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ヘルペスウイルスと目の病気

2021-06-24 10:25:38 | 健康・医療
現在は新型コロナウイルスで大騒ぎしていますが、ウイルスはかなり身近な存在と言えます。

2億年前から存在しているとされるヘルペスウイルスも、人類に多大な影響を与えています。約90%の感染が不顕性(何の症状も出ない)であるヘルペスウイルスですが、単純ヘルペスウイルス1型から8型まであり、このうち3型が水痘を発症し、潜伏感染を経て帯状疱疹を引き起こします。

私もたまに口の端が硬くなり、切れて痛みが出たりしますがこれもヘルペスウイルスのようです。通常ほっておいても数日で治りますが、先日クリニックに行ったときちょうどこの症状が出ていましたので、抗ウイルス薬入りの軟膏をもらってきました。

この様に軽い症状が多いのですが、皮膚、粘膜、目、脳、性器さらには全身に及ぶ感染となり、時に重篤な症状を引き起こす場合があるようです。ここでは眼球への影響についての記事を紹介します。

ヘルペスは皮膚や粘膜に感染しやすいウイルスですので、当然目の表面である角膜や結膜にも感染します。問題になるのは、初感染ではなく一度感染して症状が治まっても、角結膜に分布する三叉神経の枝から入り、神経節といわれる感覚神経細胞が集合する部分に潜伏します。

体の抵抗力が落ちると角結膜に出てきて悪さをし眼表面に痛みや充血を起こします。この辺りは水痘の後、歳をとってから帯状疱疹が発症するのと似ている現象です。

目への影響は眼表面に限らず、目の中に炎症が起きる重篤な「ブドウ膜炎」の原因にもなります。ブドウ膜とは虹彩、毛様体、脈絡膜を総称したもので、眼球の外側を覆っている角膜、強膜と最内層を作っている網膜との間にある「中膜」と呼ばれる部位を構成しています。

ここにウイルスが侵入して病気を起こすと、その内層にある網膜にもすぐに影響し、重大でしばしば治りにくい視力障害に発展します。

現在ヒトヘルペスウイルスと関係が深いブドウ膜炎には2種類が知られています。ひとつは「急性網膜壊死」と呼ばれる、ほとんどが片目に起こる劇症型のものです。ヘルペスウイルスの1型から3型のどのウイルスでも眼球内に入ると感染し、この病気を引き起こすことが分かりました。

最近はウイルスを発見する手法が進歩し、抗ウイルス薬も進歩していますので、早期発見して治療すれば多くは失明を防ぐことができます。もうひとつは「原田病」と呼ばれ、ブドウ膜や全身の色素を含む細胞をターゲットに発症する自己免疫疾患です。

両目に起こり網膜剥離を起こして治りにくくなる、あるいは再発しやすくなることがあります。最近の研究ではヘルペスウイルス3型や4型の存在が証明されることがあり、直接的感染ではないのですがウイルスの存在が自己免疫反応のメカニズムに関係していることが示唆されています。

このように簡単だと思われるヘルペスウイルスでも、重篤な疾患につながることがあり、やはりウイルスは恐ろしいものかもしれません。


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