城郭探訪

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多羅尾氏の代官陣屋跡

2015年11月06日 | 陣屋

江戸時代の代官・多羅尾氏に脚光 滋賀信楽、住民が保存会結成

多羅尾代官陣屋入り口の正面石垣奥に明治30年代まであった番小屋跡を示す岩田会長(甲賀市信楽町多羅尾)

 徳川幕府から信楽の代官に任命され、幕末まで続いた多羅尾氏の代官陣屋跡(滋賀県甲賀市信楽町多羅尾)を観光スポットにしようと、地元住民らが保存会を結成し、10月末から一般公開を始めた。市が地権者と活用に関する協定を結んだのを機に、整備に取り組んだ岩田孝之会長(72)は「ボランティアガイドも養成し、村おこしにもつなげたい」と夢を膨らませている。

 多羅尾氏は、1582(天正10)年の「本能寺の変」で窮地に立った徳川家康が岡崎城(愛知県岡崎市)に逃げ帰った「伊賀越え」で、伊賀甲賀の道中警備をしたことで知られる。その功績で旗本に取り立てられ、信楽で代官に任命され、近江、河内、伊勢、大和の幕府直轄領を治めた。

 代官陣屋跡は広さ1・8ヘクタール。建物は残っていないが、精巧な切石積みの石垣や、江戸後期に作られた庭園などがある。主屋正面玄関床下には信楽焼の甕(かめ)二つが埋められており、水琴窟の原理で人が上を歩くと音が聞こえるようにした音響装置とみられる。同様のものは北海道函館市の奉行所跡に確認されているだけという。

 私有地のためこれまで非公開だった。今年4月に住民約80人が同跡保存会をつくり、県や市の補助金を利用して、うっそうと茂っていた雑木や古木を切り、坂道には階段を手作りし、散策できるようにした。陣屋跡の歴史や見どころを書いたガイドブック(A4判、8ページ)も市教委の指導で作成した。

 今後も整備を拡大しながら、春と秋限定の公開を続ける予定。今秋の公開は29日まで。午前9時~午後4時。見学は無料。問い合わせは多羅尾地域市民センターTEL0748(85)0001。

資料提供:京都新聞 2015.11.6


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