[写真]衆安保特別委散会後の午後5時過ぎに、5野党党首会談で一致団結する、民主党の岡田克也代表、日本共産党の志位和夫幹部会委員長ら。2015年7月10日、国会内、筆者(宮崎信行)撮影。5党党首会談には、維新の党の松野頼久代表、社民党の吉田忠智党首、生活の党と山本太郎となかまたちの小沢一郎共同代表も参加しました。写真に全員が映っていないのは、技術的な理由であり、他意はいっさいございません。
[写真]民主党の岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表、同日、同所、同人撮影。傾いていますが、一生懸命に撮ったので、勘弁してください。
【平成27年2015年7月10日(金) 衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】
「2015日米ガイドライン実施のための安保法制2法案」(189閣法72号、189閣法73号)と、維新の党対案(189衆法25号、189衆法26号)と、民維共同提出の「領域警備法案」(189衆法27号)の合計5法案が審査されました。
民主党代表の岡田克也さんは、重要影響事態と国際平和共同対処事態の違いについて、安倍晋三首相(自民党総裁)に質疑。あまり違わないのに、後者だけ例外なき国会承認が必要であることについて、太田昭宏大臣(公明党)の答弁もふまえて、「与党協議で公明党が入れたが、公明党の努力を無に帰すものだ」と批判しました。
民主党政調会長の細野豪志さんは、新成人の数と自衛官の数を対比して、「2015年には50人に1人が自衛官、2060年には25人に1人が自衛官になる」 とし、「徴兵制とまではいわないが、経済的な理由による応募が増えるのではないか」と指摘しました。
長島昭久さんは、領域警備法案について、民主党の答弁者とやりとりし、「警察と自衛隊が情報を共有し、海上自衛隊と海上保安庁のミリタリー対ミリタリーの衝突の懸念に対応しており、法律として制定する意義がある」と強調しました。
◇
この法案も対応をめぐって、民主党の岡田克也代表は、野党党首に会談を呼びかけました。
特別委散会後の、午後5時20分から34分まで、国会内で、民主党の岡田克也代表、維新の党の松野頼久代表、日本共産党の志位和夫幹部会委員長、生活の党と山本太郎となかまたちの小沢一郎共同代表、社民党の吉田忠智党首が会談しました。共産党を含む野党と民主党の岡田克也代表との会談は1月の就任以来初めて。岡田代表は会談について、「強引な採決は認められないとの見解で一致し、今後は5党で共闘していくことを確認した」としました。
ただ5党はおのおの小選挙区での議席を持っていますが、合計での衆議院議席占有率はわずか29%。自民党単独の衆議院議席占有率の61%に及びません。これに先立つ、岡田代表の党本部での定例記者会見では、安倍首相が、解釈改憲→ガイドライン→安保法→憲法改正という逆回転を狙っているとの観測を踏まえて、各種世論調査で安保法案への賛成が半分未満であることから「少なくとも憲法改正のためには、半分の賛成がないと、国民投票(による憲法改正)はできない」とし、「このような異常事態のなかで採決することはあり得ない」としながらも、「55年体制の社会党のように何でも反対という姿勢はとらない」とし、国民世論の喚起に期待を寄せました。
●サラリーマン受難の時代、世界で一番企業が働きやすい日本2法が公布
【同日 法律公布】
天皇陛下の御名御璽により、法律2本が公布され、きょう付け官報に載りました。
「改正不正競争防止法」(189閣法45号、平成27年7月10日法律54号)は、営業秘密の漏洩を厳罰化し、非親告罪化(警察・検察の一存で捜査)することにした法律。
「改正特許法」(189閣法55号、平成27年7月10日法律55号)は、特許を社員のものから、会社のものにする法律です。
ともに3月13日(金)に政府から提出し、衆議院では別々に、参議院では一括で審査し、おのおの、共反対、自公民維賛成多数で成立しました。施行は改正不正競争防止法が6か月以内、改正特許法が1年以内の、おのおの、政令で定める日。
【同日 参議院本会議】
「国が災害ガレキの処理を自治体から代行できるように廃棄物処理法および災害対策基本法を改正する法律」(189閣法59号)が投票総数237、賛成236、反対1で可決し、成立しました。ベテランの多い参議院環境委員会がていねいに審査しました。「3・11」の教訓を法律に落とし込む作業はまだまだ国会で続いています。
「改正貿易保険法」(189閣法52号)は投票総数236、賛成221、反対15で可決し、成立しました。貿易保険を独立行政法人から株式会社にしますが、例えば湾岸戦争のときのように積立金が底をつきそうな時だけ、国が底支えすることになっています。
【同日 衆議院法務委員会】
「刑事訴訟法改正案」(189閣法42号)のロングラン審査がなおも続きます。私も含めて「労働法制、安保法制なみに重要法案なのになかなか目を注げない」状態が続いていましたが、きょうのたぶん合計4回目の参考人質疑は1人だけ意見を述べ、1人に質疑するという珍しい形式。ホリエモンこと堀江貴文さん(SNS株式会社創業者)が登場し、ライブドア事件で東京地検特捜部に逮捕され、拘留されたときの経験と、その後の活動で得た知見を披露しました。このもようは、一部テレビニュースでも報じられ、ようやく関心が高まりそうです。
[画像]衆議院法務委員会で、刑事訴訟法改正案で参考人として陳述する、堀江貴文元ライブドア代表取締役、2015年7月10日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
堀江さんは、ライブドア代表取締役として拘留されていた時に「精神的なプレッシャーで脳の記憶が書きかえられてしまう。会ったことがない人と共謀したかのように錯覚してしまう」とし、「民主党議員の偽メール事件が拘留中に起きた時は、『ひょっとして自分が酔ったときにそんなメールを送ったのかな』 と思うほどプレッシャーを感じながら過ごした」、「私は公判前整理手続きで裁判官の裁量保釈により保釈された。今回の改正法案には司法取引が入っているが、今は検察審査会もあるが、検察官だけが起訴できる、検察官起訴便宜主義であり、(ライブドア事件のような)検察官独自捜査事件では、『不起訴にする、起訴猶予にする』と言って主犯格を追い詰めることができる」などと語りました。
議員からの質疑に答えて、「(捜査中に)おかしいと思っていたことが、証拠開示制度により、部下の巨額の横領だったことが裁判で分かったこともある」、「拘置施設の職員が少なく、金曜日、土曜日に弁護士の面会がしずらい。そのため、特捜部は土曜日、日曜日の取り調べでぐっと攻めてくる。今後は弁護士が同席して取り調べてほしい」と語りました。
一人だけの参考人質疑なので、1時間強で終了し、法案審査に。
来週からは、民主党の山尾志桜里筆頭理事、維新の党の井出庸生理事が、与党・自民党と法案修正協議にのぞむことになります。
なお、徹底審議により、少しずつ与野党がほぐれてきた面もあり、自民党の元法務副大臣(元日産自動車取締役、世襲議員)の奥野信亮委員長が特定の野党系無所属議員に対して、「これからはなるべく出席してくださいね」と促しながら、「次回は14日に開く予定ですが、最終確認してから、公報をもってお知らせします」と語りました。与野党間の堀が狭まってきたので、ぜひ修正をして、国会が検察より上位にあることを超党派で示してほしいところです。
【同日 衆議院経済産業委員会】
「中小企業事業承継円滑化法改正案」(189閣法61号)の質疑が終わりました。次回に採決へ。
【同日 衆議院厚生労働委員会】
「社会福祉法人法改正案」(189閣法42号)の参考人質疑があり、理事長らが意見を述べました。
今週は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015
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