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■ヴィオレッタ と マリー ・ テレーズ

2007年09月09日 | 私のこだわり・音楽編
今週 (先週と言ったほうがいいのかな?) は、オーチャード・ホールへ2度足を運び、 チューリッヒ歌劇場の来日公演、 『椿姫』 と 『ばらの騎士』 を鑑賞。 ヨーロッパの数ある歌劇場に中でも比較的こじんまりとした規模なのでしょうが、内容はとても充実していて良質の舞台を楽しめました。 大好きなレオ・ヌッチの温かみのある歌、 来日のたびにスケールが大きくなるヴィッセリーナ・カサロヴァなどなど期待を裏切らない歌手にも大満足。

わたしの独断的な考えですが、 『椿姫』はヒロイン ヴィオレッタが無償の愛に耐える、 そして 『ばらの騎士』では元帥夫人マリー ・ テレーズが老いに耐える(三十路半ばなんですけどね) 、 双方とも ”耐える女性”がテーマのように思えるのです。

『椿姫』では、役どころをキッチリ捉えたエヴァ・メイがドラスティックになり過ぎない、程好く心情を吐露するヴィオレッタで好演でした。 

一方の元帥夫人は ニーナ・シュテンメは存在感のある歌唱で舞台を引き締めているのですが、自分の苦悩を何度となく表に出してしまう演出が、私はちょっと引っかかりました。 従兄弟にあたるオックス男爵の胸を叩きつけるようなしぐさ、 そして、幕切れで舞台から引っ込む際、失神したように倒れこみオクタヴィアンとゾフィーに抱え揚げられるところ… などなど。

人によって見方はいろいろでしょうが、 私の理想とする元帥夫人は、何があっても人前では取り乱さない、毅然としたものを持ち合わせてほしいのです。 一端の女性なら 若いつばめとの火遊びごときで動揺するものではない…と。。。

最後にひとつだけ、 公演最終日の8日に観た『ばらの騎士』でイタリア人歌手役だったピョートル・ベチャーラ (彼は椿姫のアルフレードとの掛け持ち出演)は、全身から滲み出るような感情込めたテノール・アリアを聴かせてくれました。 まるで天国のパバロッティに聴いてくれ!と言わんばかりに。

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