急所演習編第2問について (satoimomoko)
2011-11-10 16:12:29
木村先生はじめまして。「憲法の急所」で勉強させていただいている者です。
第2問の原告の主張について質問があります。
急所97ページでもご指摘のとおり、剣道受講拒否事件判決の調査官解説によれば、「本件は、剣道実技の履修を義務付け強制する措置の当否を直接的に問題とするものではな
い」との記述がありますが、この記述に基づいて、
本件方針によれば、Xの信仰に反する行為をしなければ、進級できない。
よって、事実上Xは、信仰に反する行為を強制されることになる。したがって、本件方針に基づく処分は、Xの宗教的行為の自由を侵害しているといえる。
というような趣旨の主張にして、裁量論を持ち出さないことは、不可能、または筋の悪い主張なのでしょうか。
第2問の解説を読むまでは、「裁量=原告に不利」というイメージだったので、原告側で裁量論を主張することに抵抗感がありまして、以下のように主張してしまった場合は全く点数が入らないのか、気になってしまいました。
お時間がありましたらご回答よろしくお願い致します。
>satoimomokoさま (kimkimlr)
2011-11-10 16:32:15
こんにちは。ありがとうございます。
さてさて、受講拒否の事案ですが、
あれを実際に国家試験に出す場合、
信教の自由で書く答案を0点にする
という採点基準をとることは、おそらく無理だと思います。
というのも、そういう構成で書く人がほとんどだからです。
しかし、それは理論的に正しいということではなく、
そういう構成を0点にすると、
みんなが0点になって差がつかないから
しょうがなく、ということです。
理論的には、急所にも書いたように
退学処分は自由権の直接制約になりません。
それでも自由の制約だというのであれば、
自由権の概念に変更を加え
保護範囲と制約論のとこで一大勝負です。
また、おっしゃる通り、裁量拘束という土俵は
原告に有利とは言い難いのですが、
ういう土俵で戦わなくてはならない場面もあるということかと思います。
これが回答になりますが、実践的には
自由権の侵害になる!と主張し、
制約がなくても裁量論と
二段構えをとるのがいいのでしょうね。
急所の論証例は、あくまで一例で、
あの問題では、自由権の典型侵害とは違うよ
ということを強調したくて
ああいう論証になっております。
ご回答ありがとうございました (satoimomoko)
2011-11-10 18:57:07
木村先生
早速のご回答ありがとうございました。とてもすっきりしました。
急所の問題を解いていると、主張の組み立て方だけでなく、ベースとなっている判例の理解も深めることができて、とても勉強になります。
また質問させていただくこともあるかと思いますが、よろしくお願い致します。
>satoimomokoさま (kimkimlr)
2011-11-12 12:05:03
ありがとうございます。それでは、また。