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ミステリ感想-『キョウダイ』嶋戸悠祐

2011年09月03日 | ミステリ感想
~あらすじ~
私は妻と娘に恵まれ、幸せな日々を送っていた。が、妻が持ち出した小学校時代のアルバムが人生を狂わせはじめる。
それは過去を封印していた私にとって存在してはならぬものだった。
当時、私には双子の兄弟がおり、通称餓死町で悲惨な生活を送っていた……。


~感想~
第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作。なのになぜ島田荘司御大の選評がない!?

それはともかく、これもホラーと本格ミステリの融合を目指した意欲作である。
全体に立ち込めた厭な雰囲気はなかなか堂に入っていて、冒頭の思わせぶりな展開から、過去へと流れる筆もスムーズ。簡潔な文体もデビュー作にしては達者で、短めの分量とあいまって一息で読み終えられる。
明かされる真相は本格ミステリというか「韓流ドラマ地獄篇」といった趣の鬼畜の所業で、怖いかどうかはともかく、厭~な気持ちになれること請け合い。
数作の構想があるようで、次回作以降も楽しみ。


11.8.19
評価:★★★ 6
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