ファミリー

帰り道、電車の車窓からは気温を示す電光掲示板が見えます。
気温4度。今朝出かけぎしに見た天気予報では2度でしたので、
その差は高々2度。私の知らないところでは、4度以上になって
いたのかもしれませんが、知る由も無く、また4度以上であった
からと言って暖かい1日ではなかったに違いないので、特に
気にすることもありません。3月最初の日だと言うのに寒い日
でした。

今の職場は毎朝朝礼があって、誰か一人がスピーチをすることに
なっています。大抵客先でのこと、インターネットで見つけた
記事のこと、そして家族のこと。

今日当番であった人のスピーチは卒業式を迎える息子の事でした。
「親ばかなんですが・・・」なんて前置きをして、その宣言に
違わない親ばか振りを発揮してくれました。さぞ自慢の息子で、
可愛くてしょうがないのでしょう。

この人は、私が一生感じることは無いだろう気持ちに揺さぶられ、
それを幸せと感じているのです。羨ましいとか、妬ましいとか
そういう感情でなく、毛筆で半紙に書いた明朝体のごとくはっきりと
した「絶望」のようなものを感じました。

でも、きっといい事ばかりじゃないのだろう等と邪悪な思いを
めぐらして自分を慰めていました。なんて、醜い私なのでしょうか。

一人でいることの気楽さは本当に素晴らしい。でも、いつまでも
一人では生きてはいけない事を暗に知らされたようにも思いました。

好きな人はいるのに。
その人とは巧くやっていけそうに思うのに。

でも、家族になるだなんて、夢のまた夢のその向こう。こんな氷点下
間近の夜も、一人で眠ります。どうせならいっそ、凍えて目が
覚めなければいいのに。