黄色い拍子木

たまのをよたえなばたえねながらへば しのぶることのよわりもぞする

色あせるもの

2006-02-26 21:14:39 | Weblog
「姫路モノレール」に関するgooウェブ検索結果

美術館を後にして、友人の目的であるモノレール(正確には
モノレール跡)へと向かいます。友人の、と書いてはいますが
私も詳しく見たことはないので結構楽しみにしています。

遺跡を楽しむ心構えとして、あらかじめ背景などを知っておく
事が大切です。なぜ何のために建造されたのか、そしてなぜ遺棄
されてしまったのか。もちろん、そんな背景も調べられないほどの
物件は山とあります。特に戦後の物件は。

でも、姫路モノレールはその点に於いては秀逸です。文頭のリンク、
トップのサイトがそれを物語っています。

この遺構は大体次のようなパーツで存在しています。

・高尾アパート(「大将軍駅」)
・手柄山展望台(「手柄山駅」)
・軌道

美術館を出て、まずは高尾アパートを目指します。船場川沿いの道まで
移動し、右手側に「謎の船場ビル群」を意識しながら、歩いていきます。
もしかしたら支線が走っていたかも・・・みたいな妄想を膨らませつつ
歩きながら眺めます。それにしても、もし軌道が通ったかも知れない
場所を実際にモノレールが走っていたら、住人はさぞ騒がしい毎日を
送っていたに違いません。住人の健康を気遣うのも重要な都市計画の一部
ですので、正気の沙汰とは思えません(見てる分には楽しいだろうけど)。

さらに歩いていくと「大将軍駅」のある高尾アパート傍に着きます。
近くのラーメン屋で昼食を取り、いよいよ真下にまで近づきます。

中途半端に残された軌道が哀愁を誘います。かつては都市発展の重要な
インフラになると思われていたモノレールですが、現在は取り壊すのに
費用がかかるからと放置される厄介物と化しています。どこかしら、
磯野家の某マスオ氏を彷彿としてしまうのは私だけでしょうか。もしくは
マッサージチェア。

3階部分には今なおホームがあり、場所によっては駅名の看板を確認
することができます。今でも、こない電車を待つ何者かが待っているような、
悲しいホラーの1本でも書けそうな気配があります。ちなみに、この辺は
あまり治安がよろしくないような雰囲気がしますので、女子は必ず日の
高いうち、複数で来ましょう。男子がいるとなお可です。この場合男子は
女子から慕われ思わぬ展開に!?

「大将軍駅」からさらに、軌道に沿って「手柄山駅」を目指します。
途中には「山陽色素」の煉瓦造りの建物がありますが、そばに川が流れて
おり、バーチャル小樽を楽しむことが出来ます。ただし川は・・・哀愁を
引き立てるどぶ川ですので、悪しからず。小樽を期待して行ってガッカリ
されても、当方は責任を持ちません。

メインはモノレールですからネ。

手柄山周辺はすでに軌道など無く、存在そのものを否定するかのように
真新しい病院が建っていました。以前はここらあたりにも軌道があった
のでしょうけれど、残っているものと言えば軌道があったところにある
盛り土くらいです。

展望台は水族館と展覧会の時に作ったと言う欧風の城、それと展望
スペースで構成されています。欧風の城はラブホテルっぽいですが、
姫路を一望でき、遠くには姫路城が白く燦然と輝いています。

そこいらで中学生くらいの子供たちが遊んでいます。まさか、この展望台の
下にはロッキード社製のモノレールが4両眠っているなど思いもしない
でしょう。入り口はコンクリートで固められ、たとえそれを取り壊しても
重機が入れて車両を運び出すスペースはありませんので、二度と日の光を
浴びることはないでしょう。そう、まるで鉄仮面のように。あたりには
あってもよさそうな「モノレールがあったんだよ」記念碑らしいものも
ありません。何者かが本気で存在を抹消したいようです。

それにしても何故このようなものを作ったのか?補助金を出して山陽電車
(ほぼ同じルートを走っていて、梅田まで伸びている私鉄)を高架化したり
するほうがよっぽど現実的であっただろうに。

ロッキードに唆されたのか、市長の趣味なのか。あるいはそうする事が
出来なかったホニャララな何かがあったのか。未来的イメージは確かに
魅力的ですが、こうなってしまっては・・・。往時の姫路市は、やたらに
地下鉄を掘りまくり、意味不明な建造物をつくりまくる現在の大阪市に
イメージが重なります。

姫路城と言う、立派な物があるのにねぇ・・・。

帰り道はそんな背景のせいか妙に重たい気持ちとなり、やけに肩がこりました。
友人も同じく。昭和の亡霊が構って欲しさあまりに両肩にぶら下がって
いるのかもしれません。いまだ健在の懸垂式モノレールのように。

私が比較的順調なポートライナーの話題を持ち出した所為かもしれません。
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