内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

アルザス ・欧州日本学研究所研究集会第2日目

2013-09-29 05:46:00 | 雑感

 今日(28日)、午前中に2つの発表。最初は「日本浄土仏教における同朋・同行の観念」。仏教における、特に親鸞における「同朋・同行」の概念、そして浄土教における「道」と救済の関係を精密に分析し、そこからそれらの問題をユダヤ・キリスト教の中で特にマルティン・ブーバーとキルケゴールとの中に共通点・相補的な要素を探っていった。前半は大変興味深くかつ納得しつつ聴くことができたが、後半にはちょっと納得しがたいところもあった。発表者には発表後に少し質問をして、いくつかの疑問を解くことができた。次の発表は「京都学派の哲学者の言語観」というタイトルだったが、大半は西田の話。杜撰で表面的かつ誤りだらけの羅列的解説(とさえ言えないレベル)。質問する気にさえならない。コメントにも値しない。本人には自分の学問的力量の貧しさについての厳しい自己反省の姿勢もなく、これではいつまでたっても進歩がないだろう。それでも本人一廉の研究者のつもりなのだからもはやつける薬はない。
 午後は私1人の発表。論証手続きは時間の関係上一切省き、朝食後に1時間ほどで作ったパワーポイントに要点をまとめ、ほとんど原稿は見ないで、会場の奥に座っている10人ほどの学生たちの方を主に見て話す。「種の論理」の批判的検討とこれからの研究プログラムの提示という意味では非常にうまくまとめることができた。発表後の会場からのリアクションもこちらの意図に呼応する質問やコメントが多く、大変有り難く、かつ嬉しく思った。それによってこれからの研究への促しを与えられる。この集会への参加が自分の研究の次へのステージへのステップになってくれるであろう。
 研究集会終了後は、アルザスのワイン街道でもっとも美しい村とされるリックヴィールの街の観光とレストランでの夕食。みんな発表を終えたあとの開放感も手伝い、ストラスブール大の教員、アルザス・欧州日本学研究所のスタッフたちと昨日以上に楽しい会食。全体としては大成功だったと言っていいだろう。かくして今回の集会参加を終えようとしている。日本からの参加者は明日1日まだアルザス観光が残っているが、私は日曜日朝8時8分コルマール発のTGVでパリに帰る。


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