内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

夜間外出禁止令 ― 今、ここで、垂直方向に離脱する

2020-10-22 23:59:59 | 雑感

 とうとうストラスブールでも夜間外出禁止令(午後九時から午前六時まで)が発令されてしまいました。明日金曜日の二四時(つまり土曜日午前零時)に発効し、さしあたり六週間続きます。
 そればかりでなく、ストラスブールを世界的に有名にしているノエルのマルシェも全面的に中止になってしまいました。この中止による経済的損失は極めて深刻で、総額三〇〇億円に上ると言われています。マルシェそのものだけでなく、レストラン・ホテルその他この時期が稼ぎ時の業界にとっては、致命的な一撃になりかねません。もちろん、国、地方、県はそれぞれに支援するでしょうけれども、失業や廃業に追い込まれるケースも出てくるでしょう。すでに今年の三月半ばから八週間続いた外出制限令で窮地に陥っている業界にとって、今年のノエルは、挽回のチャンスだったのに、それが悪夢へと一転してしまいました。
 大学でも、学生たちの中に感染者が増え始めており、まだクラスターの発生には至っていないものの、現在の状況は予断を許しません。大学の全面閉鎖と遠隔授業への全面的移行の命令が発されないかぎり、対面授業は、教室定員の半分という制限を守るという原則に基づいて、さしあたり継続されます。出席学生数が百数十人以上の講義の一部では、年度初めからハイブリッド方式が採用されています。
 私の担当している授業に関して言えば、学部の一コマだけ、二グループに分け、それぞれ隔週で行っています。それ以外は全員出席の対面授業です。学部の残り二コマは、使っている教室の定員が五十八人であるのに対して、登録学生数は三十人なのです。幸い、毎回、少なくとも誰か一人は休んでくれるので、続けられています。「もし全員来たらどうしよう。欠席点あげるから、誰か一人に帰ってもらおうかな」と冗談で言ったら、すごく受けました。こんな笑い事で済んでいるうちはいいのですが。
 いつまで続くかわからない不安な状況下に置かれ続けるというのは、それだけで身心をじわじわと蝕んでいるのが我が身のこととしてわかります。そんな中で希望的観測に身を委ねることもできません。活路は、今ここで垂直方向に離脱することにあるように思えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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