南町の独り言

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日米同盟の正体

2009-04-16 22:57:55 | 読書
「日米同盟の正体 迷走する安全保障」というオドロオドロしいタイトルに引かれて読んでみました。
北朝鮮問題、海賊対策の自衛隊海外派遣問題、イラク・アフガニスタン問題などなにやら日本の自衛隊が米国の世界戦略の一員の如く動き始めたことに違和感を覚えるのは私だけではないと思います。
著者の「孫崎 享」氏は、外務省国際情報局長や防衛大学校教授などの経歴ですから、先鋭的な軍事力増大を説くのかなと思いましたが、そういう考え方ではありませんでした。

孫崎氏は、日本の安全保障戦略を考えていくうえでは、まず、米国の戦略の把握が肝要であるとしています。
戦略思考に弱い日本がただ盲目的に米国主導の世界戦略の駒として使われていくことに危機感をあらわにもしています。
真珠湾攻撃や9.11同時多発テロの裏側についても克明に解説をしています。

最後に“日本の進むべき道”について孫崎氏はこう語っています。
「戦後の日本は、自らの選択ではなかったが、軍事を捨て経済に特化するというモデルを採用した。
結果として、グローバリズムが深化し、経済の相互依存性が高まる中で、この行き方が自国の安全を確保する手段となっている。
これはキッシンジャーなどが予想しなかった安全保障政策である。
振り返ってみると、戦後日本は国家の行き方として新しいモデルを構築した。
そして日本は自己の経済力を高めるにつれ、外交を活発化させた。
その中で自己のモデルを他国に押しつけてはいない。
しかし、日本と同じモデルを志向するなら、その自助努力を支援する態勢をとった。
恵みではない。支援である。・・・・」

日本の安全保障政策について勉強するにはお奨めの1冊である。


日米同盟の正体~迷走する安全保障 (講談社現代新書)
孫崎 享
講談社

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