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ガン末期の「悪液質」の治療薬が開発

2022-07-14 10:39:44 | 
私が現役のころはガン末期の状態で「悪液質」と呼ばれる症状が問題になっていました。

悪液質はカヘキシアと呼ばれ、急激にやせてきて死の前兆となっていました。ガンに罹患してもこの悪液質にならないようにする方法がないかが、大きな問題でした。

これは30年ぐらい前のはなしですが、その後悪液質という言葉をほとんど見ることがなくなりました。こういった概念がなくなってきたのかと思っていましたが、最近ガン悪液質治療薬が開発されたという記事を見ました。

これは「エドルミズ」という薬で、ガン患者の生活の質(QOL)を維持・改善するのに重要な役割を果たす「ガンサポーティブケア」(支持療法)の治療薬です。

ガン悪液質とは、ガンに伴う体重減少や食欲不振を特徴とする複合的な代謝異常症候群を指します。

進行ガン患者の80%以上に認められ、体重減少や食欲不振といった典型的な症状以外に、抗ガン剤の効果の減弱、副作用や治療中断の増加、生存率にも影響を及ぼし、ガンになると見る影もなく痩せるのはこのためとしています。

この悪液質になる原因としては、ガン細胞とそれに対する生体反応として、正常細胞から炎症性サイトカインが大量に分泌されるためとされています。それが慢性的な炎症と代謝異常を引き起こし、骨格筋の減少を伴う体重減少と食欲不振を招き、急激に体力や免疫力が低下し衰弱していきます。

今回開発されたエドルミズはこれに対抗するためのもので、グレリンと呼ばれる物質に似た働きをする飲み薬です。グレリンは主に胃から分泌される食欲ホルモンで、食欲亢進や脂肪蓄積などの生理作用があり、体重や筋肉量、食欲、代謝を調節する複鵜の経路を刺激します。

エドルミズはこれと同じような働きをすることで、ガン悪液質患者の体重と筋肉量を増加させ食欲を復活させるとしています。非小細胞肺ガンのガン悪液質患者173人(エドルミズ投与83人、プラセボ投与90人)を対象にして行われた臨床試験の結果が記載されています。

その結果脂肪を除いた体重量がエドルミズ投与群で平均1.38キロ増加し、プラセボ群では平均0.17キロ減少しました。消化器ガンの悪液質患者を対象に行われた臨床試験では、被験者の63%に体重の維持・増加が認められ、食欲の改善も見られたとしています。

現在エドルミズの適用は、肺ガン、胃ガン、膵臓ガン、大腸ガンに限られており、その他のガンには認められていません。

この治療薬はあくまで悪液質といった症状を改善するためのもので、ガン細胞に作用するわけではありませんが、全身状態を悪くしないことで免疫などの力や抗ガン剤の効きが良くなるのかもしれません。

昔から問題となっていた悪液質を治療することで、新しいガン治療も可能になるのかもしれません。


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