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ミステリ感想-『キョウカンカク』天祢涼

2010年02月14日 | ミステリ感想
~あらすじ~
女性を殺し、焼却する殺人鬼フレイム。幼なじみを殺され、後追い自殺を図った高校生・甘祢山紫郎は“共感覚”を持つ探偵・音宮美夜と出会い、ともに捜査に乗り出した。
音を視覚でとらえる美夜の特殊能力は、殺人鬼を追い詰められるのか?
第43回メフィスト賞受賞作。


~感想~
久々にメフィスト賞らしいぶっ飛んだ作品。
文章は下手だ。設定は中二病だ。構成は稚拙だ。しかし、前代未聞の犯行の動機がすべての欠点を補って余りある。
一度きりの一発ネタだがその破壊力は十分で、厨っぷり全開の語り手や、思わせぶりなばかりの探偵と警察関係者による、いまいち盛り上がらない事件をまとめて吹き飛ばし、今作を一読の価値ある本に引き上げた。
通勤バスの中で読んでいて危うく「ええっ!?」と叫びかけたほどで、僕もそれなりに多くのミステリを読んできたが、トリックでも犯人でもない「動機」に目をむいたのは初めての経験である。
作者は続編を作る気満々のようだが、この先もこれ以上の「なにか」を用意できるのか非常に注目である。メフィスト賞はこうでなくては!


10.2.13
評価:★★★☆ 7

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