木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

第五問と判例の立法国賠の基準

2012-04-15 16:00:02 | Q&A 急所演習編
立法行為に対する国家賠償請求について (redia)

2011-12-28 23:51:50
木村先生、初めまして。

急所の第5問について質問したいことがあり、コメントさせていただきました。

木村先生は、第5問において国賠法上の違法を判断するにあたって、「公権力の行使が違法であったこと、行為者に行為の違法性の認識又は認識可能性があったこと、損害発生に関する予見又はその可能性があったこと」という3つの要素から検討しておられると思いますが、この「公権力の行使が違法であったこと」というのは、憲法の答案上は、憲法に反すれば違法だという形で述べれば十分なのでしょうか?

行政法においては、一般の国賠請求訴訟であれば職務行為基準説が通説・判例だとされているので、違法性を検討するにあたっては公務員の注意義務違反の検討が必要になりますし、特に立法行為については最大判平成17年9月14日において最高裁が、立法行為が国賠法上違法になる場合として「国民に憲法上保証されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」を挙げており、これに沿って検討することが必要になるかと思うのですが、憲法ではここまで踏み込む必要はないのでしょうか?

本問では、平成17年の最高裁判決を用いても、憲法上保障されている権利を侵害しているかが問題となる以上、答案の流れはそんなに変わらないと思うのですが、気になり、質問させていただきました。

もう1点、立法行為ではなく通常の国家賠償請求が問題となる場合、職務行為基準説をとると答案がどのような流れになるのかということもぜひ教えていただきたいです。憲法に反するような行為をすることは職務上の注意義務違反と評価できる、と言うような流れになるのでしょうか?

長文すいません。お時間があるときにご回答いただければ幸いです。



>rediaさま (kimkimlr)
2011-12-30 12:41:41
こんにちは。ありがとうございます。

ご指摘の問題ですが、
例の立法国賠の要件というのは、
大雑把に言うと、立法が違憲で、
しかもそれが明白だから違憲の認識があった
というもので、
論証例などもそれを意識して書いていますが、
判例の文言にもっと結びつけるべきだったと思います。

職務行為基準説で答案をという場合ですが、
この場合の「違法」は
「取消違法がある、結果発生の予見可能性がある、
違法性の意識可能性がある、
よって、その職務を基準としたときに、
義務違反がある」
ということなので、
厳密に議論するためには、公権力発動要件欠如説と同じように、
手順を踏んで書いて、
さいごに「だから違法だ」といってやった方が、どういう要素を判断しているか明確になって、読み手にわかりやすいかなと思います。

私は、学部の頃、行政救済法の試験の日は
そうやって準備していましたが、
確か、「国賠法の『違法』について」という一行問題が出題されてしまい、
事案へのあてはめはしなかったなあ。

参考になりましたでしょうか?
何かあったら、またコメントして頂ければと思います。


ありがとうございます。 (redia)
2011-12-30 14:21:01
木村先生、ご回答ありがとうございます。

なるほど、在外選挙事件の判例の規範も、職務行為基準説も、結局は「公権力の行使が違法であったこと、行為者に行為の違法性の認識又は認識可能性があったこと、損害発生に関する予見又はその可能性があったこと」という3つの要件を検討しているのと同じことなのですね。

文言にばかり気をとられていてそのような意識で行政救済法を勉強していなかったので、大変参考になりました。

ありがとうございました。


>rediaさま (kimkimlr)
2012-01-02 09:59:17
どうもありがとうございます。
また、何かあったらお知らせいただけるとうれしいです。

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1 コメント

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国賠に関して、自身の問題 (藤原誠二)
2017-10-01 09:39:42
突然のご連絡、失礼致します。御教授お願い出来ますか?
14年ほど前の東京高等裁判所の民事訴訟について、
内閣府の行政文書公開、審議会が文書を公開しないため、民事訴訟で敗訴した、本人訴訟があります。
厚生労働省が取り引き先、企業の為、労働基準監督署、職業安定署が、適切な指導監督権を放棄、国の財務省配下の特殊法人の為、配慮、現代で言う、忖度配慮、天下り機関の為に、脱法違法派遣行為を黙認していた内容です。民事訴訟の時効は、10年ですが、
国家賠償法
(昭和二十二年十月二十七日法律第百二十五号)
第1条、第3条、第4条、第5条に該当するか、質問です。時効の中断期間が算出されるか、難しい案件です。民法(明治二十九年四月二十七日法律第八十九号) 「民法」第百三十二条  第百六十六条 の適用が、なさせるのか?   当然対応できる辯護士も限られているので、苦しんでおります。教えを乞うて宜しいでしょうか?
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