六日のあやめ

魚屋ミュージシャン

東野圭吾作品は全て読んでいるのだけど、新作が出た時点では図書館で借りて文庫化されてから購入している。
何年か前だったらすぐに借りることできたけどなんせ今の東野人気は凄いから、4月に図書館に予約していた「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の順番がやっと回ってきて読むことができた。

第一章を読み終えた時点では、まぁ、普通だな、って思っていた。
人が移動するわけではないけどタイムスリップものみたいな感じだな、過去の人間からの悩み相談を現代(過去から見たら未来)の不良少年(青年かな)たちが歴史を知っているという利点で的確な回答をしていくわけか、それにしても若者たちの一人が1980年がボイコットしたモスクワオリンピックだとすぐにピンとくるのは凄いな、なんてことを思いながら、さて次はどんな相談でどんな歴史的出来事が解決のきっかけになるのかな?と軽い気持ちで第二章に進んだ。
第二章は若者たちの視点ではなく相談者側の視点での文章になっていて雰囲気がちょっと変わったな、と思いながら読んでいった。
途中までは若者たちからの回答が相談者をコテンパンにけなしていて第一章と同じ感じだったんだけど、最後の手紙は意味ありげな内容、そして何故そうゆう回答だったのかという謎がとけた結末で号泣。
魚屋ミュージシャンさんが可哀そうでたまらないし本人がそれを知らないってことはせつないんだけど、彼が生み出した音楽がずっと残っている未来に感動だった。
第二章以降ずっと泣けて泣けて、しかもいろんなことが繋がっていてワクワク感いっぱい。
第三章では、そもそもの舞台ナミヤ雑貨店の店主浪矢雄治さんが登場。
若者たちが回答する話だけかと思っていたら、第三章と第四章は元々悩み相談をはじめた浪矢さんの回答する話が入っていて、第五章では若者たちと浪矢さんも繋がる。
現代の若者たちが未来を知っていることからの回答はタイムスリップのような面白さがあり、浪矢さんは誠実さで回答、アドバイス通りのことをしなかった場合もあるけど相談者たちや関係する人たちは感謝していて心豊かに生きている。
東野作品は殆どが好きなんだけど、久々に興奮して語りたくなる小説だった。

東野作品の映像化多くて、それからの読者とは思われたくない変なプライドがある。
東野氏は作家生活25周年でデビュー後数年は知らなかったとはいえ、私は20年くらい前からずっと読んどるんじゃー、って言いたくなっちゃうんだよなぁ。
「ほんパラ!関口堂書店」に東野氏が出演されたとき「本が売れないんですよ」みたいなことをおっしゃったことも覚えているのだ。(笑)
ほんバラ放送は2001年、「秘密」が99年に映画化されていたから、当時売れてないってことはなかったと思うんだけど、ほんバラ出演者の中で東野氏を知らない人もいる感じだったから、まだそれほど一般的に有名ではなかったのかな。
当時の東野氏に、5年後は凄いことになっとりますよー、5回候補になるも逃していた直木賞もとってますぜ、って手紙を牛乳箱に入れたくなっちゃうな。(笑)

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