私は3月1日に八十路を迎え、貧乏と平穏無事な人生を懐かしく振り返っています。

私は生まれたとき育った土地と建物を戦時中飛行機場に接収され、4歳では父を戦闘機で、15歳には母を肺結核で亡くしました。

混迷の時代の「対テロ」について、偏った見方で安易に敵対してよいですか。

2015年01月30日 | 混迷の国際情勢

 

 願い叶わず焼かれるダルマも多い

 日本は中東においては、どの国とも円満な関係を築いて来たのに、選挙で再選された安倍総理の軽率で勇ましい言葉が目立ち、国際関係を徒に悪くしています。

 昨年から今回拘束された二人がISILによって誘拐されたという情報が政府に入っていたのに、安倍総理は、よりによって中東3か国訪問中に、避難民に対する人道支援2億ドルを発表しました。ここでも安倍総理は、無償資金協力であることを強調し、明確にISILと戦う周辺各国を支援するとうたい上げました。シリアやパレスチナにも難民はいるのに外されたのです。

 欧米が集中爆撃している「イスラム国」が、日本が欧米への人道支援だというのであれば、同等の資金を身柄と引き換えに要求して来ることは当然です。思慮の足りない言動だったと思います。

 安倍総理の言動が、日本と中東の関係を悪くするだけではありません。戦後70年の首相談話でも既に村山談話や小泉談話のキーワードは使わないとのべています。安倍総理の勇ましい言動は国会議員300議席を背景にした強気な行動であり、中東だけでなく、近隣諸国との関係も意に介さないで祖父が進めてきた歴史観に基づき、キーワード否定の路線を進むことでしょう。

 なんとかして、安倍総理の口を封じ込めて、危険な首相談話を止めさせないと、中東や近隣諸国と良い関係を続けて行けないでしょう。

 心配なのは、新聞やTVのジャーナリズムは、特定秘密保護法制定以後は極端に政府を非難する言動をしなくなったか、控えています。特定秘密保護法の威力は絶大です。法案成立から1年が経たないのにこの状況であるのは、戦前の20年間に戦争に進んでいった道筋を上回るスピードでないかと感じます。

 国会の安倍総理の答弁を聞いていても、「国民の絶大な支持は我にあり」として、野党議員の質問を考慮することもなく、いとも軽く突き放しています。野党も更なる追求に窮しています。

 この混迷の時代であっても、日本の警察が信頼され、治安は良好であり、外国人が増加しているのに関わらず平和で、基本的人権と民主主義は、まだ守られている状況にあることを、まず認識することです。

 中東や欧州、北アフリカの現状は、先に欧米と中東の戦争(例えば米のイラク戦争)があり、その余波としてテロが起きる。これに対して欧米はテロは暴力だ、許せないとして対テロ攻撃を一方的に戦闘機爆撃し、町の破壊をくり返している。更にその反発も無くならないのは当然です。

 残虐非道な殺戮を繰り返すイスラム国の行為は、どの様な理由があろうとも国家として許せません。これと欧米の戦闘機による無差別爆撃による住宅攻撃とを比較するとき、兵器の大小だけで違いはなく、どちらも相手のことはどの様のも言えます。

 第2次世界大戦のナチスのホロコースト、米の広島への原爆投下を比べて原爆は米だから許されて、ホロコーストは否定するのですか。どちらも許せません。戦争や地域紛争は、一方が正義で他方が悪ということはありません。

 この時にこそ、中東を訪問した日本の総理は、世界に向かって、日本国の平和憲法によって戦後の70年間外国に軍隊を送ったこともなく、平和な生活を送っている。近隣諸国との紛争もないとして人道支援を発表すれば、日本人が利用されることはなかったはずです。

 この混迷の状況は、欧州や北アフリカも変わりません。困難に日々向き合っている人々に寄り添う思いを持って、戦争相手国に寄り添う気持ちを持たなくては解決しません。中東の親日感情を壊さないようにしたいものです。

 安倍総理は、米欧のみに加担して集団自衛権を主張していますが、中東への2億ドルは積極的平和主義に適う出資にはなりません。紛争に火を注ぐだけです。人道支援であれば、紛争が鎮静化するものでなければなりません。

 蘇生

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿