内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

六十回目の誕生日に帰仏の途につく ― 羽田国際線ターミナルで搭乗便を待ちながら

2018-08-23 21:06:28 | 雑感

 今日がこの炎暑の夏の約四週間の日本滞在の最終日です。今回、帰仏する日としてこの日を選んだのには理由があります。今日が六十回目の誕生日なのです。
 正直なところ、そんなに長く生きたという実感がありません。何も仕事らしい仕事もせずに徒に馬齢を重ね、人間としてなんら成熟することなく、右往左往しているうちに、気がついたらこんな年になってしまった、というのが、謙遜ではなく、偽らざる感懐です。そこには悔恨の苦い味が染み込んでいます。
 しかし、それはそれとして、還暦という人生の一つのサイクルを幸いにもこうして終えることができたのだから、今日という日を一つの大きな区切りとして、生まれ変わったような新たな気持ちで、定年までに残されている九年間を今の職場で時間を大切に健康に留意しつつ生きたいと思います。それは今日まで命を恵まれたことに対する感謝の徴でもあります。あと三年間は学科長を務めなければならないでしょうけれど、それ以降は、願わくは、研究を主としてフランスでの二十年余りの大学教員生活を締めくくりたい。その間、同僚たちの理解を得た上でのことですが、雑務からはできるだけ解放してもらえれば……、でも、無理かな、これは。
 何はともあれ、良くも悪くもこれが私の仕事だと人に胸を張って示せる著作を一つくらいは残してから定年を迎えたい、そう切に願っています。
 末筆ではありますが、今回の滞在中、いろいろとお世話になったお一人お一人にこの場を借りて心より感謝申し上げます。
 あと一時間ほどで搭乗開始です。明日の記事からまたフランスからの発信になります。











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