私は3月1日に八十路を迎え、貧乏と平穏無事な人生を懐かしく振り返っています。

私は生まれたとき育った土地と建物を戦時中飛行機場に接収され、4歳では父を戦闘機で、15歳には母を肺結核で亡くしました。

高浜原発の運転差し止めを認める仮処分を、福井地裁が取消す決定。

2015年12月26日 | エネルギー政策

 

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福井地裁は、高浜原発の運転を差し止めた仮処分決定を取り消して、関西電力の異議申し立てを認めました。住民側はこの決定に不服として抗告しますが、関電は来年1月にも再稼働することになります。

私はこの決定に全面的に賛成ではありませんが、「過酷事故が起こる可能性」について住民の不安を納得させる十分な説明が無い点と、関電と規制委員会に最新の科学技術による高いレベルの安全性を目指すよう求めただけで、「絶対的安全性は存在しない。」としたのは惜しまれます。

福井地裁は、住民側が主張する津波や土砂災害の危険性について、関電の対策を合理的と評価していますが、新規規制基準に一層の厳格さを求めていません。

福井地裁の決定には、結論的に異存はありません。私は昨年11月8日に川内原発再稼働についての鹿児島県知事の同意に際し、このブログに書いた通り再稼働を容認します。

原発が抱える大事故のリスクについて、「過酷事故が起きる可能性」と、県民と原発の周辺の安全性をどの様に捉えるか、周辺住民だけでなく国民が等しく考えなければなりません。

しかし、私たちは歴史上初めて、多重のテロ・革命が同時に起きる時代に生きています。すなわち、ネットワークや生命科学の革命、経済のグローバル化、西洋から東洋への力のシフト、世界の人口増加、そして地球環境汚染が人類に直面する変化として迫っています。

気象変動問題では、今月13日、地球環境の危機だとしてCOP21は温室効果ガスの削減方法を、先進国と発展途上国が対立を乗り越え、196か国が国連で新枠組みに合意しました。

日本は、COP21において国連に、温室効果ガスの30年時点で26%削減を約束しています。この数字は、電源に占める原発や再生可能エネルギーと火力発電の割合を前提に、省エネ対策、森林によるCo2吸収効果などからはじき出しています。

日本は、東京電力福島第1発電所事故後、運転開始から40年を迎える老朽化原発9基(東海、ふげん、浜岡1,2、美浜1,2、敦賀1、島根1、玄海1)の廃炉を決定しています。1基300億から800億円とされる廃炉費用をどう捻出して行くのでしょうか。

先送りして来た原発の「負の遺産」を電力会社、日本原電、政府の3者だけに任せるのではなく、今日まで40年間原子力発電の恩恵を受けて来た国民も一緒になって廃炉処分に協力することです。5年後には更に高浜原発3基、大飯2基、伊方、東海2を加えて合計16基が稼働40年を迎えます。

原発を解体するのに厄介なのは核分裂で汚染された放射能廃棄物の存在です。放射線量が一番低い「L3]に分類される廃棄物は地中で50年ほど保管が必要です。福島第1原発は2基の廃炉を全行程を4段階に分けて36年まで28年間で終わる予定をしています。

今後、残された原発36基は安全性が確認され稼働が可能であれば、40年を超えても発電できます。化石燃料を節約し、単価コストが安くCO2の削減のためにもなる原発を稼働させて、老朽化した原発の解体・廃炉及び使用済み核燃料の処分に必要な経費に充て行かなければなりません。

廃炉費用については国民が負担することになり、経産省は13年10月に電気料金に定額制を取り入れて積立方式としましたが、積立不足が出たときは原発の資産価格を損失として計上する仕組みにしました。これには高レベル放射性廃棄物である使用済み核燃料の処分費は入っていません。

私は、日本に原子力発電所1号機が出来たとき、資源の少ない日本では湯川博士監修で「ついに太陽をとらえた」とする原子力の本を読み、原発という大きな希望の火に感動を覚えました。

原発52基が果たして来た功績にに感謝しないで、3基の被災、即「脱原発」を叫んでいる国民を見ていると悲しくなります。

日本原電もチェルノブイリ原発事故以来、原子炉の廃炉がいかに困難であるか、放射性廃棄物対策や汚染水の処理にも難渋しています。安全な処理策を政府・学者と一体となって考案して、化石燃料を使うのではなく稼働可能な原発で稼いで行かないと、国民に負担が更に増加するだけです。

現存の52基の原発の稼働方針を決めないで一言で「脱原発」をいう新聞やメディア各社が主張することに違和感があります。東日本大震災で爆発事故を起こした福島第1原発の被害までは、チェルノブイリ原発事故でも、日本の「脱原発」を主張していません。

イギリスは90年間原発建屋をそのままにしておき、放射能が下がるのを待って解体する方法を取っています。汚染や放射能漏れ対策は、将来解決できると考えています。

「脱原発」論は、東京電力に爆発の事故責任を認めるからでしょうか。震災と津波の複合的な不可抗力の爆発だったのだと思います。

政府や東京電力会社、日本電源には過失責任はないと思います。

日本に東日本大震災のような震度と大津波が来るというのは1000年に1度と考えています。事故の対策を考える場合、世界中で起きている事例を参考にして、過剰な対策は経費の無駄と時間の浪費となることが多くあります。

現在、時間をかけて大工事を進めている東北の災害復旧工事を見ていると、脱原発論にも同じ傾向が感じられます。

私は、将来的に原発を無くすることには賛成です。新しく原発を作ることも、輸出することも反対です。

東日本大震災の被害は日常頻繁に起きることはないのです。40年かけて建造して来た原子力発電所を1度の震災で稼働できる原発を停めて、52基全部を廃炉にする発想は不可解と言うほかありません。

蘇生

 

 



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