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小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『十三回忌』小島正樹

2008年11月08日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ある素封家一族の、当主の妻が不審死を遂げが、警察はこれを自殺として捜査を打ち切ってしまう。
当主の妻の一周忌には「円錐形のモニュメントに真上から突き刺さった少女」、三回忌には「木に括りつけられ首を切られた少女」、七回忌には「唇だけ切り取られた少女」と忌まわしい殺人が続いていく。
そして迎えた十三回忌。厳戒態勢のなか、やはり事件は起こった。


~感想~
島田荘司との共著という異色のデビューを果たした作者がひとり立ち。
詰め込みすぎて窮屈な感もあるが、多くの仕掛けをぶち込み奇想を演出した力作である。
島田荘司といえば、ひとつ間違えばバカな物理トリックというわけで、今作も期待通りに豪快なトリックを見せてくれる。
特に「木に括りつけられ首を切られた少女」のトリックがすごく、想像するだに笑うしかない。
事件もトリックも詰め込みすぎて、探偵がちょっと頭をひねっただけで次から次へと真相を当てていくのも明らかにやりすぎ。だが、最後に目を丸くするようなひねりまで加えていて、ありとあらゆるトリックを網羅してみせたのは素直にたたえるべきだろう。
もっと削れば見栄えがするだろうが、しかし(単身)デビュー作ならではの、このやりすぎ感をこそ楽しむべきである。
なお、ほうぼうで文章が下手だと槍玉に挙げられているが、もっと酷い文章の本は山ほどあるし、この作者は言うほど下手ではないことを強調しておきたい。


08.11.8
評価:★★★☆ 7
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