ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

人間の体内には多数のウイルス

2020-10-02 10:28:06 | その他
ウイルスに感染するとすぐに病気になるというイメージがあります。

しかし健康な人の身体の中にもウイルスは多数存在していますが、この病気を起こさないウイルスは何をしているのでしょうか。

東京大学医科学研究所のグループは、健康な人の身体にいるウイルスを網羅的に調べ、少なくとも39種類のウイルスが潜んでいると発表しました。人間の組織として血液、脳、心臓、肺、肝臓、筋肉など27種類の組織にウイルスが存在していました。

胃の細胞にはヘルペスウイルスが見つかりました。胃で働いている遺伝子を調べると二つのパターンに分けられ、ヘルペスウイルスが見つかった人とそうでない人が、それぞれに当てはまりやすいことも分かりました。

研究は始まったばかりで、それが何を意味するのか詳しいことは分かっていません。健康な人の全身で網羅的に調べたのは初めてですが、そもそも健康な人の組織を採ってウイルスを調べること自体が難しいことです。

今回は米国のゲノムプロジェクトが蓄積していたデータを使って解析しました。事故などで死亡した547人の全身の組織のRNAのデータで、RNAは各細胞で必要な遺伝情報のDNAが一旦写し取られたもので、RNAを解析すればその細胞でどの遺伝子が働いているかが分かります。

そのRNA情報の中に混ざっている、ウイルスの遺伝子を探してつきとめました。健康な人の身体にウイルスが潜んでいること、それも長期間に及ぶことは知られています。

たとえば子供のころに水ぼうそうにかかった後、ウイルスは神経節に長い間潜んでいますが、病気を起こすことはありません。ところが免疫の働きが落ちたときなどに、強い痛みや発疹が「帯状疱疹」として皮膚の近くに現れます。

こうした仕組みが詳しく分かってくると、ある宿主では病気を起こさないのに、別な種で激しい病気を起こす現象の解明につながるかもしれません。

新型コロナウイルスはコウモリを宿主とするときは病気を起こさず共生していますが、人では病気を起こします。コウモリは免疫が働いていないのか、それとも強く働いてウイルスを抑えているのかなど、今回の研究がその謎を解くカギの一つになるかもしれません。

ウイルスは人の細胞だけでなく、人の身体の中にいる細菌の中にも感染していることが分かってきました。大阪市立大学のグループは、健康な日本人101人の便の中にある細菌とウイルスの遺伝情報を読み、データベースを作りました。

細菌約600種、細菌に感染するウイルス「ファージ」は、分類可能なものだけで約450種も見つかっています。

こういったファージが腸内細菌にどんな影響を与えているかも分かっていませんが、こういったウイルスの挙動が解明できれば、色々な病気の治療につながるのかもしれません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿