私は3月1日に八十路を迎え、貧乏と平穏無事な人生を懐かしく振り返っています。

私は生まれたとき育った土地と建物を戦時中飛行機場に接収され、4歳では父を戦闘機で、15歳には母を肺結核で亡くしました。

新元号「令和」の時代を迎え、いつまでも「輝きを失わない平和憲法」を求めて邁進しよう。

2019年05月01日 | 平和憲法

 

愛知県江南市 曼荼羅寺の藤 

平成31年4月30日に天皇陛下を退位された上皇様は、退位のお礼の言葉で「明日から始まる新しい令和の時代が、平和で実り多くあることを、皇后と共に心から願います。」と述べられました。

これに対して安倍首相発言では「天皇陛下の歩みを胸に刻みながら、平和で、希望に満ち溢れ、誇りある日本の輝かしい未来を創り上げて行くため、最善の努力を尽くしてまいります。」と、上皇様に感謝の言葉を申されました。

首相のこの発言は「上皇様の歩んできた道」と同じ道であることを示した言葉ですが、上皇様の歩んだ道と「首相がこれから歩む道」は全く違っています。

上皇様は、昨年の戦没者追悼式のお言葉で「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いをいたしつつ」と戦後日本の73年間の歩みを肯定して、「平和と非戦を願い続けて来た」思いを始めて表現されました。

「平和と非戦を願い」については、23年前の戦後50年の終戦の日に村山富市首相は、日本の戦争加害の責任に言及し、反省の言葉を首相として初めて使いました。

そして戦後70年の戦没者追悼式で元上皇様は「平和の存続を切望する国民の意識に支えられ、我が国は今日の平和と繁栄を築いて来ました」と平和希求の主体は国民であることに言及されました。

更に追悼文に「先の大戦に対する深い反省」という一文を盛り込まれていました。

上皇様は、象徴天皇制と憲法の平和主義は深く結びつけていておられます。

これに対し安倍首相は第2次政権発足後には「戦争を知らない次世代に謝罪を続ける宿命を背負わせない」との思いから戦争に対する「加害と反省」の表現を使うのをやめました。

首相は昨年9月の自民党3選を受け、2020年の新憲法施行に向けて9条2項に自衛隊明記の改憲意思を表明しました。

公明党は憲法9条2項の改憲には前向きでないため、今年になっても未だに与党は改憲の方向性には進んでいません。

平成の30年間、平和で豊かな日本となった今日、私たちはややもすればこの平和の尊さ、有難さを忘れがちになります。

私たちは過去の大戦の過ちを2度と繰り返すことのないよう、戦争の悲惨さを若い世代に語り伝えて行かなければなりません。

天皇や上皇様が「加害と反省」の意思を強くされ、これを支えてくれた国民に対して心から感謝されています。

平成の30年間は震災、火山噴火、津波、風水害、原発被害が多発しました。

災害復旧はまだ途上。国の政府予算はは100兆円の大台を超え、借金財政の中で防衛費は5年連続の増額で5兆2570億円となりました。

そして世界中では地域紛争、テロ、貧困、移民拒否、人種差別、経済格差拡大、一国主義が国際関係、国の存立を危うくして戦争の危険が増大しています。

新元号「令和」の将来は、日本が長く平和であったのですがこの先は増税と借金で財政的にも真っ暗闇で、他国と人種間の関係が難しい時代になっています。

「令和」は天皇の退位による改名ですが、過去には数回と少なく、通常は天皇逝去で一世一元制により行われていました。

過去の元号は中国の古典から採用し命名されましたが、今回初めて万葉集の一節から採用されました。

「令」は語感・意味合から異論が出ると思われましたが、上皇様と天皇のひたむきで温和な人柄からすんなり「令和」が決定されました。

新元号「令和」の出だしは祝賀ムードで快調のようです。

心配なのは、この3年間に出て来た行政上の違法行為に対する反省感のない誤魔化しとその政権運営です。

財務省・文科省の公文書偽造について首相が責任を認めるのであれば、潔く辞任すべきです。

安倍首相の誤魔化しと反省感なしは、第一に公平、公正が疑われる行政判断、第二は強引な政権・国会運営にあります。

公平、公正が疑われる行政判断が安倍氏の影響力で歪められたか否か問われているのは森友、加賀学園を巡る問題です。

安倍氏は「行政を巡る様々な問題が起こり、国民の信頼を揺るがす事態になった。まさに私の責任だ。」と認めます。

その責任について、さらに追及されると「金銭をもらって政治的に便宜を図った贈収賄事件になっていない。」と答弁して、国会会期末まで同じ答弁で逃げていています。

国政は、安倍氏一強政権が国会と内閣の運営を5年間続けています。

野党の追及が弱いのと、公明党も与党の強みだけで、政権内では警察や検察の国家機関を入れ捜査する必要はないとしています。

これで国政はよいでしょうか。

報道機関の国勢調査では森友、加計学園を巡る安倍首相の説明に納得していない人は7割程度います。

安倍政権は国民の反対・慎重論を顧みることなく法律の成立を強行させるなど、強引な国会運営を繰り返しています。

昨年の国会運営では次の6項目で強引な国会の反対を押し切って成立させる運営を繰り返しました。           ①年収の高い専門職を労働時間規制性から外す「高度プロフェッショナル制度」                         ②カジノを含む統合型リゾート施設整備法                                            ③「特定秘密」を洩らした公務員路を厳罰に処する特定秘密保護法                                ④安全保障関連法                                                     ⑤共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法                                        ⑥原発稼働

安倍自民党政権は20年までに、この手法で憲法改正法案を提出する意向です。

憲法改正は世論調査でも過半数が反対していますが、安倍内閣は自国第一主義や移民入国拒否の世界情勢を睨み憲法改正を図ろうとしています。

日本が戦前の軍国主義国家になってしまったら、小国ですから自衛隊ではお終いです。

戦争は絶対反対です。紛争は国際連合の中で各国同士が話し合うことが大切です。

話し合いがいかに必要か怖い話をします。

伊東潤の新作「真実の航跡」を読みました。

太平洋戦争中に日本海軍の重巡洋艦がインド洋でイギリス商戦を撃沈して、                           一度は救助をした多数のイギリスの捕虜を殺害してしまった事件です。

軍隊において大量殺人が命令されても、隊員の誰もが止められなかったのか。

この小説は現代日本が直面している現状を投影させたフィクションです。

社会が複雑化した近代において、人間関係はもはや幸福を保証しない。

人間関係こそが、不幸と悪の源泉である。

それが戦争という極限状況で露呈します。

作者は、日本海軍の組織に注目します。

「阿吽の呼吸」と「忖度」の二つが、巨悪の源泉でした。

言葉にならない意思の疎通は困難であり、思いにもよらない部下の行動を生みます。

この悲劇は、敗戦から70年以上が経過した21世紀でも起こり得ます。

いや、その危険性は何十倍にも高まっています。

会社、学校、家庭、サークル、組織の中のどこからでも「悪」は生れ落ちます。

この小説は香港で開かれたイギリス軍のBC級戦犯の裁判に全力で立ち向かい、                        「正義」を見出そうとした弁護士の奮闘が在ったのです。

私は終戦時は8歳でした。各務原飛行場の近くに住んでいましたので米機の川崎重工業への爆撃を見ていて、多少は戦争を知っています。

戦時下の大人たちは、敵国アメリカと天皇と軍隊をどのように理解していたか、改元時に知りたいと思いました。

蘇生

 

 

 

 


日本人の平均寿命80.67歳を超えました。中高大学校同級生はまだ半数以上います。戦争を知る老人は、日本について語る場が無くなりました。

憲法は、アメリカのマッカーサーに準備してもらったかもしれませんが、一院制を二院制に、土地を国有から私有に替えたのは帝国議会草案でした。 議会の審議では自衛戦争の放棄は草案の中にあり、吉田首相も正当防衛や、国の防衛権による戦争もしないと壇上で明確に述べていました。 草案は、衆議院は反対八票の絶対多数で、貴族院の満場一致で可決しました。 ただし、衆議院では九条二項に「前項の目的を達するため」を加えて修正しました。二項は戦力を保持しないとしており、後に、自衛のための戦力が議論されることになりました。 憲法改正から68年の昨年は、安保法改正で国会や、法律家、若者、お母さんが、戦争を意識させるとして、議論されるようになりました。 平和は、日本だけでなく、世界中が戦争をしない国にしないと続きません。しっかりと政治を見て行きたいと思います。