黄色い拍子木

たまのをよたえなばたえねながらへば しのぶることのよわりもぞする

熱帯夜

2007-07-29 09:35:27 | Weblog


金曜日の夜のこと。

金曜日の夜だというのに、特に予定もない私は孤独が
インプリメントされた洋服のように感じます。そして、
それをインプリメントする私。

地下鉄に乗れば、20分ほどでターミナル駅にたどり着きますが、
歩いて帰れない距離ではありません。対応に苦慮する仕事の所為で
蓄積されたフラストレイションを、早く溶かして流してしまいたいと
思い、熱帯の大阪を歩くことにしました。

ビルの屋上にある電光温度計は「34」を表示していました。
日が沈み、もう1時間は経とうとしているのに冷める気配は
ありません。空気は高温、微動だにせず、私の呼吸器系統を
支配します。色はないはずなのに、重厚なビロードのような色に
染みているように思います、この空気。

たまらず、コンビニエンスストアーで缶ビールを買います。
発泡酒ではなく、ビール。発泡酒のウスッペライ感触があまり
好きではないのです。それに、たまにしか飲まないし。

いい気分。
ひとりだけど、とてもいい気分です。

この週、私はとても嫌な思いをしました。生きてきて、これまでに
ないほどの嫌な思いです。出生と存在を呪いました。高速で近づいて
くる列車が、かすかな痛みと引き換えにピリオドをくれる、なんて
考えました。

胸を張っていえる、私は不幸だと。別に今日明日の食べ物に困ったり、
夜露をしのぐ場所がないなんて事はありませんけれど、でも。
私だって、人並みに誰かを好きになり、恋をしてもいいでしょう?

でも、できないのです。ええ、多分。きっと。

今、ビールがフラストレイションを洗い流したとしても、深層に
インプリメントされた「絶望」クラスは破棄できないのです。

馬鹿で単純に、誰か好きと思える風になりたかったのですよ。
色々、あまりにも沢山のことがありすぎました、この身の上。
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