よって、よくまとまった新聞記事をご紹介させて頂きます。
 なお、自民党の茂木敏光委員長の議事運営が公正中立であったことを付け加えておきます。

[当ブログ内記事から引用おわり]

[当ブログ内記事から引用はじめ]

【国会傍聴記】フィブリノーゲン→フィブリノゲン「再評価すべきだった」舛添大臣 衆院厚労委

2007年10月31日 21時42分15秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦
【国会傍聴記 2007-10-31 衆院・厚生労働委員会】

 民主党ネクスト厚労相の山田正彦さん(長崎3区比例)が舛添要一厚労相と対決。

 ちょうど1週間前の菅直人さんの質問で出てきたミドリ十字の「フィブリノゲン」が「フィブリノゲン」に製品名が変更された件を問い質しました。

(次のエントリーで第一報をお伝えしました)
10/24付エントリー【速報】菅さん「フィブリノーゲン→フィブリノゲンで承認延長」天下りの松下ミドリ十字社長

 山田さんは冒頭、「きょうは30年前に話を戻します」と話して、薬害C型肝炎をもたらした血液製剤(血液凝固剤)の「フィブリノゲン」について集中的に質問しました。

 ミドリ十字の製品「フィブリノゲン」(1964年承認)が(といっても成分は同じです)「フィブリノゲン」(1976年承認)に製品名が変わった理由を問い質しました。

 厚生省は1971年、「1967年以前に承認された前医薬品の再評価制度」を導入しました。その過程で、同製剤は「新規承認薬とみなし、再評価の対象に入れなかった」としています。

の経緯について、厚労省の高橋医薬食品局長は「承認日をもって機械的、画一的に処理した」と答えました。

 舛添厚労相は「名前がちょこっと変わっただけで、再評価をやらなかったのは疑問だ」と答弁しました。

 なお、菅さんは24日の厚労委で旧ミドリ十字松下康蔵元社長らの参考人質疑を要求しています。

(このエントリーは10月31日付朝日新聞夕刊15面「変更理由に再評価除外」の記事を参考に作成しました)

[当ブログ内記事から引用おわり]

[当ブログ内記事から引用はじめ]

福田首相、薬害C型肝炎で、一律救済の議員立法を168臨時会に提出へ

2007年12月23日 23時35分06秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

福田首相「一律救済」決断=議員立法で対応、今国会成立目指す-薬害C型肝炎 (時事通信) - goo ニュース

 福田康夫首相は23日、薬害C型肝炎の被害者について「全員一律救済ということで、議員立法とすることを党との相談の結果、決めた」と表明した。与党はそのための法案を今国会に提出、成立を目指す。民主党など野党にも協力を呼び掛ける。一律救済を求める薬害肝炎訴訟の原告側の主張を踏まえ、首相が血液製剤の投与時期などで救済対象を決める政府方針を転換した。これに対し、肝炎訴訟の原告弁護団は「大きな一歩だ」と評価する一方、内容が明確でないとして、首相に対し被害者らと面談し実情を聞くよう重ねて訴えた。 

 首相は、大阪高裁和解骨子案を踏み出して、原告側の要望に応えるには行政府としては限界があることから、自民党総裁として決断した。最近の内閣支持率の急落を受け、指導力を示す必要があると判断したとみられる。自民、公明両党は25日に幹事長ら党幹部が法案の内容を協議する。肝炎訴訟は提訴から5年を経て、全面解決に向けて大きな転機を迎えた。

(写真は共同通信) 


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【衆参本会議】 薬害C型肝炎被害者一律救済法案が成立

2008年01月13日 20時17分21秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

写真は福田衣里子さん=『It's now or never 私は早く、C型肝炎とさよならしたい!』福田衣里子著、書肆侃侃房

【国会傍聴記 参院本会議 2008-1-11】

 「薬害C型肝炎被害者一律救済法」は全会一致で可決、成立しました。


【国会傍聴記 衆院厚生労働委 2008-1-8】


 自民党、公明党が議員立法で「薬害肝炎被害者救済特別措置法」を提出しました(昨日付)。さっそく審議入りです。

「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法案」です。

 薬害肝炎の被害者全員に治療費などを国が負担する法案です。

 自民党(LDP)の大村秀章さんら法案提出者らが内容を説明。

 原告団全国代表の山口美智子さんらから意見を聞きました。

 舛添要一厚労相ら政府とのやり取りの中で、民主党(DPJ)の山田正彦ネクスト厚労相(弁護士)

 「血液凝固製剤投与に関して、状況証拠だけでも被害者認定されるのか?」
と質問。

 法務省民事局長は「母子手帳に『出血があった』との記述がある」といった場合に、「その医院の院長がなくなっていて2代目・3代目の医師が継いでいる」といった例を挙げて説明。

 母子手帳に記載のある受診時期に、A医院がフィブリノゲン、クリスマシンなどを常備していた記録があるといった場合では、状況証拠だけでも被害者として認められるのではないかという認識を示しました。あくまでも「裁判所の判断」のうえだとしました。

 山田ネクスト厚労相は弁護士としての経験も踏まえ、一律救済法成立により、これから裁判に加わる人を念頭に
「訴訟を起こすのに、着手金など費用がかさむ」との問題も指摘しました。

 河井克行法務副大臣(LDP)は、
 「法テラスなどを活用して欲しい」と述べました。たいへん無責任な誠実さを欠いた答弁で極めて残念です。

 採決の結果、同法案は委員会共同提出という格好になり、午後の衆院本会議に緊急上程されました。

【国会傍聴記 2008-1-8 衆院本会議】

 午後1時4分開会。
 河野洋平衆院議長の「あけましておめでとうございます」のことばで始まりました。

 議事進行係が「薬害肝炎被害者救済法案」の委員会審議を省き、本会議で審議するよう提案(緊急上程)しました。

 茂木敏光厚生労働委員長が趣旨弁明。最後に被害者の方に対するおわびの言葉がありました。しかし、これは委員長としての言葉であって、政府としてのおわびの言葉ではありません。

 法案は全会一致で可決。
 午後1時10分閉会しました。

【金曜日の参院本会議で可決、成立へ】

 金曜日の参院本会議で法案は可決、成立します。

【ちょっと気になるので・・・かわいい福田衣里子さんのこと】



 福田衣里子(ふくだ・えりこ)さんの本で、彼女のことがだいぶ知りました。
 衣里子さんは1980年長崎市生まれ。
 父親の仕事の関係で幼稚園からロンドンに。
 父親は衣里子さんをほぼ毎週末、欧州各国に連れて行ったという。
 4歳半で帰国、長崎に。

 ――4歳半の頃、帰国した。大きな世界の存在を教えられ、小さい町へと押し込められた。それが私の中で、無意識ではあるが、常にある大きな不満となった(前掲書、9ページ)

長崎西高校卒業。
広島修道大学人文学部心理学専攻に進学。

 ――19歳、大学を1年で休学し、旅に出た。
 大学を卒業してからでもよかった。なんで、せっかく合格した大学を休学してまで、行かなければならなかったのか。その時、理由は全くわからないけど、今行かないといけないと強く思った。(略)
 20歳、「C型肝炎ウィルスに感染して、20年経過しています」と言われた。
 あんなにも焦っていた意味が今だとよくわかる。(前掲書、はじめに)

 2004年4月、実名公表。

 今も長崎在住で、東京に通いながら活動されていたんですね。

  衣里子さんの“It's now or never.”がこれで、
 “It's now.”になったんなら良いね。

【外部リンク】

Piquer ~Ennrico’s  room - livedoor Blog(ブログ)
福田衣里子さんのブログ~薬害C型肝炎と闘いながら、刺繍をしつつ楽しく生きる27歳。


 

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[労働者派遣法2015年改悪法の執行状況]パソナは万歳ナント利益131倍、零細派遣は数が12%減、パソナ独走状態へ

2017年11月20日 09時58分14秒 | 法律の執行状況

[画像]労働者派遣法2015年改悪法を強行採決する自民党議員に必死の抵抗を見せる、民進党・新緑風会議員たち、2015年に、参議院インターネット審議中継から、宮崎信行がスクリーンショットした画像の再使用。

 労働者派遣法2015年改悪法のあんこの2つ目、特定派遣業の届け出制から許可制への変更ーーの効果が高まってきたようです。

 日経新聞(2017年11月20日付)によると、厚労省は改悪法による許可制の条件として派遣元業者に(1)20平方メートル(6坪)以上の事務所(2)資産から負債を引いた基準資産が3000万円以上(3)1500万円以上の現預金ーーがないと、認めないことにしました。

 このため、改悪法成立時に、7万社あった労働者派遣会社(マネキン紹介所)が、2年間で5・5万社に減ったそうです。年換算で、派遣元業者は全国で12%減ったことになります。もちろん悪質な口入れ屋が減ったのなら大歓迎ではありますが。

 一方、大手のパソナは、同業者の廃業ラッシュの中、売上高を増やし、改悪法成立時の年商2260億円から年商2800億円へと、年平均16%増収となりました。営業利益は、131倍になりました(笑)。年11倍のペースで、営業利益率は16%と、サービス業としては高水準、メーカー並みの利益率を記録しました。

 2年経って、派遣会社に登録している人は、納得して登録している人が増え、不本意派遣は減っているのではないか、と統計はありませんが、筆者・宮崎信行は見ています。大手のパソナに登録して、いい会社に長期間派遣されていれば、転勤もなく、いいのではないか、という人の方が、現実には多いでしょう。但し、何よりも問題なのは、そうやって、働く人の平均の実質賃金が押し下げるということ。それだけです。

 パソナの政治力は、2009年から2012年まで、大量の自民党落選者に、月1回の研修で講演料50万円を約束していたことによります。これは、政治資金収支報告書に載らない工作資金です。このやり方は、初当選以来連続当選していて、自他ともに高潔で志が高い議員でも「自分が落選したときに、そうやってくれたら、正直、ありがたいよな」というやり方でした。

 この2年間に失われた賃金は、どうやっても取り返せません。自民党は、その後、参院選にも、衆院選にも勝ちました。そして、肝心の連合は、発足以来、最低最悪の会長である、神津会長のもと、支持政党が3分裂の股裂きとなりました。

 この大きな流れは止められませんが、せめて、奨学金を返せなくて、自衛隊に入って、地球の裏側で死んでいく若者が増えないことを望むばかりです。もちろん、風俗で働いていて、結婚できない男女も、そりゃどんな好景気でも一定数そういう人はいますが、あまり増えないよう、望むばかりです。

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【安保法施行状況】国会議事堂前駅に、「日米パートナーシップ」ボーイングの広告、きな臭い動き、集団的自衛権で、日米の未来への翼を広げる?、次期中期防で空中給油機などの選定を目指すねらいか

2017年11月18日 19時08分41秒 | 法律の執行状況

[写真]国会議事堂前駅の、ボーイングの広告、2017年11月17日、宮崎信行撮影。

 集団的自衛権を認めた、安保法の強行採決から2年。

 きな臭さが、国会議事堂前駅にも静かに漂ってきました。

 米航空最大手の「ボーイング」が、国会議事堂前駅に「日本とのパートナーシップで未来への翼を広げる」とする広告看板を出しました。

 この場所は、千代田線から国会に向かう階段・エレベーターがあり、だいたい、毎朝、30人前後の国会議員が、東京・千葉・茨城・神奈川などの選挙区から国会に出勤する際に目にする位置になります。赤坂・麹町議員宿舎に泊まり、金曜日に、東京・品川駅や羽田空港から地元に帰る議員は、長く勤続しても、目にすることはないかもしれません。

 看板は、アメリカ人、日本人が、同じ方向を目にしながら、「日本とのパートナーシップで未来への翼を広げる ボーイング」。未来の翼が広がるのは、誰だどう読んでも、ボーイング社の経営のことだと思われます。ていねいに、「ボーイング・ドット・jp」と、日本版のホームページ。

 基本的には、中期防衛力整備計画(平成26年2014年度度から平成30年2018年度まで)が、改定時期を迎えたので、そこで、ボーイング社の調達をすすめるのでしょう。日本航空・全日空に向けて、「エアバスよりボーイング」とリース調達の宣伝したくて、国会議事堂前駅に張っても無駄です。ボーイングとしては、次期政府専用機で、三菱重工と争えば、政府はリースではなく全額払ってくれるから、得という考えもあると思います。

 ただ、本音はやはり、空中給油機・輸送機、我が国の主力戦闘機F15、回転翼・固定翼のオスプレイの調達を進めているのではないでしょうか。

 空中給油機は、ロッキードの「KC130」(輸送機としてはC130)が優勢であり、ボーイングのKC767は現時点で4機程度と思われます。現在の中期防には「新たな空中給油・輸送機を整備するとともに、輸送機(C-130H)への空中給油機能の付加及び救難ヘリコプター(UH-60J)の整備を引き続き進める」と書き込まれています。他の新規装備が予想される、次期中期防で、今持っているロッキードのC130に空中給油機能を補っていくという方向性が検討されるのは間違いなさそう。

 我が国航空自衛隊の、40年来のエース戦闘機、「F15」はマクドネル・ダグラス社がライセンスを持って、三菱重工業が生産しており、マクドネル・ダグラスは、現在は、ボーイングの子会社となっています。F15が、ロッキードのステルス戦闘機「F35」にとって代わることはないわけですが、今の中期防には「近代化改修に適さない戦闘機(F-15)について、能力の高い戦闘機に代替するための検討を行い、必要な措置を講ずる」とあり、こちらもボーイングは劣勢。

 オスプレイは、これもボーイングの子会社である、ボーイングヘリコプター製です。

 民需でも他社に押されるボーイングが、日本の集団的自衛権にかけてくるのは自然の流れかもしれません。やはり、集団的自衛権で、米軍とともに、朝鮮半島・地球の裏側に出て行けば、空中給油機が必要になります。イラク戦争で我が国自衛隊は、ロッキードのC130をタイで給油してイラクに派遣し、迷彩色姿のアメリカ軍人をピストン輸送しました。私には、それは戦争への加担としか思えませんが、これからは、集団的自衛権として行くことができます。

 次期中期防で、イージス・アショアの調達は確実だろうと思いますが、そうなると、敵基地攻撃能力を持つ方が安いではないか、という財源論が絶対に浮上する、と私は考えます。これは、個別的自衛権ですが、その場合は、とりあえず、F15を真ん中に置いた検討が始まるでしょう。ただ、これも、F35もF2も、ボーイングではない米国企業(ロッキード・マーチン、ノースロップ)と三菱・川崎重工の共同製作であり、ボーイングははじかれます。

 こういう風に見てくると、ボーイングは、民需だけでなく、軍事でもがけっぷちに追い込まれてきたようです。

 ボーイングは、前駐日大使だった、キャロライン・ケネディさんを雇いました。最近も来日して、ケネディさんは「インスタ映え」する笑顔を、セレブのパーティーで見せたようです。

 敵基地攻撃能力は個別的自衛権だからいいのです。例えば、F15の継続や、オスプレイの調達もいいと思います。でも、集団的自衛権で、輸送機・空中給油機を増やして、ロッキードだけでなく、ボーイング製も増やすということになると、それは私は反対です。国益になりません。

 繰り返しますが、「日米のパートナーシップで未来の翼を広げる」のではなく、日本の子供たちの未来の翼を広げる法整備を、与野党衆参国会議員に求めたいところです。















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【法律の執行状況】金融庁、褒められる「ふだん列の最後にいる日本が新たな方向に最初の一歩を踏み出そうとしている」改正資金決済法ビットコイン

2017年11月13日 14時22分03秒 | 法律の執行状況

[画像]2017年11月9日日経新聞7面。

 金融庁が褒められました。

 ビットコインなどの仮想通貨を決済手段と位置付けた、「改正資金決済法」について。

 「ふだん列の最後にいる日本が新たな方向に最初の一歩を踏み出そうとしているのは良い」

 と、米国シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループの、レオ・メラメド名誉会長という人が、来日中に、日経記者のインタビューに、そう答えたそうです。先週9日付の日経に記事が載りました。

 金融庁が、ビットコインを「通貨」として法的に定義して監督する動きは、当ブログは、法案提出予定の段階(2015年7月9日付)閣議決定して国会に提出した段階(2016年3月4日付)国会で成立した日(2016年5月25日)と、順を追って報じてきました。

 シカゴのCMEは、もともと商品先物で、10年前には「ゴールデン・コーン」というNHKスペシャル特集のように、小麦コーンの先物で、世界の小麦製品の価格を左右していました。小麦農家が、畑よりパソコンに向かっている時間帯の方が長いという実態がNHKスペシャルで報じられました。ただ同時期に、ニューヨークの方のNMEは金融先物を扱っていて、リーマンショックを引き起こしました。シカゴのオバマさんと、ニューヨークのクリントンさんが争った米民主党予備選のあと、オバマ大統領時代に、CNEが、NMEを吸収合併することで、より大きい会社になっています。その名誉会長が金融庁を褒めたということになります。

 我が国では、ビットコインは通貨であって、商品ではないので、消費税も非課税になりました。

 金融の世界で、島国日本が、列の後ろにいるのは当然ですが、仮想通貨という大きな時代の境目をよんだ、金融庁は称賛に価するでしょう。

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[安保法施行状況]Make alliance even greater 「日米同盟を対等に、より強化する」との謎の言葉が刺繍された帽子を、安倍首相がトランプ大統領にプレゼント 集団的自衛権・安保法

2017年11月06日 11時24分43秒 | 法律の執行状況

[写真]安倍首相がトランプ大統領に贈った帽子、首相官邸公式フェイスブックページから、スクリーンショット。

 さる1月20日に就任した、ドナルド・J・トランプ大統領(共和党員)が、就任後では初めて来日。一人の民間親米家として、心から歓迎します。

 それはさておき、首相官邸フェイスブックページは、さきほど、きのう、平成29年2017年11月5日(日)午後に、埼玉県内のゴルフ場で、安倍晋三首相(自民党総裁)が、トランプ大統領にゴルフ帽子を渡し、お互いが記念のサインをした動画をアップしました。

 そこで、帽子に「Make alliance even greater」と刺繍をしていたことが分かりました。安倍さんの一存で決めた文言であると思われます。

 この、evenは、「対等な」という意味のようです。国内の英和辞典にはありませんが、米国内の「ロングマン、アメリカ英語辞典」には、「言葉を強調する関節辞」という作用があるようです。が、so greaterのsoのような作用はなく、even greaterというのは、対等により偉大にするという意味のようです。

 この言葉は、トランプさんが予備選段階から使った、Make America great againのもじり。トランプさんのスローガンは、もともと同党のロナルド・レーガン大統領のスローガンのもじりです。

 Make alliance even greater は、アメリカ3大ネットワーク(ABC,CBS,NBC。CNNを含めて4大ネットワークという呼び方もする)の一つである、「ABC」ニュースも、大統領訪日のニュースの見出しにとったようです。

 安倍さんは、2015年4月の新ガイドライン署名後の、上下両院合同演説でも、「

安倍首相、米議会演説で、安保法制を今夏に成立させる(We will achieve this by this coming summer.)

」と演説しています。

 2015年4月の演説も、「日米同盟は、安保法を今夏までに成立させる」という、よく意味の分からない文脈ですが、現実に、自民党・公明党は、安保法を強行採決させることに成功しました。

 この「日米同盟を対等に偉大にする」という意味合いも、おそらく、岸信介首相からの悲願を実現しようとする安倍さんが、分別がつかない幼少期から抱いてきた思いを含んで、よく意味が分からないまま、気合だけ空回りした、言い回しに感じます。

 おそらく、トランプさんも引いていると思います。

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[法律の執行状況]改正道交法の「認知症の疑いの簡易検査」674人免許取り消し、まあいいのではないか

2017年11月03日 16時34分23秒 | 法律の執行状況

 きょう現在開かれている「第195回特別国会」には、人事院勧告を実施する、一般職国家公務員、特別職国家公務員の給与法改正案が提出されると思われ、衆参の内閣委員会で議論されるとみられます。

 警察庁は、きのう、道路交通法の平成27年改正法(平成27年6月17日法律40号、189閣法38号参先議)の、施行後半年の執行状況をまとめました。

 警察庁のホームページは以前から反映が遅いので、プレスリリースはまだ載っていないようですが、きょうの公明新聞によると、75歳以上の高齢者への、認知症の簡易検査で、医師の診断後に674人が免許取り消しとなった、との調査結果がまとまりました。認知症の簡易検査は111万人が受け、そのうち3万人が「認知症のおそれ」とされました。3万人のうち、医師の診断後に、6000人が免許証を自主返納。行政処分として、674人が免許取り消し、23人が免許停止となりました。6カ月後の診断書再提出を求められたのが、4000人。3万人の中には、今現在、まだ受診前の人も含まれているようです。

 私は裁判所の捜査令状無しの、認知症簡易検査にはためらいを感じましたが、基本的には免許証更新時の検査が中心のようです。半年間で、674人の免許取り消しは多いような気がします。ただ、なにか、野党支持者や市民運動家が無理やり認知症にされたということは無さそうです。また、自主返納がこれだけ多いということは、地方部の高齢者や、高齢貧困者などの交通対策は必須だろうと考えます。

 さほど、恣意的な運用・法律施行は無さそうなので、道交法平成27年改正法は、まあ、いいのではないかと考えます。

 ただ、一つ、当ブログがずっと指摘しているのですが、道交法改正案はいつも、参議院先議で出てきます。平成27年改正法は参院選よりも2つ前の通常国会でしたが、参から衆に回った後は、安保法国会で、内閣委どころじゃないという雰囲気でした。刑事法であり、人を令状なしに検査できる道交法なので、なるべく、衆議院先議で丁寧な審議ができるようにしてほしいと考えます。

[当ブログ内から参考エントリー引用はじめ]

警察庁の国会対策は不自然なのか?見習うべきか? 道路交通法改正法案が4たび参議院先議の怪

2013年04月25日 14時30分22秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

【画像】警察庁提出の道路交通法改正法案の趣旨説明をする古屋圭司・国務大臣(国家公安委員長)、2013年4月25日(木)、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

【参議院内閣委員会 2013年4月25日(木)】

(略)

 道路交通法の改正法案に関しては、ある傾向があります。

 前回は

 第171通常国会(2009年)、
 第166通常国会(2007年)、
 第159通常国会(2004年)、
 第151通常国会(2001年)

 に提出されました。つまり道路交通法の改正法案が提出された過去5回の国会はすべて任期満了直前の国政選挙が事前に分かっていた国会です。

 そして、道路交通法改正法案はここ4回連続で、参議院先議で法案審査にかかりました。

 趣旨説明もだいたい、予算が成立した直後の4月上旬です。

 そもそも、道路交通法に関して、「自分にはかかわりがない」と言い切れる人は一人もいないでしょう。そして、参院議員はとくに、県全域ないしは日本全国で選挙をします。見ず知らずの組織の人が自分の看板入りのクルマを運転してくれることに、会えば感謝の念を表するのは当然としながらも、あっけらかんとして「御輿」にならなければなりません。でも、自分の看板があるクルマの事故は自分の責めに、世間的にはなる可能性があります。そのとりしまりの大元が警察庁を頂点とする47都道府県です。

 そこで、参院先議で、だいたい無修正で全会一致で可決しそうな法案を出して、スムーズに成立させるというのが警察庁の国会対策なのではないでしょうか。公選法の取り締まりも各都道府県警の捜査2課です。第2回衆院選で品川弥二郎事件で血が流れたことを忘れてはなりません。現在でも警察庁の権力構造をおさえておく必要があるでしょう。

 一方、議員立法の「totoサッカーくじの対象を海外サッカーに広げ、国立競技場の改修費用を賄う法案(183衆法7号)」は参院文教科学委員会で審議入りから10分後に全会一致で可決してしまいました。

 こういった審議の入り口の国会改革が必要です。具体的には2つの改善ポイントを提示します。

 (1)委員会付託の両院議院運営委員会(理事会含む)の会議録の翌日公表。
 (2)「英議会の第一読会」あるいは、かつてのわが国の「帝国議会の衆議院本会議」のように、ただ法案名を読み上げるだけの本会議(インターネット生中継)。 

 ーーこの2点の国会改革が必要ではないでしょうか。



ホルムズ海峡は国会承認要らずか 安保特別委、1週間ぶり再開、「事態」でダブり

2015年06月05日 18時01分49秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年6月5日(金)法律公布】

 「放送・通信・郵便事業の海外輸出の官民ファンド法」(189閣法35号)が平成27年6月5日法律35号が公布されました。3か月以内の政令で定める日に施行。

【同日 参議院本会議】

 「改正裁判員裁判法」(189閣法41号)が賛成219、反対11で可決し、成立しました。

 「改正郵便法および改正民間事業者による信書の送達に関する法律」(189閣法62号)が賛成156、反対72で可決し、成立しました。

 これをもって、今国会の閣法(政府提出法案)の成立率が50%を超えました。これに先立ち、「学校教育法改正案」(189閣法49号)の趣旨説明と代表質問がありました。衆院段階では本会議登壇はしませんでしたが、参議院は教員出身者が多い事や会期末を控えた日程闘争に関係あると思われます。

【同日 衆議院安保特(我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 前日の憲法審査会での3学者「違憲」断定で、野党が勢いづきました。

 月曜日午前9時からテレビ入り質疑がありましたが、「周辺事態」に関する外相答弁(後述)をめぐって、事実上1週間止まっていました。

 安保法制2法案(189閣法72号・189閣法73号)について、民主党の辻元清美さんが「きのうの憲法審査会の結果をみて、法案の取り下げを要求したい。

 立ち止まった方がよい

 と語りました。

 民主党の大串博志さんは、先週金曜日から委員会が止まった理由である、「周辺事態」をめぐり、1998年外務省局長答弁と1999年政府統一見解のずれを追及。岸田外相は「5月28日の私の答弁は、現行周辺事態法での、周辺事態だった」とし、「修正する」としました。私はこれは個人的には許せないところで、1997年日米ガイドラインを落とし込んだ国内実施法が1999年周辺事態法なわけで、1998年答弁が1997年ガイドラインでの「周辺事態」をさしているのは明らか。1997「周辺事態」が1999法「周辺事態、後方支援地域」になり、2003年イラク特措法「人道復興支援のための非戦闘地域サマーワでの活動」と変質していったわけです。その間一貫して政権にあった自民党議員が質問通告がなかったとはいえ、外相という立場で経緯を誤ったら、野党、自衛官、国民は、何に「大義」を見出せばいいのでしょうか。とても憤慨する答弁でした。

 続いて、長島昭久さんが「昨日の憲法審査会で、「違憲」と唱えた小林節さんは私の大学時代の指導教授だったが、昔から自衛隊合憲論を唱えていた人だ。その人が結論の部分で意見を変えたのは、根本的な問題があるからだ」と語りました。そして、新武力行使の3要件について、「外交ルートで解決できないときに武力の行使をするということならば、ホルムズ海峡から迂回するルートが確保できれば、新武力行使の3要件は満たさないのか」 と問うと、中谷大臣は認めました。そのうえで、長島さんが「重要影響事態のもとでのメニューは後方支援だけなのか」と問うと、中谷大臣は「後方支援については法律のメニューだけだ」と答弁しました。

 この後、維新の党の重徳和彦さんの質問に宮澤経産相に答弁し、「石油の8割はホルムズ海峡を通るが、169日分の備蓄がある。天然ガスの25%もホルムズ海峡を通るが、こちらは性質上備蓄はできず、都市ガスや火力発電に影響がでる」と答弁しました。

 維新の党の木内孝胤さんが「ホルムズ海峡の機雷除去について、国会の承認がいるのか」と問うと、中谷大臣は当初「原則は事前に承認もあるが、事後もある」と答弁しましたが、最後に、「事前に承認をとる」と断言しました。

 ここで、何が問題になっているかというと、先週金曜日の後藤祐一さんの質疑やきょうの長島さんの質疑で、ホルムズ海峡での停戦前の機雷除去について、中谷大臣らは、重要影響事態ではないとの答弁をしてきました。重要影響事態とは、現行法でいう「周辺事態」のことです。きょう明らかになったように、「存立危機事態」としてホルムズ海峡への防衛出動を命じることになります。ところが、首相の自衛隊に対する防衛出動は、国会承認がいりません。ここで問題になるのは、現行武力攻撃事態対処法(2003年有事法制)の第9条です。

 法律に詳しい人でも分からないと思いますが、とにかく、この条文は、首相の自衛隊に対する防衛出動命令には、国会承認を要らないと言っているのです。そして、今次改正法案にも、国会承認に関する改正条文は入っていません。

 すなわち、まとめると、

 ホルムズ海峡の停戦前の機雷掃海のための自衛隊派遣は、首相の防衛出動命令なので、国会の承認は要らない

  というのが、今次改正法案です。ですから、日本平時なのに、首相の一存で自衛隊を地球の裏側(ホルムズ海峡)に送れるということになります。

 この後、共産党の赤嶺政賢さんへの答弁で、中谷大臣は、「ホルムズ海峡への派遣は、(周辺事態法あらため)重要影響事態法(案)と国際平和支援法(案)とが重なる部分がある」としました。

 政府の説明では、ホルムズ海峡派遣は、重要影響事態、存立危機事態、国際平和共同対処事態のどれにあたるか不明確なまま進んでいます。これでは、「切れ目のない安保法制」ではなく、「切れ目がだぶった安保法制」である、ミサイルを撃ち込まれたり、揚陸作戦を受けた日本有事(武力攻撃事態)になったときに混乱するでしょう。日本有事、専守防衛のためにも毒になる法案だと、私は考えます。 

 次回の開催は公報(未定)となり、今週の審議は終わりました。

 「法案取り下げ論」については、民主党の岡田克也代表は同日の定例記者会見で「(野党共同で法案撤回を要求すると24日までの会期内に)採決される可能性があるので、しっかり審議していこう」という作戦をとることを明らかにしました。

 共産党の赤嶺さんも質疑中に「法案を撤回した方がよい」と語りましたが、最後は「共産党は徹底審議のうえ廃案をめざす」としめくくりました。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 漏れた年金の集中審議があり、次回は公報で知らせることになりました。この中で、自民党の長尾敬さんが、「最後に警察庁に申し上げますが、必ず犯人を逮捕してくださいね」と言っていて、たしかによく考えれば、それが一番大事だと感じました。とはいえ、国会ができることを国会がしっかりていねいにやるのが民主国家の要諦です。

【同日 参議院倫選特別委(政治倫理の確立および選挙制度改革に関する特別委員会)】

 「18歳19歳に選挙権を付与する公職選挙法改正案」(189衆法5号)を、提出者の武正公一・衆議院議員が説明しました。来週10日〈木)に参考人質疑をすることが決まり、会期内の成立が確実になってきました。そのうえで、参議院選挙制度改革の公職選挙法改正案(未提出)を衆議院に送れば、当初会期で国会を閉じることが可能な情勢になるでしょう。

【同日 衆議院文部科学委員会】

 「国立研究法人放射線医学総合研究所を量子科学技術研究開発機構に改める法案」(189閣法35号)の質疑が終局。民主党の松本剛明さんと維新の党の牧義夫さんらが法人名の「放射線医学」を残す修正案を提出。採決の結果、民維の賛成少数で否決。政府原案は、共反対、自公民維の賛成多数で可決しました。放医研と聞くと、1999年9の月のJCO事故や、3・11福島原発爆発で、被爆した作業員がヘリコプターで運ばれたところ、という印象が強いのですが、そのためか、法人名を改めるというのは嫌な感じ、情報隠ぺいのような感じもします。

【同日 衆議院経済産業委員会】

 「不正競争防止法改正案」(189閣法45号)の質疑終局が宣言されました。次回10日(水)に採決の見通し。

【同日 衆議院内閣委員会】

 「道路交通法改正案」(189閣法38号)が審議入りしました。4月17日(金)に参議院で可決し、衆議院に送られていました。参議院先議法案の衆議院での審議入りは今国会初。他に4法案が参議院で可決し、衆議院に送られたままの状態になっています。

【同日 衆議院法務委員会】

 司法取引や可視化を導入する「刑事訴訟法改正案」(189閣法42号)の審査が続きました。次回は、9日(火)。

以上 



[当ブログ内から参考エントリー引用おわり]


【戦争法施行】米艦給油が判明した日本自衛隊、切れ目の無い平和安保法制により「特措法」要らずで、国会への報告すらなし

2017年09月14日 09時27分31秒 | 法律の執行状況

 米艦に日本自衛隊が、公海上で、「月1回のペース」で給油していたことが分かりました。

 以前のパキスタン沖での、日米補給艦同士の給油では、「新テロ特措法」が必要でした。この延長をめぐっては、2007年第21回参院選「逆転の夏」で、衆参ねじれを勝ち取った民主党が、小沢一郎代表・北澤俊美参議院外交防衛委員長のコンビで、延長法案の審議未了廃案、石破防衛大臣がいったん撤退を命令する事態に。政権交代の一員となりました。

 給油については、2017年9月14日付の日経新聞1面が報じました。

 2015年平和安保法制(ガイドライン戦争法)で、「特措法」なしに、給油ができるようになりました。国会は3か月前、6月18日に閉会しましたので、給油活動について、防衛省・自衛隊は国会に報告していないと思われます。当然、特措法も要らないので、国会の合意も要りません。

 2015年改定日米防衛協力の為の指針いわゆるガイドラインでは、給油だけでなく、武器、弾薬も提供できます。これらは、2017年4月、日米ACSAが発効し、すでに自衛隊法にも落とし込まれていますから、もう、いつでもできることになります。

 平和と戦争、日本領土とそれ以外の、切れ目のない、日米軍の一体運用が、どんどん進んでいきそうです。

  前回衆議院解散総選挙後の、今の任期、第47期衆議院の、2015年9月に、これらの恐ろしい法律が自民党と公明党の賛成で可決・成立・施行しました。

 以下は、当ブログ内の関連エントリーのごく一部を以下ご紹介して、この記事は終わります。

政府、インド洋の新テロ対策法案を閣議決定

2007年10月17日 22時08分47秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

(画像は防衛省サイトから関連地図 アフガニスタン・イラン・イラク周辺)

 海上自衛隊のインド洋での給油活動の継続に向けて17日、「新テロ対策特別措置法」を政府が閣議決定し、国会に提出しました。

 政府・与党は、今週中にも衆院本会議で福田総理大臣が新法案の趣旨説明をしたうえで、速やかにテロ対策特別委員会で審議入りしたい考え。
 18日の国会対策委員長会談で協力を呼びかけることにしています。

 一方、野党側は、海上自衛隊がアメリカの艦船に供給した燃料がイラクでの作戦に転用された可能性が高いとして、防衛省の給油活動の情報を開示することがが先決だと主張。早期の審議入りには応じられないとしています。

参考記事)新テロ法案 審議入りで攻防(NHKニュース)

[17日の臨時閣議で、政府案決定 活動延長は「新法」で]

 自民党、公明党は「新テロ対策特措法」(給油新法)の法案を了承。政府は17日(水)の参院予算委員会・基本的質疑の終了をまって、夜に臨時閣議を開き、内閣提出法案を閣議決定。衆院に提出しました。
 閣法では、アメリカ軍の「不朽の自由作戦(OEF)」に参加する給油艦などにペルシャ湾を含むインド洋での「給油・給水に限り」支援することを定めます。1年間の時限立法で、国会での事後承認は不要としています。

 現行法に基づき航空自衛隊が実施してきた、在日米軍基地とグアム方面などとの間の輸送支援は取りやめます。

[民主党は対案を準備]

 一方の民主党。
 閣法への対案を準備する方針を決めました。

 民主党の対案には、NATO諸国などがアフガニスタン国内で展開する国際治安支援部隊(ISAF=アイフorアイフ)の任務のうち4つほどの民生支援への参加が書き込まれる可能性があります。

 参院議員の浅尾慶一郎ネクスト防衛大臣、衆院の鉢呂吉雄ネクスト外務大臣が党内の意見をとりまとめるとみられます。

 ところで、閣法が衆院へ、対案が参院へ提出された場合、国会審議はどうなるのでしょうか? かつてこのような例があるのでしょうか? よく分かりません。
 記者も各党の国対委員長に張り付いて大変でしょう。審議日程が分からないと、議論や取材どころではなくなります。国会日程の把握の取材は、私も経験がありますが、とてもバカバカしい徒労なのです。が、国民の代表として若い記者さんに頑張って欲しいです。

[追記 2007-10-17 15:30]
 この件について、小沢代表は16日の定例記者会見で
「委員会の論戦の中で示すか、主張をより鮮明にするために対案を提出するか、状況を見て判断する」と述べていますので、まずは衆院での審議が先行するようです。[追記終わり]

[やはり今国会最大の焦点に]

 やはり今国会最大のかけひきは「テロ特」になってきました。今の議論では民主党がリードしています。
 現在の議論は、参院民主党の浅尾ネクスト防衛相が石破防衛相に勝っていると私は思います。
 一方、衆院民主党の鉢呂吉雄ネクスト外相はもうひとがんばり欲しいところ。ただ、衆院自民党の質問者席に立つであろう中谷元さんは気負いすぎ。自衛官出身だからと言って、自衛隊の期待を一身に背負うとボロがでてきそうです。

[息詰まる攻防 自民・民主両党の論客紹介 衆参]

 衆院テロ対策特別委員会(国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会)の委員名簿(9月26日現在)を見ると、
 民主党は鉢呂さん、 長島昭久さん、松野頼久さんに期待。
 自民党は河野太郎さん、元防衛庁長官の中谷元さんがいますが、石破防衛相任せの展開になりそうな気もします。

 参院外交防衛委員会をみると、民主党は浅尾さん、自民党は山本一太さん。波乱要因は自民党の「ヒゲの隊長」こと佐藤正久さんですが、どうでしょうか?
 民主党副代表でもある北沢俊美委員長の行司役も重要になってきます。

 衆参共に委員の差し替えはいつでも出来ますから、他の論客が登場することもあります。息詰まる攻防が続きます。               

このエントリーは次の新聞記事を参考にしました


【国会傍聴記】“黒塗り”資料のまま、新テロ特措法、衆院委通過

2007年11月13日 01時15分13秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

(写真はNHK国会中継から、「スミ塗りの資料では議論のしようがない」と政府・与党の対応を批判する民主党の松野頼久衆院議員)

【国会傍聴記 2007-11-12 衆院テロ対策特別委員会】

 今国会の最大の焦点となった「テロ特」。
 米軍のOEF(不朽の自由作戦)のインド洋上での活動(油などの補給)への参加継続について、40時間55分にわたる議論が今日終わりました。
 私たちの同朋も巻き添えになった米国中枢同時多発テロ(9・11)。
 首謀者であるウサマ・ビンラーディン容疑者を逮捕できないまま、海ではインド洋、ペルシャ湾、陸ではアフガニスタン(パキスタンなど経由)、イラクなどで「テロとの戦い」は続いています。

 11月1日に根拠法が失効し、政府が出し直した新テロ対策特別措置法案(補給支援特措法)の最後の議論です。

 午前中。

○BAEシステムズの「見積書」にふしぎな費目 「技術支援費」

 「守屋喚問」で得点をあげた民主党の川内博史さん(鹿児島1区比例)。
 何度も質問に立った川内さんにとっての卒業質問。心残りがあったようです。
 英国最大手の軍事産業「BAEシステムズ」が作成した見積書
 川内さんは平成12年(2002年)の見積書の写しを入手したようです。

 この見積書が

 BAEシステムズ→山田洋行(代理店)→防衛省

 とわたる過程で、「技術支援費」という費目が加えられていたことを川内さんは突き止めました。
 この「技術支援費」は、英国社も「知らない」そうで、山田洋行が書き加えたもようです。
 川内さんはもはや、大臣の答弁を求めません。防衛省背広組ナンバー2である小川秀樹・防衛参事官さんにひたすら質問。

 そして最後に石破防衛相にヒトコト求めます。

「五年前のことだから」。

 午前の質疑は終わりました。

○スミ塗りの文書では議論にならない

 午後からは福田首相が出席。与野党2時間で最後の締めくくり総括質疑。
 民主党の松野頼久さん(熊本1区)は「合計794件の給油活動で何をしたか。オペレーション(軍事作戦)の情報を出してください」と福田首相、町村官房長官、石破防衛相に最後のお願い。

 そして防衛省が民主党に提出した文書をパネルで見せました。

 「黒塗りだらけの文書。これだけの情報で、どうやって賛成と反対を考えろというのですか」。

 とてもとても重い質問です。

 石破「船(の活動)は我々(海自)だけでやっているのではない」

 松野「米海軍は活動実績をどんどんホームページに出している。米はどん
    どん公開して、感謝の念を持つという文化が根付いている。自衛官
    の必死の活動は黒塗りにしなければ出せないのか


 午後3時5分。深谷隆司委員長(自民党)が「質疑の終局」を宣言。

 討論は、自民党の田中和徳さんが「賛成」、公明党の富田茂之さんが「賛成」。この後、委員長は日本共産党の赤嶺政賢さんを指名しました(赤嶺さんは「反対」を表明)。

 民主党が討論を飛ばされたのは、「質疑の終局」は認められないと、川内理事らが委員長に抗議を続けていたからだと思われます。

 社民党も指名されませんでした。
 この後、自民党・公明党の賛成多数で、新テロ特措法は可決。あす(13日)の本会議で記名投票採決のうえ、可決→参院に送付される見込みです。

○参院では常任委員会が審議→定例日は週2回

 参院では外交防衛委員会に付託されます。
 外防委は常任委員会ですから定例日は週2回(火、木)です。委員長は民主党副代表の北澤俊美さん(長野選挙区)です。

 参院では付託初日の15日(木)から山田洋行社長の米津佳彦参考人、前防衛事務次官の守屋武昌証人から話を聞きます。

 証人喚問には民主党から浅尾慶一郎ネクスト防衛相(神奈川選挙区)、自民党から山本一太さん(群馬選挙区)らが立ちます。
 この2人はずっと外交防衛委員をやっていますので、相当期待できそうです。
 会期末の12月15日まで、あと、33日です。


参院外交防衛委、「守屋喚問」「宮崎招致」を決定 与党は審議拒否

2007年11月02日 21時39分35秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦

(写真は証人喚問から帰る守屋前防衛次官=日本テレビNEWS24)

【国会傍聴記2007-11-02参院外交防衛委員会】

 2回目の党首会談に注目が集まる中、11月2日は衆院で本会議と9委員会、参院でも本会議と2つの委員会が開かれました。

 衆院厚労委では、労働契約法など労働法制について。財務金融委は日銀の福井総裁、渡辺金融担当大臣が出席。内閣委では銃器規制。外務委では日本がODAでおカネを出したベトナム南部での橋の崩落など外国で大きく報道されている問題に関して。

 参院災害特別委では、「被災者生活再建支援法の改正案」(民主党が提出した方の法案)が審議入り。参院本会議では別エントリーでお伝えした「年金保険料流用禁止法案」が賛成多数で可決しました。
 といろいろあったのです。

 さて。

 昨日は参院外交防衛委員会は立っていた(=開会予定が広報されていた)のですが、開かれず。今日も夕方になって、自民党、公明党欠席のまま開会しました。民主党の北澤俊美委員長が2回にわたって会議を中断し、自民党、公明党に出席を呼びかけましたが、与党は審議拒否を貫きました。

 10月29日の衆院テロ防止特別委員会に続き、参院外交防衛委も守屋武昌・前防衛事務次官を証人喚問することを賛成多数(与党欠席のため議事録の上では全会一致)で決めました。
 8日(木)午後1時です。おそらくNHKも中継するでしょう。

これに先立つ8日午前9時からは
 宮崎元伸さん 日本ミライズ社長(山田洋行元専務)
 米津佳彦さん 山田洋行社長
を参考人招致することも決定しました。
おそらくこの2人は対立関係にあると思われますので、そこをどううまく引き出すか。参考人招致なので、議院証言法にもとづく刑事告訴はありません。
[追記2007-11-7]証人喚問は15日に延期されました。[追記おわり]


米軍後方支援の手続き「日米ACSA条約改定議定書」が来週にも署名、秋の臨時国会に提出へ

2016年08月19日 05時14分15秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

[写真]外務省の日の丸、昨秋撮影。

●安保法にもとづき地球の裏側で日本自衛隊が米軍に弾薬を提供する後方支援条約が来週から再来週に改定へ

 ことし平成28年2016年3月に施行した安保法(平和安全法制)にもとづき、地球の裏側で米軍に日本自衛隊が弾薬などを提供する後方支援の手続きを定めた条約が、来週の2016年8月下旬から再来週9月上旬にかけて、岸田文雄外相とケネディ駐日米大使が署名する見通しとなりました。

 2016年8月19日付日経新聞1面が報じました。

 条約は、日米ACSA(日米エーシーエスエー)改定議定書

 日本語での正式名称は、「日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との協定(平成8年6月28日条約4号)」。

 当ブログがきょねん2015年10月ないしことし3月にかけて報じた記事(

自衛隊・米軍「物品役務協定条約(ACSA)」の改定議定書、2016年秋以降に先送り【追記有】

=全文を後掲=)のように、やはり、3月の安保法施行後、第24回参院選(2016年7月10日)での争点化を避けて、先送りした、との観測が正しかったようです。

 外務省の日米ACSAの情報ページはこちらをクリック。(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/acsa/)

●条約には「存立危機事態」などの定義を盛り込むものの、条文そのものの修正は小規模か

 条約の改定は、まずその第1条で、「周辺事態」の定義を定めていることから、安保法にもとづき、これを削除し、存立危機事態、重要影響事態、国際平和共同対処事態の3つの事態を書き込み、定義すると思われます。

 ただ、現行条約は、その第2条で、「政府は、【その権限の範囲内】で、要請された後方支援、物品又は役務を提供することができる」とあります。憲法解釈が変更され、安保法が施行したことで、「政府の権限」が大きく変わっており、条約そのものの文章の修正は小規模にとどまるとみられます。

●通貨による償還など決済方法も定めるため、大平3原則にもとづき、国会提出へ

 条約はその第10条で「後方支援、物品又は役務の要請、提供、受領及び決済の実施については(略)手続取極にのみ従う」としています。「手続取極」では、物品の決済に「通貨による償還」ができるとして条約を裏打ちしていることから、日本国政府の財政措置になるため、国会で「条約の承認を求めるの件」が第192回秋の臨時国会(9月下旬召集)に提出されると思われます。

 安保法に先行した2015年日米防衛協力のための指針いわゆるガイドラインは、両軍の協力の指針に過ぎず、大平3原則(法律、財政、高度に政治的)にもとづく条約ではないとの判断から、国会には提出されていません。

●集団的自衛権に関する初めての条約は衆議院のみがヤマ場

 2014年7月1日の解釈改憲から始まった集団的自衛権の法整備は最終局面となります。ただ、国会での条約承認を求めるの件は、憲法の規定上衆議院通過後30日で自動的に承認されます。そのため、第192回秋の臨時国会での審議は、衆議院を通過したとたんに事実上終わります。条約の承認を求めるの件が採決で否決されたことは国会史上ゼロ。そのため、第192回秋の臨時国会で、野党が争点化する場合も、衆議院で強行採決されれば、それでおしまいとなります。

●日豪ACSAも近く改定へ

 ACSAは、日米ACSAのほかに、日豪ACSAもあり、こちらも早々に改定されるでしょう。また、新しく、「日英ACSA」をつくろうという声が、日英外務・防衛両省にあります。


労働者派遣法2015年改正法で、零細の派遣元は経営難に、派遣登録者は大手派遣元の正社員へ

2017年08月19日 18時39分13秒 | 法律の執行状況

 報道(人手不足が派遣業を直撃、倒産12%増)によると、中小零細の人材派遣業者の経営が難しくなっているようです。

 これは、帝国データバンクの情報を、日刊工業新聞社系の「ニューススイッチ」が報じ、gooニュースが集めて見出しをつけている=ポータルサイトが「アグリゲイト」した=ものです。

 稀代の悪法、労働者派遣法2015年改正法が、施行されてから、来月末で2年になります。

 ところで、上の記事に含まれる背景説明ですが、私はやや違う分析をしています。2015年改正法には、派遣元にとっては、有料職業紹介、一般派遣、特定派遣がすべて許可制となり厚生労働省の所管となる改正条項が盛り込まれていました。このため、派遣元会社の「飯の種」である、特定派遣が、大手派遣元に食われたのだろうと考えます。

 一方、最近の日経新聞報道によると、大手派遣元は、派遣登録者の正社員化をすすめるようです。この場合、登録者には一つだけメリットがあって、派遣先が無いは、派遣元から給料がもらえます。

 2015年改正法によって、わずか2年でもたらされた、問題点はなにか。

 それは、「実質正社員」として働く派遣社員が、派遣元の正社員に置き換わることで、一人一人の労働者が本来受け取れる給与が、減ったことです。

 大手の派遣元会社から派遣してもらえば、長期間にわたって、実質固定で、同じ労働者に同じ職務をしてもらえることになります。よって、正社員の地位が今よりも薄弱になり、正社員も、実質正社員も、収入は今後も下がります。

このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。

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安保法施行から1年半で、「集団的自衛権」「存立危機事態」の文字が各紙1面に踊る

2017年08月11日 07時43分52秒 | 法律の執行状況

[写真]2017年8月11日付産経新聞1面、宮崎信行撮影。

 ガイドライン安保法(平和安全法制、改正自衛隊法)の施行から1年5カ月。

 2017年8月11日付の新聞各紙は1面で、前日の衆議院安全保障委員会で、「小野寺防衛大臣が、北朝鮮から米領グラムに向かう弾道ミサイルは、存立危機事態として集団的自衛権の行使の対象になる」との趣旨の答弁を大きく伝えました。

 そのうち、「集団的自衛権」とう文字が大きく載っているという理由で、産経新聞の写真を載せました。

 かりあげ君・黒電話こと金正恩朝鮮労働党委員長の指揮下にある軍人が、北朝鮮からグアムに向けて4発の中距離弾道ミサイル火星12号を発射し、日本の島根、広島、高知各県の上空を通って、グアムの沖30キロから40キロに落とす、との計画を前日に発表したからです。

 ところで、どのように地図を見ても、そのルートだと、島根、広島、愛媛、高知の4県の上空を通るはずです。北朝鮮の情報かく乱かもしれませんが、日本の新聞はぜひ、4県、ということで報じていただきたいものです。前日の玉木雄一郎代議士(香川2区)の指摘もあってか、さっそく、陸上自衛隊のPAC3ペトリオット迎撃ミサイル部隊が、4県の駐屯地に向けて移動するようです。

 北朝鮮が米領グアムにミサイルを飛ばすことは、米国の個別的自衛権の範疇です。我が国と密接に利害関係がある米国の存立危機事態は、我が国の集団的自衛権になる、との新法律です。北朝鮮は日本を攻撃するとは言っていません。仮にそうなれば個別的自衛権です。グアムに向かうミサイルは我が国上空を飛ぶことになります。これを、集団的自衛権で、海自のSM3、陸自のPAC3で撃ち落とすことを排除しないのが、きのうの小野寺答弁です。

 トランプ大統領は、さらに北朝鮮に圧力をかける発言をしました。アメリカの戦争に巻き込まれる事態が近づきつつあるということでしょうが。前日のニュース番組では、アナウンサーの人たちは何事もないように伝えるものだな、という感想を私は持ちました。

このエントリーの本文記事は以上です。

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米大統領が戦争に言及、改正自衛隊法第76条第1項第2号で、日本参戦(防衛出動)が現実味

2017年08月02日 21時25分57秒 | 法律の執行状況

 報道(トランプ氏「ICBM開発続けば戦争に」 議員が明かす)によると、トランプ大統領は2017年8月1日=米現地時刻=は、
「北朝鮮が米国を狙った大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を続けるならば、米朝間で戦争が起きるだろう」と語りました。大統領とあった上院議員が、その発言を明かしました。

 これを受けて、ティラソン国務長官(大統領同様に実業界出身の政治キャリア初めて)は、外交努力を続けることを強調しましたが、対話に関して圧力を高めるとの姿勢を打ち出しています。

 仮に、米朝間で戦争が起きた場合は、改正自衛隊法第76条第1項第2号が発動される可能性が高まります。

 これは、2015年9月に強行採決された平和安全法制で挿入された条項。「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」は防衛出動の要件になりました。よって、ICBNがその名の通り、大陸間を飛んで、米国に着弾した場合も、日本への攻撃と同等になりました。2015年4月の日米防衛協力の為の指針いわゆるガイドラインで日米が合意したものです。

 このほか、ことし国会で承認された、日米豪英などの新ACSAをふまえて、第100条周りの条文で、洋上補給活動なども新しくすることになります。こういったことに関しては、筆者・宮崎信行も、一部賛同できる面はあります。

 とはいえ、戦争で死ぬのはいつも若者です。北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国と我が国は、陸地では隣接していません。戦争法施行からわずか1年5カ月でこのような事態を迎えつつあります。

 2015年4月から9月にかけてのあの騒ぎを見て、2016年7月の第24回参院選で自民党・公明党に投票した、50歳代以上の人は、恥という概念が無いのでしょうか?無いんでしょうね。

 このエントリー記事の本文は以上です。


組織犯罪防止条約など4条約公布、いずれも当ブログ開設前の、2003年、2005年、2006年に国会承認

2017年07月14日 13時46分37秒 | 法律の執行状況

 4つの条約が公布されました。

 国会で承認された日は、2003年、2005年、2006年。当ブログ国会傍聴記を始めたのが、2007年8月でしたから、条約の公布はずいぶん時間がかかるんだなと思うとともに、飽きなくてよいです。

 「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」は平成29年7月14日条約21号として公布されました。国会では、156条約6号として、平成15年2003年5月14日に、承認されていました。

 「組織犯罪防止条約を、補足する、人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し、及び処罰するための議定書」は平成29年7月14日条約22号。国会承認の議案番号は、162条約1号で、平成17年2005年6月8日に承認されていました。

 「組織犯罪防止条約を、補足する、陸路、海路、及び空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書」は平成29年7月14日条約23号。承認は、162条約2号として、平成17年2005年6月8日に承認されていました。

 「腐敗の防止に関する国際連合条約」は平成29年7月14日条約24号。承認案は、164条約8号として、平成18年2006年6月2日に承認されていました。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2017年、宮崎信行。

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[法律の「試行」状況]可視化(取り調べの録音録画)実施率は95%に、改正刑事訴訟法の2019年4月前の施行を前に、警察庁調査

2017年05月25日 23時59分34秒 | 法律の執行状況

(26日投稿で、25日付に)

[写真]国家公安委員会・警察庁、東京都千代田区霞が関、2017年5月20日、筆者・宮崎信行撮影。

 おとといの通常国会で「安保法」「派遣法」に次ぐ第3の焦点とされ、きょねんの通常国会で参議院修正を得て成立した「改正刑事訴訟法」(改正法律は平成28年法律54号)にもとづき施行段階の実施状況を、国家公安委員会・警察庁がまとめました。

 可視化、取り調べの録音・録画について、警察庁の平成29年5月25日の調査概要では、裁判員裁判対象事件での実施状況が93・8%にのぼりました。きょねん10月からことし3月までの数字で、1事件あたり平均13・2回、平成25時間9分、録音・録画されていました。できなかった理由として「機器の故障など」が70件ありました。改正法施行の例外となる「録音・録画の拒否など」は87回、「指定暴力団員にかかる事件」が89回。ただ、例外自由となる「加害のおそれ」は0件でした。このほか、取り調べの機能が著しく損なわれる場合として警察庁が定めたガイドラインの但書の適用が93件ありました。

 知的障害者・精神障害者・発達障害者である被疑者に対しては、対象3412件(半年間)のうち、3399件で可視化し、99・6%の実施率となりました。

 改正刑訴法は、公布から3年以内の政令で定める日に施行されるため、2019年4月よりも前に施行されます。

 法律の附則は、「政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、取調べの録音・録画等の実施状況を勘案し、取調べの録音・録画等に関する制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」との見直し規定を置いています。法案よりもまずは、警察庁が対応を協議していくことになりそうです。

 この記事の内容は以上です。以下は、(1)参議院作成の議案要旨、(2)刑訴法改正の国会審議について、当ブログ内の関連記事をいくつか、抜粋でコピペします。それで終わります。

参議院作成の議案要旨からコピペ、はじめ]

(法務委員会) 
刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(第百八十九回国会閣法第四二号)(衆議院送付)(本院継続審査)要旨
 本法律案は、刑事手続における証拠の収集方法の適正化及び多様化並びに公判審理の充実化を図るため、
刑事訴訟法、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律、刑法その他の法律を改正し、所要の法整備を行おうとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 取調べの録音・録画制度の創設
1 裁判員制度対象事件及びいわゆる検察官独自捜査事件について、逮捕・勾留中の被疑者取調べ又はいわゆる弁解録取手続の際に作成された供述調書等の任意性が公判において争われたときは、検察官は、原則として、その被疑者取調べ等を録音・録画した記録媒体の証拠調べを請求しなければならない。
 2 検察官、検察事務官又は司法警察職員が、逮捕又は勾留されている被疑者の取調べ等を行うときは、一定の例外事由に該当する場合を除き、その全過程を録音・録画しておかなければならない。
二 証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度の創設並びに刑事免責制度の創設
 1 一定の財政経済犯罪及び薬物銃器犯罪を対象として、検察官が、弁護人の同意を条件に、被疑者・被告人との間で、被疑者・被告人が他人の犯罪事実を明らかにするための供述等をし、検察官が不起訴や特定の求刑等をする旨の合意をすることができる。
 2 裁判所は、検察官の請求を受けて、決定により、免責を与える条件の下で、証人にとって不利益な事項についても証言を義務付けることができる。
三 犯罪捜査のための通信傍受の対象事件の拡大及び手続の効率化
 1 現行法が規定する傍受の要件に加えて、あらかじめ定められた役割の分担に従って行動する人の結合体により行われると疑うに足りる状況があることを要件とした上で、現行法上薬物銃器犯罪等に限定されている対象犯罪に、殺人、略取・誘拐、詐欺、窃盗等の罪を追加する。
 2 暗号技術を活用することにより、傍受の実施の適正を確保しつつ、通信事業者等の立会い・封印を伴うことなく、捜査機関の施設において傍受を実施することができるなどの措置を講じる。
四 弁護人による援助の充実化
  被疑者国選弁護制度の対象事件を拡大し、死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役・禁錮に当たる罪について勾留状が発せられている被疑者から、勾留状が発せられている全ての被疑者とする。
五 証拠開示制度の拡充
 1 公判前整理手続等において、検察官請求証拠の開示後、被告人又は弁護人から請求があったときは、検察官は、その保管する証拠の一覧表を被告人又は弁護人に交付しなければならない。
 2 検察官、被告人又は弁護人は、裁判所に対し、事件を公判前整理手続等に付することを請求することができるとするとともに、開示の対象となる類型的な証拠の範囲を拡大する。
六 犯罪被害者等及び証人を保護するための措置
1 証人等の氏名等の開示について、証人等の身体又は財産に対する加害行為等のおそれがあるときは、防御に実質的な不利益を生じるおそれがある場合を除き、検察官が、弁護人に当該氏名等を開示した上で、これを被告人に知らせてはならない旨の条件を付することができ、特に必要があるときは、弁護人にも開示せず、代替的な呼称等を知らせることができる。
 2 裁判所は、証人を尋問する場合において、証人が加害行為を受けるおそれのある場合等に、同一構内以外にある場所に証人を在席させ、ビデオリンク方式によって尋問することができる。
七 その他
裁量保釈の判断に当たっての考慮事情の明確化、自白事件の簡易迅速な処理のための措置、犯人蔵匿等及び証拠隠滅等の罪などの法定刑の引上げ等を行う。
八 施行期日等
1 この法律は、一部を除き、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
2 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、取調べの録音・録画等の実施状況を勘案し、取調べの録音・録画等に関する制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
なお、本法律案は、衆議院において、証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度について検察官が合意をするか否かの判断に当たり考慮すべき事情の追加、合意のための協議への弁護人の常時関与、傍受記録に記録されている通信の当事者に対する通知事項の追加、通信傍受についての国会報告事項の追加、法施行後三年を経過した場合の検討条項の範囲の拡大等の修正が行われた。


[参議院作成の議案要旨からコピペ、おわり]



[当ブログ内記事から、関連個所をいくつか抜粋引用、はじめ]


刑事訴訟法・刑法など改正の「可視化」「司法取引」法案が第189通常国会提出へ、成立時期ずれ込みも

2014年07月10日 05時25分54秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 刑事事件の2~3%にあたる殺人など裁判員対象事件や、特捜部独自捜査事件での、取り調べの可視化・録画録音を義務付けるとともに、経済事件での司法取引や、通信傍受法の対象を拡大するなどの、刑法・刑事訴訟法・通信傍受法などの改正の答申案を法制審議会の部会が2014年7月9日まとめました。秋の法制審総会で法相に提出するはこび。刑法・刑事訴訟法・通信傍受法などの改正法案は、第189回通常国会(2015年1月召集)に提出する見通し。

 法制審の他の部会が進めている、民法債権編(債権法)の施行以来120年ぶりの大改正法案の要綱と同じく、「骨抜き」があるようです。ともに民主党政権の法相が法制審に答申し、数年かけている間に、自民党政権となって官僚、既得権益者、審議会委員、族議員らにより骨抜きされてしまった要綱となったようです。

 さらに、来年の通常国会で両方が議論されるとなると、ともに成立させるのは、至難の業となりそうです。

 ただ、第46期衆議院では、法務省提出法案が増えており、第2次安倍内閣の法案のうち、提出から成立までもっとも時間がかかっている「テロ組織への資金提供禁止法案」(183閣法30号)は、衆・法務委が1日審査しただけで、継続審査となっています。

 もともと、債権法改正は2009年に千葉法相、刑事訴訟法改正は2011年に江田法相が法制審に諮問した順になります。ともに重要法案であり、衆議院先議になる見通し。

 さらに、法務省関係で特別委員会が設けられたことはありませんし、だいいち、答弁に立つ法務大臣は一人です。内閣法制局は第2部が担当しますが、集団的自衛権を行使する自衛隊法など安保法制再整備法案も第2部の担当になります。民法改正と刑法改正を通常国会の衆議院予算通過後に審議入りしても、会期内に参議院で両方成立させるのは常識的に不可能と考えられます。性質からして、与野党など議院修正はかなり難しい法案です。法務省内の「刑事局は民事局よりも偉い」という対立が白日のもとにさらされるかもしれません。

 債権法では「会社・社長以外の連帯保証人を無効とする」、刑訴法では「全事件を可視化する」という部分は骨抜きになっており、民主党の対応が焦点になりそうです。いずれにせよ、両方のうち、少なくとも片方は、衆参選挙イヤーの2016年通常国会までもつれると思われます。衆参法務委から国政全般を巻き込んだ大政局が起こるとは思えませんが、二大政党の「姿勢」を「見る人は見ている」ということになりそうです。まさに、谷垣さんの口癖、「民、信なくんば立たず」になりそうです。

 法制審部会の答申案はまだ法務省ウェブサイトには掲載されていませんが、報道によると、次のような内容です。

 ・裁判員裁判対象事件(殺人・放火など)や検察独自捜査事件の取り調べについて、全過程を可視化するよう義務付け、機材などが整ってから開始する。

 ・企業、汚職、薬物犯罪などで容疑者・被告に不起訴処分や求刑の軽減を約束したうえで、他人の犯罪について供述させる「協議・合意制度」(司法取引)の導入。

 ・振り込め詐欺、組織的窃盗など9種類の犯罪でも通信傍受ができるように追加する。

 ・国選弁護人の対象を全事件の容疑者に拡大する。

 ・検察官が弁護士に対して「証拠一覧表」を交付する。

 ・犯人隠避、証拠隠滅、犯人威迫などの罪の法定刑を引き上げる。

 ・ストーカー、性犯罪などの被害者の氏名・住所を、証人尋問や証拠開示で被告側に明かさない制度を導入する。

 細川・羽田内閣を含めて、非自民法相はほとんど死刑を執行しておらず、戦後の死刑執行は自民党員の法相が9割5分以上になります。しかし、小川敏夫ネクスト法相(元法相、参・法務委)は谷垣法相よりも前に死刑執行命令を出した当事者経験があります。(「死刑執行を発表する小川法相記者会見要旨」はこちら)、私は刑法訴訟法第475条などによる死刑執行こそ我が国法体系を守るために必要であり、究極の政権担当能力であると考えています。

 鳩山元法相が自民党に復党したようですから、現在、二大政党以外に死刑執行経験者はいません。公明党、維新、みんなに刑法・刑訴法に関する議論をする資格はない、その党内法務部会に何の意味もない、と私には思えますが、いかがでしょうか。

 大臣の心の重荷は情報公開法が軽くします。民主党政権の千葉景子法相は、実際に死刑執行を見ました。死刑執行経験者同士の静かなバトルという、政権交代ある二大政党政治のひっそりとしながらも本格的な幕開けです。

[追記 2015年1月6日 午前9時]
昨年末に衆議院解散があり、第188回特別国会が開かれました。このため、2015年1月召集の通常国会の回次は「189回」となりました。タイトルを「189回」に修正しました。
[追記終わり]

領域警備法案などが実質審議入り 刑事訴訟法改正案はホリエモン参考人質疑 きょうの国会

2015年07月10日 22時09分10秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【同日 衆議院法務委員会】

 「刑事訴訟法改正案」(189閣法42号)のロングラン審査がなおも続きます。私も含めて「労働法制、安保法制なみに重要法案なのになかなか目を注げない」状態が続いていましたが、きょうのたぶん合計4回目の参考人質疑は1人だけ意見を述べ、1人に質疑するという珍しい形式。ホリエモンこと堀江貴文さん(SNS株式会社創業者)が登場し、ライブドア事件で東京地検特捜部に逮捕され、拘留されたときの経験と、その後の活動で得た知見を披露しました。このもようは、一部テレビニュースでも報じられ、ようやく関心が高まりそうです。


[画像]衆議院法務委員会で、刑事訴訟法改正案で参考人として陳述する、堀江貴文元ライブドア代表取締役、2015年7月10日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 堀江さんは、ライブドア代表取締役として拘留されていた時に「精神的なプレッシャーで脳の記憶が書きかえられてしまう。会ったことがない人と共謀したかのように錯覚してしまう」とし、「民主党議員の偽メール事件が拘留中に起きた時は、『ひょっとして自分が酔ったときにそんなメールを送ったのかな』 と思うほどプレッシャーを感じながら過ごした」、「私は公判前整理手続きで裁判官の裁量保釈により保釈された。今回の改正法案には司法取引が入っているが、今は検察審査会もあるが、検察官だけが起訴できる、検察官起訴便宜主義であり、(ライブドア事件のような)検察官独自捜査事件では、『不起訴にする、起訴猶予にする』と言って主犯格を追い詰めることができる」などと語りました。

 議員からの質疑に答えて、「(捜査中に)おかしいと思っていたことが、証拠開示制度により、部下の巨額の横領だったことが裁判で分かったこともある」、「拘置施設の職員が少なく、金曜日、土曜日に弁護士の面会がしずらい。そのため、特捜部は土曜日、日曜日の取り調べでぐっと攻めてくる。今後は弁護士が同席して取り調べてほしい」と語りました。

 一人だけの参考人質疑なので、1時間強で終了し、法案審査に。

 来週からは、民主党の山尾志桜里筆頭理事、維新の党の井出庸生理事が、与党・自民党と法案修正協議にのぞむことになります。

 なお、徹底審議により、少しずつ与野党がほぐれてきた面もあり、自民党の元法務副大臣(元日産自動車取締役、世襲議員)の奥野信亮委員長が特定の野党系無所属議員に対して、「これからはなるべく出席してくださいね」と促しながら、「次回は14日に開く予定ですが、最終確認してから、公報をもってお知らせします」と語りました。与野党間の堀が狭まってきたので、ぜひ修正をして、国会が検察より上位にあることを超党派で示してほしいところです。

衆議院法務委員会で刑事訴訟法改正案、民法再婚禁止期間短縮法案、ヘイトスピーチ法案可決【きょうの国会】

2016年05月20日 19時00分47秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

【平成28年2016年5月20日(金)参議院本会議】

 「区割り審(衆議院選挙区画定審査会)設置法及び公職選挙法を改正する法律」(190衆法26号)が、投票総数233、賛成152、反対81の賛成多数で可決し、成立しました。

 「改正地球温暖化対策推進法」(190閣法51号)が投票総数232、賛成153、反対79の賛成多数で可決し、成立しました。公布日に施行。

 「改正個人情報保護法」(190閣法48号)は投票総数233、賛成216、反対17の賛成多数で可決し、成立しました。

 「刑事訴訟法改正案」(189閣法42号)は投票総数231、賛成216、反対15の賛成多数で可決し、衆議院に送られました。採決に先立つ討論では、共産党の仁比聡平さんが強く反対しました。

 この後、「国の統治機構に関する調査会」の報告書に関して説明がありました。

 さらに、「国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会」の報告書も説明されました。これで、第22期・第23期参議院はひと段落というムードになりつつあります。

【同日 衆議院法務委員会】

 「民法の再婚禁止期間を6か月から100日間に退縮する改正案」(190閣法49号)の審査。自公民が「附則で3年後の見直し」を盛り込んだ修正案を提出。採決の結果、全会一致で修正可決されました。

 続いて、参本会議から、「刑事訴訟法改正案」(189閣法42号)が回ってきて、即時付託されました。前の国会で審議しているため、趣旨説明は省略。質疑は共産党の清水忠史さんだけ。岩城法相の衆での刑訴法答弁は初めてになりますが、「長時間ていねいな審議をしてきた。なんとかご賛同いただきたい」と答弁しましたが、共産党は緒方靖男国際部長(元参議院議員)の神奈川県警察本部による盗聴事件など、盗聴法の4分野から9分野への拡大などを厳しく批判しました。討論は清水さんが涙ながらに反対。採決の結果、共反対、自公民の賛成多数で可決しました。来週の衆本で可決し、成立のはこび。公布から3年以内に施行。

 採決の直後に、傍聴席から「恥を知れ」との声があがりました。それ自体、国会法やそれにもとづく規則に違反しています。私も政権交代可能な二大政党政治の実現の出鼻で、小沢信者から、政治記者・経済記者の私にはまったく土地勘が無い、検察庁・司法府に関することで妨害を受けました。なぜ私が立法府でも行政府でもない、司法府の話などに関わらなければならないでしょうか。まったく不愉快千万。小沢信者も、きょうの傍聴人も、私のように刑訴法と無縁な人生を歩んでいる者からは、理解不能です。

 この後、「ヘイトスピーチを規制する本邦外出身者に不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律案」(190参法6号)が審議入り。参法務委員との質疑の後、全会一致で可決しました。

 さらに、「差別の解消推進に関する法律案」(190衆法48号)が趣旨説明されました。ただ、質疑はないまま散会しました。次回は未定。今国会での成立はあり得ないと思われます。

[当ブログ内記事から、関連個所の抜粋引用、おわり]