日本の景気動向や仕事と暮らしについての勤労者の認識を定期的に把握する“連合総研”の調査報告書「第15回勤労者短観」が発表された。
この調査は2001年4月に第1回調査を開始して以降、毎年4月と10月に定期的に調査を実施し、連合の政策課題の検討などに使われている。
調査は民間企業に勤務する20歳代~60歳代前半までの勤労者1100名を対象に行われた。
定点調査(景気、物価についての認識)の状況に興味深いものがあった。
景気に関する認識が、1年前と比べた現状、現在と比べた1年後の見通しのいずれについても、前回調査(07年10月)に比べて大きく悪化している。
物価についても1年前と比べて“上がった”とする割合は91.3%、1年後の物価見通しについても“上がる”が85.9%と、いずれも調査開始以来の最大値を更新している。
勤労者の日常生活の体感(景気感)は個人消費に大きく影響する。
景気の悪化が心配される所以である。
意外だったのは「健康診断の受診」について。
労働安全衛生法第66条(健康診断)では明確に、①事業者の社員への健康診断提供義務と②労働者の健康診断受診義務を定めている。
だから多くの企業では社員に対してうるさいくらい定期健診の受診を促す。
しかし今回の調査で判明した意外な事実。
①男性は約8割が「会社の健康診断で受診」、17.8%が受診していない。
②女性は約6割が「会社の健康診断で受診」、24.2%が受診していない。
③男女とも20歳代の未受診者が多い。
④労働組合有の受診率が高く(90.8%)、労働組合なしの受診率が低い(64%)。
ここにも格差問題が見て取れた。
労働者は健康あっての労働者?
病気や怪我をしても誰も助けてはくれない。
だからこそ年に一度の定期健診は必ず受けよう、受けさせよう