父、鯉男の元に住み込みの内弟子さんとして最初の名取りさんになった、西川正一郎さんが,長い入院生活をする父を案じて来て下さいました。父に付いて、戸倉温泉、柳橋、向島の芸者衆や産経学園、自宅と各お稽古場で日本舞踊を修行した方です。内弟子になる前、当時まだ東西線は開通してなくて、市川の自宅から錦糸町に出て都電に乗って深川不動尊前まで通ってきたとか。「小学生には遠い道のりを1人で通ったけど、日舞が好きだったのかどうか分からない、母親と小島先生にはめられたんですね」筝曲の家元だったお母様と私の祖父小島二朔(劇作家で古曲の会をよく催していた)とが知り合いだったんです。そういえば私も小さい頃祖父に連れられて筝曲の米川先生のお家に行ったりしてたことを思い出しました。彼は今、地唄の演奏家として活躍していますが、「踊りたいなあ」とおっしゃってました。鯉男先生にまだ何の恩返しもしてないから何かお役に立ちたいと、そしてお母様を送って、肩の荷が下りて飲みすぎてるかなあという彼に母鯉好が「身体を大事にしなくちゃ!私は親代わりなんだから」と叱って、今なお弟子師匠の関係は一生ものという旧き良きものを感じちゃいました。
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