5月27日に経産省から「エネルギー白書2008」が報告された。
1999年を底に上昇傾向に転じている原油価格の動向は、いまや高騰に継ぐ高騰で実体経済へも深刻な影響を及ぼしている。
白書では、その高騰要因を分析しているのでぜひ目を通していただきたい。
要因を大別するとふたつある。
ひとつは、需給バランスを基礎とするファンダメンタルズの問題。
もうひとつはその他のプレミアム要因である。
厄介なのはプレミアム要因。
世界各地で紛争が絶えないという意味での「地政学リスク」と、「原油市場への投資資金急増」がそれである。
1バレル90ドル時点での分析では、約1/3の30ドルがプレミアム要因によるものだという。
現在価格は1バレル139ドル程度であるから、46ドルはプレミアム価格だとの推測もできる。
産油国でも石油収入が増大する一方、インフレが急速に進展し、国民生活を圧迫しているという。
インフレ対策のための財政支出が増大し、原油の販売価格を上昇させる圧力にもなる悪い方向へのサイクルが回り始めている。
それでもプレミアムはあくまで短期的・特殊要因だ。
需給バランスからくる価格上昇要因にどう対応するかが最も大切なことである。
それは“省エネ”と“代替エネルギー”の確保である。
世界でもっとも進んだ日本の“省エネ技術”と、発電原価や環境対策に優れている日本の「石炭火力発電技術」「原子力発電技術」を世界的に積極展開することが望ましい。
同時に、「太陽電池」の性能向上や活用をも国策として進めるべきであろう。
エネルギー白書を読んで、ぜひみなさんにも考えていただきたい。