ごっとさんのブログ

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副作用のない「抗ガン剤」が存在する

2023-11-16 10:35:47 | 
私は一時抗ガン剤の研究をしていましたが、ガン細胞を殺す薬剤は簡単に見つかります。

しかしガン細胞は正常細胞がDNA変異によってガン化したものですので、正常細胞との区別が非常に難しくなっています。一般に細胞を殺す作用は、細胞の増殖分裂時に何らかの作用をして殺してしまうというというメカニズムが基本となっています。

正常細胞は数時間から数日程度の頻度で分裂しますが、ガン細胞は数分から数十分という速度で分裂します。多くの抗ガン剤はこの分裂速度の違いを利用しています。つまり抗がん剤を投与して、速やかに体外に出してしまえば、その間に増殖分裂するのはガン細胞だけとなるわけです。

しかし正常細胞でもその間分裂するのもあり、それは殺されてしまうためある程度の副作用は防ぎようがありません。現在は分子標的薬など全く異なったメカニズムの薬も出ていますが、それでも副作用を完全に抑えることはできないようです。

最近全く副作用がなく、完治はできませんが余命を延ばすことができる抗ガン剤の話が出ていました。この抗ガン剤はP-THPという薬剤ですが、これはピラルビシンという昔からある抗ガン剤にポリマーを結合させたもののようです。

これは臨床試験で有効性と安全性が認められていない、つまり未承認の抗ガン剤であり、その詳しい情報はどこにも掲載されていませんでした。

ピラルビシンはアントラサイクリン系の化合物で、それほど優れた効果があるわけではありませんが、これにポリマーを結合させてどういう改善を目指した薬なのかもよく分かりません。

ここではステージ4のガン患者で余命を宣告された人が、このP-THPを投与されたことで、QOLが著しく改善され、余命も伸びた例がいくつか紹介されていました。

例えば肺腺ガンで余命3カ月のAさんは、ストレッチャーで動けなくなっていましたが、希望は「口内炎が治ったらラーメンが食べたい」でした。そんなAさんが点滴でP-THPの投与を受けると、副作用は全く現れずやがて自分で歩いてトイレに行けるようになり、3週間もするとラーメンを食べに行けるようになりました。

それでも治癒したわけではなく、7か月後に静かに看取られました。ここでは良い結果となった例を出しているのかもしれませんし、この薬を抗ガン剤といって良いのかも若干疑問があります。

しかしガン末期にはひどい痛みや苦しみが出るようですので、それがなくなるのであれば理想的な薬剤と言えるのかもしれません。

P-THPは未承認ですので、どこの病院に行けばこの治療が受けられるのかなど問題はありますが、私がガンになったらぜひ受けたい治療と言える気がします。


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