ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

新型コロナの「抗体」による治療法

2020-06-06 10:28:30 | 
新型コロナの感染拡大は収束に向かっているようで、日本でも緊急事態宣言が解除されました。それでも東京都は「東京アラート」を発動し、注意を呼び掛けています。

新型コロナウイルスを完全に終息させるためには、治療薬の開発とワクチン開発が必須の事項と考えられますが、治療薬は承認されたとはいえどの程度の効果があるのかやや疑わしい状態と言えます。

ワクチン開発も非常に多くの部署で研究が進んでいますが、実用化するまでにはまだまだ時間がかかりそうです。そこで現在注目されているのが、回復者が持っている「抗体」の利用です。

ウイルスに暴露すると、免疫システムは異物から身体を守るタンパク質である「抗体」を作り出します。これが世界中で新型コロナと闘っている人の体内で起きている現象で、症状が収まった後に抗体は血液中に残り、将来的な感染を予防します。

現在の医学では、新型コロナ患者に回復した患者の血漿を輸血することで、有効な抗体を体内に導入することが可能となっています。

回復した患者の血液を使って病気を防ぐ方法は、古くからある治療法で、これまでにもSARSやMARS、エボラ出血熱の患者の治療に使われてきました。

しかし欠点として規模の問題があり、世界で回復患者の血液の供給量は限られていることから、十分な量の血清を収集することは不可能です。また血液の収集と分配のプロセスも複雑で、大きな労力を必要とします。

そこで回復期血清の理論を応用・改良したものが抗体医薬品であり、人間の腕から採血する代わりに、研究室で大量生産するものです。実際に多種多様なアプローチでの抗体開発が進んでいるようです。

例えばニューヨークのグループは、新型コロナウイルスの結晶構造を調べ、ヒト細胞に結合するのを防ぐ効果が最も高い合成抗体を作るアプローチをとっています。

またテキサス大学のチームは、ベルギーの動物であるラマに注目し、ラマの血液中にあるナノボディが有望であることを発見しています。このラマの小さな抗体であるナノボディが、SARSなどのコロナウイルスを中和する効果があることを発見しています。

世界中の製薬会社や研究機関で、こうした数百ものプロジェクトが進行中で、既に動物実験に進んだプロジェクトもあるようです。

問題はこの抗体医薬品のコストで、現在はタンパク質生産技術が進んだとはいえ、まだまだ抗体の大量合成には莫大な費用がかかっています。

この抗体医薬品はワクチンよりは早期に開発される可能性は高いのですが、あまり高価であれば一般に広がることは難しく、まだまだ課題は多いような気がしています。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿