渡辺さんに初めて会ったのは今から7年ほど前、コカリナ協会の東京の事務所で、でした。僕が事務所でやっている中級個人レッスンに、新幹線に乗って遠く石巻からやってこられました。それだけでも驚いたのに、お年はもう80歳に届かれるという。そして、演奏を聴かせていただいて、体全体を揺さぶりながらの熱演に衝撃を覚えました。渡辺さんはそれから何度も東京にレッスンに訪れ、コカリナ資格試験にもどんどん挑戦していきました。そして、昨年の秋、最難関である1級試験に合格、講師になる資格を獲得していました。また、渡辺さんは各地で開かれるコカリナフェスティバルにも積極的に参加。そこでのコカリナ熱演もさることながら、二次会で披露する「ボトルフルート」の演奏で、参加者の度肝を抜いていました。「ボトルフルート」というのは大きさの違う様々なビンに息を吹き込み曲を奏でるというなんとも奇抜な発想の楽器です。コカコーラやオロナミンCのビンがそのまま木枠の中にゴムひもで吊ってあり、それをとっかえひっかえ忙しく吹くのですが、これが曲になっていくのですから不思議です。渡辺さんは「一躍ボトルフルートのおじいさん」ということでコカリナの仲間達に知れ渡っていきました。2月末東京で行われた「東京コカリナフェスティバル」にも登場され、帰り際満面の笑顔で「またお会いしましょう」と帰って行かれました。その渡辺さんがあの地震と大津波で行方不明になってしまいました。渡辺さんがお住まいになっていたのは石巻の門脇地区。石巻の中でも最も被害が深刻だった地域です。その渡辺さんはいつも弁護士事務所の3階を借りて練習をされていたのだそうです。その弁護士さんが渡辺さんのためこんな詩を寄せてくれました。
団長と呼ばれた友よ 渡辺杏一さんに捧げるうた みちのく赤鬼人
歌を愛したわが友よ あなたは
多くの仲間と 歌をうたった
私たちの町 いしのまき
友よ あなたは団長だった
混声合唱
市民合唱
こころをあわせて 歌声あわせ
みんなでつくる ハーモニー
ああ わが友よ 団長よ
こんな別れがあるなんて
どうして信じられますか
音楽愛したわが友よ あなたは
多くの仲間と 楽器を奏でた
私たちの町 いしのまき
友よ あなたは団長だった
ボトルフルート
オカリナ コカリナ
こころをあわせて 舞台をつくり
みんなと多くの 笑顔をつくった
ああ わが友よ 団長よ
あの災害を恨みます
三月一一日の出来事を
酒を愛したわが友よ あなたは
多くの仲間と お酒に酔った
私たちの町 いしのまき
友よ あなたは団長だった
カクテルつくって
歌って 酔って
こころをあわせて 希望を語り
みんなを豊かな 夢に誘った
ああ わが友よ 団長よ
会えない悲しみ胸にして
今宵コカリナ聴きまする
今宵コカリナ聴きまする
団長と呼ばれた友よ 渡辺杏一さんに捧げるうた みちのく赤鬼人
歌を愛したわが友よ あなたは
多くの仲間と 歌をうたった
私たちの町 いしのまき
友よ あなたは団長だった
混声合唱
市民合唱
こころをあわせて 歌声あわせ
みんなでつくる ハーモニー
ああ わが友よ 団長よ
こんな別れがあるなんて
どうして信じられますか
音楽愛したわが友よ あなたは
多くの仲間と 楽器を奏でた
私たちの町 いしのまき
友よ あなたは団長だった
ボトルフルート
オカリナ コカリナ
こころをあわせて 舞台をつくり
みんなと多くの 笑顔をつくった
ああ わが友よ 団長よ
あの災害を恨みます
三月一一日の出来事を
酒を愛したわが友よ あなたは
多くの仲間と お酒に酔った
私たちの町 いしのまき
友よ あなたは団長だった
カクテルつくって
歌って 酔って
こころをあわせて 希望を語り
みんなを豊かな 夢に誘った
ああ わが友よ 団長よ
会えない悲しみ胸にして
今宵コカリナ聴きまする
今宵コカリナ聴きまする