あっと言う間に「柳本駅」に着いて、おっとー!気前良く電車が来たので飛び乗って、そのまま帰ったんです。
え?帰ったって?当然でしょ、私のウチ、東京よ。え?さすらいの一人旅は、もう終わりか?ですって?あったりまえじゃーん!もう充分さ!エネルギーは満ち足りたの。って言うか究極を超えた感じがするよ。マジ、キューティーハニー、敵じゃないね。
何て、格好良く、ちゃっちゃと帰宅できたらねー、結局、名古屋までガタゴト各駅で、眠っちゃってさぁー、起きたら夜中なの、で、名古屋でカツ丼3杯食べてたら遅くなっちゃって、そっから新幹線で東京駅に直帰したけどさ、東京駅から中央線に乗って自宅のある武蔵小金井に着いたのは、朝ですよー!午前7時の御帰宅でーっすぅ!
私の家は武蔵小金井の駅を北口から降りて、歩いて15分位のトコにあるんだけどさ、なんだかねぇー朝陽をバックに勤め人と逆方向に歩きながら変だな?って気づいたのは、景色がおかしいのよ。
ええーー!って感じ。何?これ?何?って。。。
無いの。私の家のあったあたりが黒くなって凹んで見えるんだわ。げ!って青くなってダッシュしたけど思ったとおり、火事だよ、火事。って言っても、もう鎮火して辺りは倒壊した黒焦げの残骸だらけなんだけど。じょ・じょーだんじゃないわよ!あたしんち!あたしんちは!ダッシュもいいとこ、冷や汗ダクダク。
で、そ・そんなーーーーーーーーーーぁ!ですぅーーーー!私の家がないの。綺麗に焼けて黒い墨みたいのが黒焦げの原っぱを埋めてるの。って言うか墨が私のウチを埋めてるの。あー違う!だからぁーもーう、屋根とか柱とか家具とか全部、焼けちゃって崩れちゃって、その上に黒い墨が降り積もって、黒い原っぱみたいになっちゃってーーー!訳わかんないよぉー!私の家は、どうなったの?って、え?焼けたんだ、よ、ね。じゃなくて!私の両親は?弟は?いったい、何があったの?どうすればいいのよ!
もう私は、パニックになったね。絶叫しちゃったみたい。ぎゃぁぁっぁぁぁーー、かな?ぎょぇぇぇぇーーー、かな?それで、わんわん泣いてるところへ、顔見知りのオバさんが、やってきたの。それでね、余計にパニくって、そのオバさんに、うわぁぁぁっぁ~んって泣きつこうとしたら、何故?オバさん、避けるんだよ。私を。って言うか青い顔して行っちゃったよ。おーい、何よー!私は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら燃え尽きた我が家の上で、朝陽を背に絶叫したわよ!
うぎゃぁぁぁっぁあ!うぇぇぇぇぇ~ん!ふんぎゃぁぁっぁっ!もう正常でいられますか!っと、
「あのぅ」
ってチャリに乗った御巡りさんが声をかけてくれたんで、私は、
「いったい、なにがあったんですかー!」
って泣きながら尋ねると、
「ここの家の人?ここ3日前に全焼しちゃってね、原因は調査中だけど、大丈夫?じゃ御遺族って事になるかな。」
って言うんだ。御遺族って!冗談じゃないわよ!3日前って私が夜に、さすらいの一人旅のために抜け出した日じゃん!そんなのないよー!火事なんかなかったじゃんかー!げ!あたしが出たあと、燃えちゃったの?
もう私は何が何だか分からなくなって、とにかく御巡りさんに聞いて市役所に行くことになった。もう考えたく無いけど、とにかくウチの辺り一帯は物凄い火事になって全焼して、住人も半分以上は焼け死んじゃって、生き残った人も重体が多いって、信じられるかよー。
あー全く、不親切な人間ばかりだ東京は!私は、ひょっとしたら可哀想な遺族のいたいけな女の子なのに、送ってくれもせず、泣きながら市役所まで歩いたわよ!さらによ!さらに!市役所で火事の事を聞くと事務的にニコニコ笑う女の人が出てきて、コピー用紙を持ってきて、そこに御遺体の名前が書いてあるんで確認してくれって!ふざけてる!それで、もし御家族の名前が見つかったら近くの公民館の霊安室に行って確認して欲しいって!何て冷たい言い方なのよ!
私は真っ赤になって頭に来ちゃって、その女の人からコピー用紙をひったくると、
「ふざんけんな!」
とか毒づいてザッと目を通したんだけど、、、え?最初に飛び込んできたのが、信じられないことに私の名前。ウソ。私の名前だ。ウソー。だって、じゃ、ここにいる、このスーパーパワーの生命力バリバリの美少女はいったい誰だっていうのよ!これは何かの間違いだとしても、次々と私の目に入ってきた名前は、私を失神させるのに充分で、そこで、私は、私は、この神経ダイヤモンドの、この私が、ドタッと倒れたわけで。人生いきなり、ズンドコ、真っ暗。目の前、真っ暗。
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目が覚めた時は、病院で、何と弟がベッドの横に澄ました顔しているじゃん!なんだー、生きてるじゃん!って思ったら弟の顔がマジ青いんで大丈夫かよって起きあがって近づくと、弟の奴め、ブルブル震えだして、こう言ったよ、信じられる?
「お・お化けーーーーーーー!」
ど・どうなっちゃったの?キャプテン!?
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