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木村草太の力戦憲法

生命と宇宙と万物と憲法に関する問題を考えます。

ご質問について

これまでに、たくさんのご質問、コメントを頂きました。まことにありがとうございます。 最近忙しく、なかなかお返事ができませんが、頂いたコメントは全て目を通しております。みなさまからいただくお便りのおかげで、楽しくブログライフさせて頂いております。これからもよろしくお願い致します。

憲法29条2項の内容

2011-11-30 15:49:11 | Q&A その他
29条2項と森林法 (だま)
2011-11-26 12:20:58
第5問とくにテーマ講義④について質問させていただきます。

木村先生の「29条2項は、国に対し「公共の福祉」に適合する財産法の構築を請求する権利を各国民に保障する条項として理解できます」という説明は、非常にわかりやすく助かりました。

もっとも、上記のように29条2項を理解し、請求権だとすれば、請求の要件はどのようになるのでしょうか?
29条2項の文言上、①財産権侵害があること(既得権侵害だけではない)、②公共の福祉に適合していないこと、となるでしょうか?

これを前提に森林法違憲判決を読んでみると、
①分割請求権を制限
②公共の福祉に適合するかどうかは、比較考慮で判断し、目的○だが、制限に合理性はない

となり、すっきり理解できたような気がしています。

理解に誤りがある点を指摘していただければ助かります。


>だまさま (kimkimlr)
2011-11-26 12:35:06
そうですねえ、①財産権侵害という要件は
たぶん「財産権」の定義ができなくて、
うやむやになるので、要件は、
①現行財産法が公共の福祉に適合していないこと
②そのことから不利益を受けていること
位になるのかなと思います。

どうだろう。

急所第九問と白紙委任

2011-11-30 15:48:09 | Q&A その他
第9問 住基ネット起因損害の賠償制限について (tom)
2011-11-24 10:23:34
木村先生こんにちわ。

質問を1つよろしくお願いします。

P316で、「仮に、本件法律10条が有効だとしても、本件総務省令は委任の範囲を超えており…」と書かれています。
この点、私は白紙委任の問題として検討してしまいました。

委任の範囲の逸脱の問題か、白紙委任の問題かはどうやって区別すれば良いでしょうか。

検討の順番としては、①白紙委任→②委任の範囲の逸脱で、①に問題がなければ②の検討のみで良いということでしょうか。


>tomさま (kimkimlr)
2011-11-24 15:18:15
ええと、白紙委任の問題は、
そもそもそこから委任の趣旨をよみとれない
という法文で、
あの問題で書くとすれば、
一番最初かなとお思います。

委任逸脱は、委任の趣旨が読み取れるとしても
そこからずれてるという話で、一応、
白紙委任問題とは区別できるはずかと。

いや。気づきませんでしたが
確かに重要な論点ですね。
ありがとうございました。

ご返答ありがとうございます (tom)
2011-11-25 11:42:58
検討順序としては、①白紙委任:委任の趣旨を読み取れるか→②委任逸脱:①の委任の趣旨が読み取れるとしても、委任の範囲を逸脱しているか、という順序で検討するとい

うことですね。

ありがとうございました。

>tomさま (kimkimlr)
2011-11-26 12:03:35
おいっす

図書館蔵書廃棄事件と差別されない権利

2011-11-30 15:47:10 | Q&A その他

Unknown (K.s)
2011-11-14 19:38:17
こんばんは。

図書館蔵書廃棄事件判決についてなのですが、一つ質問させてください。
急所p99にあるとおり、この廃棄処分を表現の自由への制約と考えることはできないと思いました。

ただ、この事件では特定の思想等が記された本がターゲットになったことから、14条1項違反、という構成や、21条1項はその表現内容となっている思想等に着目した不合理な差別を受けない権利も含むといい、本件では同項違反があるとの構成はできるのでしょうか。

自由権侵害ではなく、平等権侵害であれば構成できると思ったのですが‥




>K.sさま (kimkimlr)
2011-11-14 21:14:00
こんにちは。お久しぶりです。

おっしゃる通り、給付の条件型の事例では
すべて平等権、差別されない権利を主張できます。
ジュリスト1405号の座談会冒頭の私の発言と
駒村先生の応答をご覧ください。

グッドな目の付けどころだと思います。

外国人の人権と規制と給付

2011-11-30 15:46:20 | Q&A その他
マクリーン判決について (HK)
2011-11-14 15:07:23
こんにちは。HKです。
いつも楽しく拝見しています。

今回は、マクリーン事件判決を学ぶ中で疑問が生じたので、
木村先生のご意見を伺えたら、と思いコメントさせていただきます。

今回の疑問は、本判決における不許可処分は、自由権を制約しているのか、という点です。

外国人Xには一定程度政治活動の自由が保障されるとしても、本件不許可処分はこの自由を制約しているのかが分かりません。
本件不許可処分は、「適法に在留する地位」という給付を拒否(撤回)するものだと考えれば、自由権の制約はなく、外国人の人権共有主体性の話が直接的には問題となって

いないのではないかと考えました。

お忙しいとは思いますが、お時間のあるときにこの点についてご回答いただけたら、と思います。

よろしくお願いします。



>HKさま (kimkimlr)
2011-11-14 21:11:12
どうもお久しぶりです。

おっしゃる通りです。
実は、外国人の人権の論点は、
基本的に、給付(在留資格付与)の条件型の事例になります。

この点は、インタラクティブ憲法第一巻「違憲の条件の法理」でも指摘されております。

つまり、外国人の人権の論点は
「この人権は、外国人にも保障されるか?」ではなく、
「この権利を保障しないことを
 外国人の在留条件にすることが、
 憲法上許容されるか?」という論点として
構成すべきなのです。

ちなみに、労働条件と一緒で、
外国人に保障される権利を拡大すればするほど
=在留条件としてはいけない事項を拡大すればするほど
受け入れ可能な外国人の数が減るわけで、
権利拡大一辺倒ではないバランスのとれた
議論が必要になります。

詳細は、まだ先になりますが、
木村草太『憲法Ⅱ 憲法が保障する権利』(出版社未定、三年以内に出版予定、笑)331頁をご覧ください。

職業選択の自由と営業の自由の違い

2011-11-30 15:44:56 | Q&A その他
第6問 学習距離規制事件について (keita)
2011-11-10 16:19:42
木村先生,こんにちは。

大学院の仲間と「憲法の急所」を使用して,答案を書き,互いに添削しあうというゼミをやっています。
今回は,そのゼミの中で議論になった点について,先生にお聞きしたいと思います。

第6問の学習距離規制事件に関する質問です。

急所では,第6問の原告の主張において,「憲法22条1項によって,職業選択の自由のみならず,選択した職業を継続する自由を保障している」(P.223)とし,本件条例・本件不許可処分がX社の憲法上の営業の自由を制約している,とあります。
 ここで,疑問に思ったのが,本件において原告側から,「営業の自由」について検討する必要があるのか?という点です。
原告からすると,本件規制は,許可制による職業選択自体の規制であることを主張するだけでよく,わざわざ営業の自由の規制と言うことを主張しなくてもよいのではないか,という意見がゼミの中で出ました。
本件規制は,塾を開設した「後」の規制ではなく,そもそも塾を開設する「前」の規制であることから,営業の自由を主張する意味がよく分からないのです。
論証例(P.242 Q6 3行目)を見ても,「許可制による職業選択自体の規制であり」といっていることから,端的に職業選択の自由だけを主張すればよいのではないのでしょうか?

むしろ,被告の方から,「そもそも,Xは,既に全国規模で学習塾を経営しているのだから,塾の経営という職業選択は認められている。本件規制は,Xにとっては,新たな

塾の開設という事業の拡大が規制されるという点で,職業活動が制限されているというものである。だから,違憲審査基準も厳しいものとする必要はない。」というような反

論として,主張されるものではないか,という意見がゼミで議論となりました。

 本件において,原告が「営業の自由」について主張する理由又はメリットがあるのか,先生の考え方を聞かせて頂きたく,コメントをさせていただきました。

 

>keitaさま (kimkimlr)
2011-11-10 16:35:12
こんにちは。なるほど。

ええとですね、最近の学説は、
職業選択の自由と営業の自由を概念として区別しなくなってきてるんです。

だって、選んでも遂行できないなら
選ぶ自由を保障してることにならないでしょ。

ということで、営業の自由と独立に
職業選択の自由という概念を立てる必要はなく
22条1項は、営業の自由保障規定と位置付ければいい
と考えられてきているのですね。

ただ、クラシックな学説では両者を分けるので、
職業選択の自由と書いてももちろんOKだと思います。

というわけで、それほど深い意味はないのですが、
どうでしょうか。

Unknown (keita)
2011-11-10 17:42:22
お忙しい中での返信,ありがとうございます!
職業選択の自由と営業の自由の概念が区別されなくなってきていることについては,知りませんでした。
その視点からもう一度急所をみて,ようやくスッキリしました。ありがとうございました。


>keitaさま (kimkimlr)
2011-11-12 12:03:27
スッキリして頂いて、何よりです