内的自己対話-川の畔のささめごと

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日仏合同遠隔授業第三回目 ― 現実の問題と向き合う哲学的思考のための演習

2023-11-21 09:05:56 | 講義の余白から

 今朝、こちらの時間で午前5時10分から6時50分まで(日本時間では午後1時10分から2時50分まで)、日仏合同遠隔授業の第3回目がZOOMを使って行われた。私たち教員2人を含めて39名出席。欠席者はストラスブール側の1名のみ。
 今回は、4つの日仏合同チームそれぞれのサブチーム3つの代表に中間報告をしてもらった。だから合計12の報告があった。このようにサブチームを作らせたのは今回がはじめてだった。その理由は、3、4人の小さなチームでのほうが連絡を密に取り合うことができ、話がまとめやすいということである。これは狙い通りであった。各サブチームですでに話し合いを重ね、問題意識がよく共有されており、今後の計画もみなしっかり立てている。全体として期待以上の進展が見られた。
 各サブチームの代表が発表するように先週指示したとき、代表は日本側でもフランス側でもよしとしたのだが、発表者はおそらく全員日本人だろうと予想していた。そのほうがまとめるのも簡単だからである。ところが、あるチームは、3つのサブチームの発表者が全員フランス人だった。しかも、この短期間にパワーポイントも準備してあり、要点が明瞭簡潔に示されていた。これは発表の準備に日本人学生たちがよく協力したからこそであり、それだけチーム全体としてよく機能していることを意味している。これには特に感心した。
 生命倫理、動物倫理、肉食主義という、彼女ら彼らが今までよく考える機会がなかった問題について、参考文献を自分たちで探しながら、それらから得られた知見に基づいて話し合い、その過程で問題がより明確化し、日仏のさまざまな相違点も浮かび上がり、これら三つのテーマの相互連関性も自ずとよりよく見えるようになってきている。
 一方で、哲学・倫理学の基礎概念に立ち戻って問題の大枠をより堅固なものとしつつ、他方では、現実世界の具体的な諸問題・諸事例についての情報を収集することで抽象的な一般論に陥らないように注意する。それらの作業を通じて限定された問題を考えることが、実は哲学的思考の演習になっていることに学生たち自身が気づき始めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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