乳ガン見つけるブラジャーを開発

乳ガンは、早期発見できれば治療で完治できるが、発見が遅くなると乳房の切除や場合によっては死に至るなど油断できない病気といえます。

2015年時点で、世界には240万人の乳ガン患者が存在し（アメリカワシントン大学調査）、女性がかかるガンの中で最も多いとされています。

このような現状に立ち向かい、乳ガン発見ブラジャー（ＥＶＡ）をメキシコの学生が開発に取り組んでいます。1週間に一度、1時間着用するだけで、乳ガンの早期発見につながるという夢のようなブラジャーということです。

ずいぶん昔ですが、私の親戚にも乳ガンになった従妹がおり、幸い早期だったので乳房を切除し現在も元気ですが、やはり女性にとって乳房切除というのはかなりつらい事だったようです。

このＥＶＡには200のガン検出のためのバイオセンサーが組み込まれた2つのパッチが埋め込まれ、初期の乳ガンに見られる乳房の体温変化パターンや、皮下組織の柔軟性を検出して乳ガンの早期発見を促す仕組みです。

乳ガンは腫瘍が発生する際に、その部分に血液が大量に送られることで感触が変化し、体温も上昇するようです。ＥＶＡはこういった変化に敏感に反応し、同じ状況が継続すれば、乳ガンリスクが高いとしてユーザーに病院での診察をアドバイスする仕組みです。

乳ガンは早い段階で発見し治療すれば約90％の人が治ると言われていますが、初期症状は本人にとって自覚がなく、早期発見が難しくなっています。このＥＶＡを定期的使用すれば、こうした発見が困難な初期症状を素早く見つけてくれます。

ＥＶＡは装着時間内でユーザーの乳房のデータを収集し、スマートフォンやタブレット端末にあらかじめインストールされたアプリに送信され、人工知能を搭載したアルゴリズムにより乳ガンリスクを分析します。

今年4月の時点で初回の製造分である5,000着のＥＶＡが完売したと発表しています。今後さらに改良を加え、乳ガンを検出する高い品質を確保したのち、2019年初めごろに大量生産を始める予定のようです。

価格は当初、生産過程などの都合上300ドル（約3万3千円）になると予測されていましたが、このアイデアに賛同したパートナー企業の協力により、1着120ドル（約1万3千円）まで下げることができました。

最近では、乳ガンにかかった有名人が闘病生活を公表するなどして、この病気が注目されるようになってきました。それでも日本での統計を見ると、約50年前には乳ガンにかかる確率は50人に1人だったものが、現在は11人に1人と確実に上昇しています。乳ガンが増加した背景はいろいろあるようですが、こういった検査により早期発見ができれば、多くの人が救われる素晴らしいものといえます。