ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

慢性的な疲労や気分の落ち込みは脳の不調が原因

2024-03-26 10:49:32 | 健康・医療
私は今肺炎後の肺機能のやや不調を気にしつつ暮らしていますが、肺炎で傷んだ部分は回復しないという説もありますので、このまま調子がやや悪いままかもしれません。

自分を取り巻く環境に対する認識や、自分の精神状態は、日常のエネルギーレベルを決めるのに重要な役割を果たします。脳の健康に不調が生じると、周囲や自身に対する認識だけでなく、自分の身体を思うように動かしたいという感情や欲望にも悪影響が出ます。

重度の疲労はうつを悪化させ、不安を高めると言われており、さらに疲労はうつの経済的負担を45%増やしています。疲労を軽減することがうつの治療に効果的なことも、うつと疲労の関連を示す証拠だと言えます。

体が必要とするエネルギーを作り出すためには、脳内のニューロンが信号を出す必要があり、その信号を伝えるためには、大量の神経伝達物質が必要となります。

この神経伝達物質が足りなかったり、信号をきちんと受け取れなかったりすると、頭がぼんやりしたり、記憶容量いっぱいまで記憶を保てなかったり、感情的に不安定になったりという状態に陥ります。

体内には様々な神経伝達物質がありますが、特に重要なのは次の5つです。・アセチルコリン、・ドーパミン、・セロトニン、・オキシレン、・GABAです。

1)アセチルコリン 疲労に関する働きの面でいうと、アセチルコリンは脳が体に「働け」と命じるときに使う神経伝達物質です。

研究によると、慢性疲労にはこのアセチルコリンの信号の乱れが関わっていて、アセチルコリン作動系が過活動状態に陥ると、体が信号に対して適切に反応できなくなるため疲労が生じると判明しています。

アセチルコリンの出す信号に乱れが生じると、認知機能や心血管関連の健康、身体機能など広範囲に影響が及びます。さらにアセチルコリンの信号伝達が減少すると、脳は酸化ストレスや炎症、外傷といったほかの悪い要因の影響を受けやすくなり、柔軟に対応することができなくなります。

2)ドーパミン ドーパミンはごく小さな分子ですが、その働きは大きな意味を持ち、「動機付け」と「報酬」に関与しています。ケーキを食べたり、目標を達成したりといった経験をすると、ドーパミンが放出され、その行為をさらに補強します。

ドーパミンはヒトをいい気分にさせ、喜びをもたらした行為を続けさせようとするのです。またドーパミンは「依存症」にも深くかかわっています。2つの説明が長くなりましたので、他の神経伝達物質は省略しますが、ヒトの身体はこういった物質によりうまく保たれています。

どうしたら脳から適切な情報伝達物質が分泌されるのかは、まだまだ難しい点が多いようです。ただこういった物質を薬として使うといった方向も進展しているようですので、期待は持てるのかもしれません。

50代で無しは珍しい白髪の科学

2024-03-25 10:38:05 | 健康・医療
私の友人のO君はいわゆる若白髪で、たぶん50代ぐらいから白髪が目立つようになり、60代で完全に白髪になってしまいました。

Y君も白髪が目立っていましたが、最近(70代後半)になりやはり完全に白髪だけとなっています。私は白黒、灰色が混ざったグレーの髪の毛ですが、二人のように完全に白くなるのも良いと思っていますが、あまり気にしていません。

ただ毛が薄くなってきたことは確かで、地肌が見えるようになってしまいましたが、まあ77歳では当然のことかもしれません。ここでは白髪についてのあれこれを紹介します。

白髪とは髪の毛から色素が抜けて透明になることで、髪の毛の表面に光が反射して白く見える状態をいいます。個人差がありますが、通常年に1〜2%くらいの割合で進行し、後頭部に少なく黒髪より成長が速く、太く扁平になりやすい傾向があります。

30代後半から40代で出始め、50代で白髪が1本もないという人はほとんどいません。もともと髪の毛は無色透明で、色素細胞(メラノサイト)が「メラニン」と呼ばれる色素を生成し、髪が成長途中にメラニンを取り込むことで黒髪になります。

しかしメラノサイトが加齢や遺伝、栄養不足、頭皮の血流不足、紫外線などによりメラニンを作り出せなくなったり、メラニンの材料であるチロシンが不足したり、メラニンを合成するための指令が無かったり受け取れなくなると白髪になります。

髪の毛は、頭皮の中の毛根の一番下に位置する毛球にある毛母細胞が、司令塔である毛乳頭組織の指示により分裂・増殖して角化したものです。メラノサイトは毛母細胞の周囲に多く存在し、そこで盛んにメラニン色素を量産して毛髪に与えています。

基本的に、メラノサイトサイクルは毛髪が伸びていくケアサイクルと同調してメラニンの量や活性を増減しています。そのサイクルが加齢などの原因でずれが生じると、メラノサイトを生み出す幹細胞からの供給がされなくなり、毛髪が色素なしで成長して白髪になります。

ヘアサイクルに異常が生じれば脱毛が起こり、メラノサイトサイクルに異常が生じれば白髪になります。これが同時に起これば黒髪が脱毛し、白髪だけが伸びていき一気に総白髪になったように見えるわけです。

以上が白髪が発生するメカニズムですが、実は実際はもっと複雑な現象が起きることもあるようです。何か恐ろしいことがあると一夜にして白髪になったというような話しを聞きますが、この辺りの説明も難しいようです。

歳をとると白髪になるというのは自然現象ですので、あまり気にしないのが良いのかもしれません。

肥満症治療薬「ウゴービ」が抱えるニーズと乱用

2024-03-24 10:34:28 | 
このブログでも肥満を時々取り上げていますが、私は肥満が多くの病気の誘因になっているのではないかと思っています。

この肥満症の治療薬「ウゴービ」が2月末に販売開始されました。肥満症治療の新しい選択肢として期待される一方で、このクスリにはネガティブな意見も付きまとっています。

ウゴービは、いわゆる「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれる薬の一種で、体内でインスリンの分泌を促します。インスリンは第一に血糖値を下げる働きがあり、そのためGLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の治療薬として、血糖値の高い患者に対してそれを下げる目的で長らく使われてきました。

またインスリンは食欲を抑える働きもあり、そのためこの薬は欧米では肥満症の治療薬としても使われています。ウゴービは欧米を中心に利用者が急増していますが、日本でも2023年3月に新しい肥満症の治療薬として薬事承認されました。

服用できるのは、高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限るとされ、「BMIが27以上であり、2つ以上の肥満に関する健康障害を有する」か「MBIが35以上」の人のみとなっています。

つまりこの薬は肥満解消にも効果があるのに、一般的なダイエットには使えないという構造になっています。この状況で何が懸念されるかというと、2型糖尿病患者への治療薬が、気軽なダイエットなどにおいて「適用外」で乱用されることです。

厚生労働省は昨年7月、「GLP-1受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」という事務連絡を各都道府県など衛生主管部に発出しました。適用外でGLP-1受容体作動薬が乱用されると、2型糖尿病患者にこのクスリが行きわたらなくなるという危機感が、医療関係者を中心に高まっていたためです。

ウゴービは2023年5月と8月に薬価収載・保険適用が見送られた経緯がありますが、日本での 販売の見通しが立たなかったのは、このような背景によります。

これまで気楽なダイエット薬として購入できたこの薬は、基本的に肥満症治療薬と同じ成分の物が自由診療などで適応外で処方されたものでした。

適応外で処方されるGLP-1受容体作動薬について、厚労省や消費者庁、国民生活センターは「糖尿病でない人への安全性と有効性は確認されていない」として注意喚起を繰り返してきました。

この適用外には二重の意味があり、ひとつは糖尿病患者へのクスリが気楽なダイエット目的に使用されることと、治療が必要な肥満症患者へのクスリが気楽なダイエット目的に使用されることです。

圧倒的多数の気楽なダイエットを目指す人がいる以上、何らかの規制をもうけないとクスリ不足になる可能性はありそうです。

ヒトへの「臓器移植用」ブタが国内で誕生

2024-03-23 10:34:01 | 健康・医療
ヒト以外からの臓器移植に関しては、かなり前にブタの心臓を移植した人の話を取り上げたことがあります。

この患者は数カ月で亡くなったようですが、異種移植が現実となりつつあるようです。1996年にクローン羊ドリーが話題になってから28年も経ちましたが、現在の最先端のクローン技術は、臓器移植用のブタを誕生させるところまで到達しました。

明治大学発のベンチャー企業などのグループが、クローン技術でヒトへの臓器移植を前提にした特殊なブタの生産に成功し、その子ブタが誕生したことを発表しました。誕生したブタは臓器移植しても拒絶反応が起きづらい遺伝子操作を施されています。

ヒトへの移植を想定したブタが国内で生まれるのは初めてのことで、臨床応用への期待が高まっています。こういった異種移植の際にブタが選ばれるのは、臓器の大きさや適合性に優れていると言いう説があるようです。

ブタの臓器をヒトに移植する研究は、移植用の臓器の確保に向けてこの数年注目されています。臓器移植医療における提供臓器の不足は、世界的課題となっています。

近年の日本では、臓器移植の希望者のうち実際に移植を受けられるのはわずか3%に留まっており、その一因として臓器提供者の極端な不足(米国の1/60以下)が挙げられています。

研究グループは今後研究機関などにブタを提供する予定で、今年のうちにサルへの臓器移植する研究を始める計画です。技術の完成と並行して、実用化に向けて話し合う必要のあることも生まれています。それが1.安全面と2.倫理面です。

安全面については、クローン動物が妊娠・出産した事例もありますが、クローン技術が子や孫にどのような影響が出るか分かっていません。また動物から移植を受けることによって、未知のウイルスに感染する危険性も潜んでいます。

また倫理面としては、特定の表現形質を意図的に生み出すことの影響があるとしています。その他色々と挙げていますが、あくまでも人にクローン技術を使う際の問題であり、ここでの臓器移植に関してはあまり問題でないような気がします。

それより問題なのは、こういったブタの臓器が移植された際に、どこまで人の臓器としてなじんで機能するかのような気がします。

まだ実用化までには多くの課題がありそうですが、ドナー不足は現実的な問題ですので、ブタの臓器移植が可能になる日を待ち望んでいます。

全身のガンを早い段階で発見できる「PET検査」

2024-03-22 10:36:37 | 健康・医療
ガンの発見に有効とされる「PET検査」ですが、それほど広まっているという感じはしていません。

以前友人がこの検査を受け、その画像を見たことがありますが、ガンと思われる部位が明るく光っており、納得できるような気がしていました。PET検査は、全身の脂肪の代謝を画像化する検査です。

ガン細胞は正常な細胞の何倍もの多くのブドウ糖を消費します。この性質を利用して、ブドウ糖に似た構造の検査薬(FDG)を体内に注射し、このクスリが多く集まる場所を突き止めて、体内に潜むガンを見つけ出します。

目安としてガン細胞が1センチ程度の塊になれば発見できます。ガンの種類によっては、ブドウ糖が強く集まるタイプと、薄く集まるタイプなどさまざまなレベルがあるため、内容を見極めるには経験が必要です。

レントゲンやCT画像は、「形の変化」で良性か悪性かを診ますが、PET検査は形ではなくてブドウ糖の代謝で良性か悪性かを見極めます。通常はそれぞれの臓器を別々に検査しますが、PETでは1回の検査で、上顎部から骨盤にかけて、身体全体を調べることができます。

PET検査が得意とするガンは、肺ガン、甲状腺ガン、骨髄腫など多数あり、ガンの転移・再発の発見も得意としているようです。一方不得意とするガンは、脳腫瘍、膀胱ガンなど尿路系の腫瘍、食道・胃ガンの早期発見です。

PET検査のメリットは、痛みがないので苦痛にならず、検査前に注射したらその後は寝ているだけです。2つ目は1回の検査で身体の広範囲を調べることができ、多数の臓器を同時に検査できるため身体的な負担が少ないことが特徴です。

3つ目は、ガンだけでなく他の病気も見つかる点です。腎臓結石や甲状腺の橋本病、蓄膿症などの病気を見つけることができます。現在日本でPET検査を受けられる施設は200〜300ほどあります。

この検査で大事なのは、画像をどう評価するかです。医療技術は長年培ってきた物の蓄積なので、同じ画像を見ても価値ある情報を引き出せるかどうかは医師の経験で違ってきます。PET検査の欠点はコストが高いことで、これを公費で賄うのは難しいようです。

50歳を目安に一度PET検査を受けてみるのも良いのですが、検査費用は約13万円になり自分で負担する必要があります。

この辺りがPET検査が広まらない原因のようですが、前述のように多くのメリットがある検査ですので、何らかの形で保険適用になることを希望しています。

ただし厳密に意味での科学的有効性はまだ検証されていないと言えそうです。