元祖・東京きっぷる堂 (gooブログ版)

あっしは、kippleってぇケチな野郎っす! 基本、自作小説と、Twitterまとめ投稿っす!

さすらい少女2004夏 4

2021-07-31 07:34:37 | 夢洪水(散文・詩・等)
さすらい少女 2004

-4-


 起きると、あたたたたたぁ、身体中が痛いんだ。でも、ぐっすり寝ちゃったよ。えへへ、メール入ってるかなぁ、掲示板に書き込みあるかなぁ、なぁんて気にしないでバタンキュー(死語!)って夢も見ないでグッスリ眠ったのって、いったい何年ぶりだろう?

 おもわばウチラの世代ってやっぱ重症だわ。思い出せないくらい子供の頃に何にも気にしないでオ気楽に眠った記憶があることはある。でも物心ついてからは、いつだってメールや書き込み気にしてて、出会い系に悪戯ゴゴロで書き込んだエッチな内容に誰かがどう反応してくるかケラケラ笑って、それでいてかなり神経ダメージ感じてるし、いつも誰かが自分にアクセスしてないと怖いから自分からアクセスして、またアクセスされて、どんどんどんどん、それが広がって行くのがクラスの英雄みたいな感じになって、そうじゃないと、イライラして相手が自分のことをバカにしてんじゃないかとか勝手な憶測して、メールの内容や掲示板の書き込み見て、微妙なニュアンスでレスしたり返信したりして、探り合いの中でこそこそ生きてて息苦しくて頭に黒い綿がつまったようになるのに止められなくて知ってる人だったら、じかに正直に聞けばよいのに、又、ちょっと乱暴な言葉かまして探って思い込みを膨らませて、結局、実は全然、違ってたりして、あっけに取られたり、って、あー何やってんだ!子供の頃はケータイなんて無かったし、ましてインターネットで同じクラスの子とホームページで競い合ったり、書き込みし合って相手の本心をウジウジウジウジ気にしたりなんて、あー疲れるわぁ。

 いつから世の中はこんなに疲れるようになったんかしら?実際、人間、楽しく生きてゆくのに、こんなの必要なの?いらないんじゃない?って、げぇーそんな事、考えたことも無かったよ。進歩なのか、旅で浮かれてるだけ?あーもう、又、そんな事考えてるだけで、気分が沈んでくるじゃん!止め止め!今日はどこに行くか、それを私自身が決めて実行するのが現在最大問題じゃんか!ダッと布団から跳ね起き!!

 おお!身体は痛いが何だか私のお肉が元気一杯だぞ。何だか、さすらい2日目にして、もう神経が2~3倍太くなった気がするわ。うっしゃー!今日は、さあてどこ行こう?うわ!自由!うわ!開放感!メールなんて掲示板なんて・・・どうでも・・・って、まだちょっと気になるわ。そうよね、たっぷり、その中で生きてきたんだし、ちょっとケータイ捨てて家出して名古屋いって奈良に来て、はい、もう気にならない、もう、そんなのいりませんわ、うふふふって訳にいくか!人間再生、1日2日にしてならず!あーでもお母さんやお父さん心配してるかなぁ、って、プルップルッ!また甘えが顔出したよ、今は考えないのだーー!絶対に強くなってやるのよ!

 何だか1人で朝から興奮しちゃって部屋の時計見ると、げぇ~まだ朝早いじゃん。でも身体がバタバタさすらいを欲するんでハートマークのバック担いで、いざいざゆかん!って勢いあまって部屋から廊下をフロントにダッシュしてゆくと、昨日のここの旅館のお爺さんが朝も早よから1人で椅子に下着のまんま座り込んでTVをじっと見ているよ。

 私はちょっと面食らってストップしたせいでつんのめりそうになっちったよ、おいおい嫁入り前の乙女の前で下着でTVか!って、うぅ、感じるわ、感じるわ、これが生活ってものだわ。そうよね、私は何だか元気バリバリにテンション・ブースターかかっちゃってるけど、回りの人は、皆、日常の中で生活してるんだよ。やべ、あったし、バカに見えるよね。ちょっと頭を引き締めておしとやかな旅の学生さんにならなくっちゃ。何だか変な娘だ、こりゃきっと素行不良の家出娘に違いないなんて思われて警察に突き出されたら、せっかくのさすらい一人旅が台無しだっちゅーの!大人しく気品を持って、普通の可愛い女の子が夏休みにお爺さんの家に遊びに行く途中なんだぞ、なぁんて感じで振る舞わなきゃぁいけません。しずしずと歩いて、かすかな可愛い微笑を浮かべて、

「おっはようございまぁーーーーっす!」って大声だしちったよ、ひー。

 自分で自分のバカでかい声にビビってると、お爺さん、

「おはよう」って言って、例の必殺のニカッだ。このお爺さん、なんて優しい顔をして笑うんだろう。参った参った。私も、つい大口開けてニカッだ!うれしー!お爺さんも、またニカッと笑い返してきたよ!こんな気持ち、昨日から何度目だ?とにかく、これだけでも旅に出てよかったと思うよ。えへへへー!とか思いながら、ふと横の待ち合わせソファーの方をチラッと見ると昨日のイケメンの男の子がいて、白い帽子を被って出かける支度をしてるの。あらあら、きゅんって胸が鳴ったわ。く・苦しい、恋ね恋だわ!なんて、よしなさい!昨日、反省したばっかじゃん、うぬ、まだまだ修行が足りないのぅ、そっち方面じゃ。何たって女子高だもんなー私。出会い無いもんね。あはは、あはは、見てろよー!そのうち必ず、チョーイイ男をGETしてやるんだ、ケータイ・メールなんかに惑わされず、ホームページに我を忘れて掲示板を気にしまくるようなことの絶対に無い!逞しい神経の太い優しいタフでワイルドな奴をGETしてやるんだ!ねぇキャプテン!って、おいおい私の理想の男は、キャプテンかい!ありゃりゃわたしゃ、人生観変わってきちゃったのかしらねぇ。

 ま、そんなこんなで、「えんらく旅館」にバイバイして、お爺さんのニカッに見送られ私もニカッと手を振って、おーおーお腹がキュゥゥと鳴るんで見回すと旅館の隣に喫茶店があってモーニングやってんじゃん、また旅館の方に引き返して、お爺さんと出くわすのもバツが悪いので、低姿勢でこそこそと(何やってんだ!)戻って、たらふくモーニングを食べてやった。カツ・サンド・セットを3つにチョコパフェだ。げ、またカツだ。う、ひょっとしてカツってエネルギーいっぱい?って食べたは、いいけど、どこいこう?

 とりあえず、喫茶店をお爺さんに出くわさないように匍匐前進(なわけないよ、比喩ってやつだよ)で抜け出して、春日大社ってトコに向かったんだけど、うげー、暑いわ暑いわ、いったい今年の夏は世界を溶かす気なの?あはは、でも、暑すぎて笑いが出てくるのは何故?何故?
 





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