カイルモア修道院のコンサートを大成功させた一行は、バスでスライゴーに向かいました。この辺は湖が点在し、湖水地方呼ばれる本当に美しいところです。昔、ジョンフォードが監督、ジョン・ウェイン、モーリーン・オハラが演じて大ヒットした映画「静かなる男」の舞台となったところでもあります。そのテーマ曲「イニシュフリーの島」は日本でも知られる美しい曲で、最近発売された「ケルティック・ウーマン」のアルバムにも、ブレンダン・グラハムさんの他の曲と共に収められています。ユーチューブで聞いてみてください。
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またノーベル賞詩人イエツもこのあたりが大好きだったようで「湖水の島イニシュフリー」という詩を残しています。そしてまさに次に向かったスライゴーこそイエツの町です。イエツは私たちがコカリナでよく演奏するあの「サリーガーデン」(柳の庭)を世に出した人です。サリーガーデンは当初、イエツの作と思われていたようですが、今は、イエツがアイルランドの田舎町で老婆が歌っていたものを採譜した、というのが定説になっています。スライゴで宿泊した朝、皆でイエツのお墓参りをしました、そしてお墓の前で「サリーガーデン」を演奏しました。それまで降っていた雨がピタリと止み、まるでイエツさんが「日本からよく来てくれました」と言ってくれているようでした。
イエツの詩から(抜粋)
老いた時への祈り
ああ、お願いです。どうか頭だけで詩を書くようにならないよう私を守ってください。
流行を越え残る詩とは、骨の髄で考えたモノなのです。
どうか、だれをも褒めそやす、賢い老人にならぬよう私を守ってください。
ひつとの唄のために、アホみたいになれない自分など何の値打ちがあろう。
お願いです。どうかおいぼれて死ぬときも
アホで熱狂的な者でいさせてください
イエツのお墓の前で
イニシュフリー島