2月8日(土) 20時 熱燗で酔い気分だったが
テレビ交通情報によると、都心の電車が動かなくなりだした。
娘は高円寺までアイリッシュダンス最後のレッスン。
明日、三鷹市公会堂で公演。
今日の朝、娘は母親に「銀行からお金引き出すの忘れたから、千円貸して」
殆ど金無し。
持ち物はキャスター付きケースに衣装とダンス靴
大きなショルダーバッグには着替え入れて出かけた。
娘にメール送ると「帰れるかどうかわからない」の返信。
21時に「タクシーに乗る」のメール。
だが乗れないメールがくる。
21時20分 御茶ノ水で総武線に乗れたのメール。
21時50分両国駅で動かなくなるのメール。
車内はギュウギュウの混雑のメール。
22時24分 小岩駅で運転見合わせのメール。
21時、私は駅まで向かえに行くとメール。
21時半 自宅を出る。
息子が大学生の頃、着ていた防寒着を引っ張り出す。
太っているのでファスナーが締まらないが
強引にファスナーを引き上げる。
妻が「まるで熊五郎みたい」と笑う。
道路に人の踏み跡は少ない。
車道の車の轍を歩く。
軽登山靴はフリクションが効いて滑らず
雪も滲みこまない。
吹雪の中を登山靴、手袋、帽子、フードを被り
マスクして前かがみで前進すると
大学山岳部時代の雪山登山の記憶が
沸々と蘇り、妙に興奮する。
アドレナリンが全身に回り始め
体がほってきて汗を掻き始めた。
人気の無い信号を渡り、車の轍もなく
歩道にも人の踏み跡が消えている。
おかしいなと思い、顔を上げ、周囲を見渡すと
駅方向ではない道を歩いていた。
いつも、通っている道を間違えるなんて!
平地でまさかのリングワンダリングするなんて
元登山家として恥ずかしい。
22時20分 「駅に着いた」と娘と妻にメール。
駅前はタクシー待ちの長い行列。
タクシー待ちの最後列が乗車出来るのは何時の事になるやら?
総武快速線、東武野田線、京成線運転見合わせ。
船橋駅下車しても、これらの沿線住民は帰宅できない。
23時、駅売店も閉まった。
駅のショッピングセンター通路は開放され
寒さ避けに帰宅困難者が座り込んでいる。
特に女性がしゃがみ、座り込みが多いのは
脚力が弱いからだろうか?
不安げな若い女性の姿が気になる。
23時 娘から「市川でタクシーに乗れないか」のメール
私は船橋駅タクシー待ち行列の画像を送った。
「車内で待て」
吹雪での立ち往生での鉄則は、動き回らない事
止むまでじっと我慢すること。
車内にいる限り、明かりと暖房もあり必ず回復する。
鉄道会社が責任を持ってくれる。
外に一人飛び出せば誰も救助はしてくれない。
画像写真を見て娘は納得。
11時23分 「今、西船橋通過」のメール。
23時半 船橋駅改札口にガラケースと大きなショルダーバッグを
持った娘が現れた。
開口一番「お父さん、怪しい人に見える」
先週金曜日に兄貴の格好が同じようだった。
駅近くのコンビニで娘はお金をおろした。
私がガラケースを引いて歩き出す。
駅を離れると人通りは途絶え、車がゆっくり一台通り過ぎただけ。
近道や裏道は歩かず、街灯がある歩道を歩き
坂道は迂回する。
去年、6月に娘が乗り降りする駅近くで女性殺害事件があった。
又、30年前に吹雪の夜、横浜で女子大生が行方不明になり
未だ判明されていない。
私はその同日、同時刻に歩いていたのだ。
父親が娘を守るのは当然。
眼前に危機迫れば、相手を刺し殺してでも助ける。
雄として子孫繁栄、継続させる本能がある。
0時10分 自宅着。
娘は簡単な食事をして入浴
寝たのは午前2時過ぎ。
明日は9時までに高円寺会場まで行かなければならない。
※
弊社のデザイナー女性も前夜ホテルにご両親と宿泊して
ミュージカル リトルマーメイドを観劇。
八王子の自宅から車で来たが、ホテルに置いて
電車で帰宅。
午前0時15分に自宅に戻ったとメールがあり
安心した。