城郭探訪

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滋賀・長浜の塩津港遺跡発掘調査現地説明会

2015年12月11日 | 遺蹟

発掘調査現地説明会に参加しました。

発掘調査現地

出土品

 

 

琵琶湖に国内最古級の構造船 滋賀・長浜の塩津港遺跡

京都新聞2015.12.11

長浜市西浅井町塩津浜の塩津港遺跡から、国内最古級の大型の「構造船」の部材だったとみられる板材が見つかった

 滋賀県文化財保護協会は10日、長浜市西浅井町塩津浜の塩津港遺跡から、平安時代後期(12世紀)の木造船の部材が出土した、と発表した。複数の板をつなぎ合わせてつくる「構造船」の部材としては国内最古級。近世以降に琵琶湖水運を担った100石積みの丸子船(全長17メートル)を超える大きさだった可能性もあり、同協会は「12世紀の琵琶湖では構造船が主流となり、輸送にあたっていたことが分かる貴重な資料」としている。

■日本海と京都の物流担う

 部材は12世紀の地層から出土し、長さ205センチ、幅58センチ、厚さ11センチ。木の種類は分からないが、針葉樹とみられる。

 遺構として発掘された道路と建物跡の間にある側溝に架かった踏み板として出土したが、構造船をつくる場合に板と板をつなぎ合わせる「縫いくぎ」を打ったとみられる穴(長さ12センチ、幅3センチ)が3カ所あったことや、遺跡から穴にちょうど合う大きさのくぎのほか、のみなどの工具が出土していることを踏まえ、踏み板はもともと構造船の側面または底で使われていた部材と推定している。丸子船との比較から、復元した場合、全長17メートル以上、幅約2・4メートルの大型船だったのではないかとみている。

 室町時代までの船は、木材をくりぬいて胴体にし、船首や船尾を継ぎ足した「準構造船」が主流だったとこれまで考えられており、平安後期の構造船は国内最古級という。

 当時、塩津港は日本海側の物資を京都に運ぶ重要拠点で調査では、福井県の敦賀と塩津港を結んだ「古代塩津海道」とみられる道路も見つかった。発掘に携わった同協会の横田洋三主幹は「大きな輸送力が必要だったため、大型船をつくりやすい構造船が必要だったのではないか。塩津港は日本の物流を支える重要な港だったことがさらに裏付けられた」と話している。

 調査は国道8号塩津バイパスの工事に伴い、今年7月から実施した。現地説明会は12日午後1時半から。問い合わせは同協会TEL077(548)9780。

■日本造船史上の大発見

 用田政晴・琵琶湖博物館上席総括学芸員(考古学)の話 分厚い板材や大きな船くぎが出土したことで、国内最古級の構造船だったと思われる。古代から中世にかけての日本の船の実態はほとんど知られておらず、日本造船史上大変な発見だ。

■船板との判断は尚早か

 出口晶子・甲南大教授(民俗地理学)の話 出土した踏み板が船板から転用されたのであれば、構造船の可能性もある。ただ、踏み板の穴の間隔がふぞろいで、強度を要する船板の接合方法としてはやや不自然だろう。今後は板と板がつぎ合わされた状態での出土に期待したい。


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