~あらすじ~
さまざまな事情から、家庭では暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設「七海学園」。
ここでは「学園七不思議」と称される怪異が生徒たちの間で言い伝えられていた。
孤独な少女の心を支える蘇った先輩。行き止まりから消えた新入生。女の子が六人そろうと、いるはずのない七人目が囁くトンネル……。
七人の少女をめぐるそれぞれの謎は、真実の糸によってつながり、希望の物語となる。
第18回鮎川哲也賞受賞作。
~感想~
近隣の本屋を数件回ったがどこにも売っていなくて、やむなく注文したところ、読んでびっくりの"名"連作短編集。加納朋子のあとを継ぐ者がついに現れた。
それにしても鮎川賞を相手に地元の書店はなにをやっているのだろうか。
どうでもいい事情はともかく、6つの短編それぞれがなかなかの強度を誇る謎と解決、新人離れした巧みな伏線を用意し、それが最後に1つへと(それも予想しない形で)つながるのだから、うれしくなってくる。
これだけ正統派の「連作」は近年まれであるし、ひとつひとつの短編も「この舞台でこのトリックを仕掛けてくるか」とうなり、同時に「この舞台でこのトリックを仕掛けられるのか」と舌を巻く。
しかも強引ではあるものの一定のリアリティを持っているのだからたまらない。選評にもあったが、装丁にまで気を配る余裕も実に頼もしいではないか。
養護施設という舞台が舞台だけに、やさしいだけの物語ではないが、逆にやさしい視線が浮き彫りになり、物語に深みを与えているのもいい。
堂々の大型新人登場、とまでは言わないが、個人的に大ファンになれそうな新鋭の登場を歓迎したい。
08.11.17
評価:★★★★ 8
さまざまな事情から、家庭では暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設「七海学園」。
ここでは「学園七不思議」と称される怪異が生徒たちの間で言い伝えられていた。
孤独な少女の心を支える蘇った先輩。行き止まりから消えた新入生。女の子が六人そろうと、いるはずのない七人目が囁くトンネル……。
七人の少女をめぐるそれぞれの謎は、真実の糸によってつながり、希望の物語となる。
第18回鮎川哲也賞受賞作。
~感想~
近隣の本屋を数件回ったがどこにも売っていなくて、やむなく注文したところ、読んでびっくりの"名"連作短編集。加納朋子のあとを継ぐ者がついに現れた。
それにしても鮎川賞を相手に地元の書店はなにをやっているのだろうか。
どうでもいい事情はともかく、6つの短編それぞれがなかなかの強度を誇る謎と解決、新人離れした巧みな伏線を用意し、それが最後に1つへと(それも予想しない形で)つながるのだから、うれしくなってくる。
これだけ正統派の「連作」は近年まれであるし、ひとつひとつの短編も「この舞台でこのトリックを仕掛けてくるか」とうなり、同時に「この舞台でこのトリックを仕掛けられるのか」と舌を巻く。
しかも強引ではあるものの一定のリアリティを持っているのだからたまらない。選評にもあったが、装丁にまで気を配る余裕も実に頼もしいではないか。
養護施設という舞台が舞台だけに、やさしいだけの物語ではないが、逆にやさしい視線が浮き彫りになり、物語に深みを与えているのもいい。
堂々の大型新人登場、とまでは言わないが、個人的に大ファンになれそうな新鋭の登場を歓迎したい。
08.11.17
評価:★★★★ 8