そぼくんさんから、ご質問をいただきました。
疑問 (そぼくん)
良い(自分に合う)ゴルフクラブは飛距離が伸びる。
良い万年筆は書き味が良い。良い将棋盤と駒ってどんな効用があるんですか?
なるほど。確かにもっともなご疑問です。
まず、駒ですが、駒が上質になると、一言で言えば、美しくなります。
著名な書家による文字が、
漆の上品な光沢で記されます。
見ているだけで自然と背筋が伸びます。
また、御蔵島の柘植で作られた駒は
非常に美しく、まさに、「木材の宝石」です。
このような高級駒を使用する場合、
下手な棋譜を並べては駒に失礼という気持ちになり、
心から上達しようという気分になります。
次に盤ですが、
まず、高級盤は、高貴な香りにつつまれており、
場の空気が澄んでゆきます。
さらに駒を打ち付けたときの音がよく響き、
普段、歩兵の足は力強く、桂馬は躍動感があり、
飛車の一手に重量感が増します。
場面を生き生きと描けるようになるということです。
大山十五世名人は、「上達したかったら、良い道具を使いなさい」
とおっしゃったようですが、
これは、どんなことにも共通すると思います。
包丁が切れないから、料理が嫌いになってしまう。
筆がなめらかでないから、書道が嫌いになってしまう。
オーディオセットがしょぼいから、クラシックが嫌いになってしまう。
こういうことがないように、
何かを本気で始めるときは、
本当の最高級品ではないものの、日常使いの最高級品
から始めるのが良いのではないでしょうか?
司法試験に臨まれる方も、
「この万年筆で、下手な答案はかけない」と思えるような
万年筆を用意してみると、勉強により集中できるかもしれません。