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人獣共通感染症とパンデミック

2021-06-05 10:25:15 | 健康・医療
現在パンデミックを起こしている新型コロナの起源調査をしたWHO(世界保健機構)の報告書の草案では、新型コロナウイルスの起源はコウモリで、コウモリから別の動物(ウサギやミンクなど)に移りさらに人に感染したと思われると記載されているようです。

つまり今回の新型コロナも「人獣共通感染症」と今のところ定義されているわけです。人獣共通感染症は、動物からヒトへ、人から動物へ伝播可能な感染症で、同一の病原体(ウイルスや細菌など)が人にも動物にも感染します。

ウイルスを持つイヌやネコにかまれて感染する狂犬病、ブタなどの体内でウイルスが増殖し、蚊を介して人に感染する日本脳炎などが知られています。現在日本には約100種の人獣共通感染症の病原体が存在しているようです。

パンデミック(世界的な大流行)を起こした3大感染症が、ペスト、天然痘、インフルエンザです。ペストはネズミやノミが菌を運び、人から人へも感染します。

感染後1週間以内に40℃の高熱が出たのち、ペスト菌が作る毒素によって呼吸困難になったり敗血症になったりして死に至ります。14世紀の大流行では、当時の世界人口4億5000万人のうち1億人以上が死亡しています。

現在ではネズミやノミの駆除や適切な抗菌薬の開発によって、アフリカやアジアの一部地域以外では流行は見られなくなっています。

天然痘はヒトのみに感染するウイルスが原因の感染症です。7-16日間の潜伏期間を経て、40℃の高熱が出たのち全身にできた丘疹が化膿して呼吸困難や強いショック症状などを起こし、30-50%が死に至ります。

日本では奈良時代の735年から737年にかけて大流行し、当時の日本の人口の25%にあたる100万-150万人が感染により死亡しました。世界でも20世紀だけで2億人が天然痘で命を落としたとされています。

天然痘は人類が唯一根絶に成功した病気で、良いワクチンが普及したことや人獣共通感染症でなかったことなどが、根絶できた理由と考えられています。最後がインフルエンザ(スペイン風邪)ですが、1918年から1919年にかけて世界的に流行しました。

この期間で当時の世界人口18億人のうち5億人が感染し、少なくとも数千万人が死亡しました。現在ではこのH1N1亜型インフルエンザは、季節性インフルエンザとなっていますが、感染力が高く、罹患する動物種も多いことが知られています。

このように人類の感染症との戦いの歴史は長くなっており、そのほとんどを抑え込むことに成功しています。

今回の新型コロナもパンデミックを引き起こした感染症のひとつとして歴史に残りそうですが、ワクチン接種が進めばインフルエンザと同じようにそれほど恐ろしくない感染症となるのかもしれません。


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