◆不眠とは?漢方の考え方
世界の中でも睡眠時間が短い傾向にある日本人。その5人に1人は不眠に悩んでいると言われています。ひとえに「不眠」といっても、寝付きが悪い・眠りが浅い・熟眠感がない…など症状はさまざまですが、西洋医学では主に睡眠薬や鎮静剤などが処方されています。
漢方では、精神活動の中心である「心」と自律神経に関係する「肝」、「脾(胃腸)」の失調を主な原因と考え、“眠れない原因”=“体質”を見極めて、タイプ別に根本から改善していきます。睡眠薬のように「すぐ眠くなる」という効果は弱いですが、最終的には「睡眠の質が良くなった!」「睡眠薬が要らなくなった!」と喜ばれる事も少なくありません。
◆あなたの不眠はどのタイプ?
「寝付きが悪い」タイプ
□寝付きが悪い
□眠りが浅い
□夢が多い
□イライラ・怒りっぽい
□ストレスが多い
寝付きが悪いのは、身体にこもった「熱」と「肝」の不調が主な原因。ストレスの長期化や辛いものの摂りすぎなどが招いた結果です。
身体の熱を冷ます緑の濃い野菜、苦瓜や竹の子、山菜類や、肝を養う柑橘類など酸味のもの、ストレスを発散するセロリや三つ葉など香草類を摂って。不眠を慢性化させないように早めに対処しましょう。
☆オススメの漢方薬:酸棗仁湯など
「眠りが浅い」タイプ
□何度も目が覚める
□夢が多い
□憂うつ感・不安感
□動悸・めまい
□立ちくらみ・疲労感
不眠が慢性化している方や女性に多く見られるこのタイプは、血液不足が主な原因。血液が不足すると、心神(精神)が不安定になり不眠症状がみられます。疲労感や憂うつ・不安感を伴いやすいのも特徴です。
血液の元になる赤身の肉や、ぶどう、なつめや黒砂糖や・黒ごま・黒豆など黒いものを摂って。しっかり血液を補い、睡眠力を取り戻しましょう。
☆オススメの漢方薬:心脾顆粒など
「悪夢」タイプ
□悪夢をよく見る
□ストレスが強い
□熟睡感がない
□胃腸の不調
□舌に苔がべったりつく
管理職などストレスの強い方、胃腸が弱い方によく見られます。代謝が悪く、色々なものが溜まっている状態です。この他にのどの詰まり感や痰、むくみやめまいなどを伴うことも。
満腹のままでは睡眠の質が悪くなりますので、晩ご飯は就寝の3~4時間前に済ませて。脂もの、味の濃い物、冷たい食べ物などは厳禁。鬱にも進みやすいので早めの対処を!
☆オススメの漢方薬:温胆湯など
「加齢」タイプ
□朝方に目が覚める
□身体や手足の裏がほてる
□寝汗・のどが渇く
□耳鳴りや腰痛がある
□物わすれが多い
更年期以降によく見られるタイプです。年齢を重ねると「眠る力」が低下して、健康な人でも睡眠に変化が見られます。老化を予防する貝類や海草類、木の実、豆、ごまなど「腎」を補う食べ物を摂って。
熟睡出来れば6時間弱でも問題はなく、「眠れない」というストレスがますます不眠を招くことも。睡眠時間よりも眠りの質を重視して下さい。
☆オススメの漢方薬:天王補心丹など
◆生活習慣の見直しも必要
就寝前のカフェイン摂取や喫煙、テレビやパソコン・携帯を見ると脳が興奮するため寝付きが悪くなります。寝酒は寝付きが良くなるように思えますが、中途覚醒が増えるため逆効果。生活習慣を見直すことも不眠を改善する一歩になりますよ。
気持ちよい朝を迎えるために!不眠に悩んでいる方はぜひご相談下さい。
ながさきpress2013年10月掲載