ごっとさんのブログ

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漢方薬の原料になっている身近な食材

2024-06-23 10:31:24 | 
私は漢方薬というと若干怪しげな感じを持っていました。これは長年合成医薬品の研究をしていましたので、そちらの方面の知識が多いためかもしれません。

ただ漢方薬はほとんどすべてが人体実験によって効果が確認されているという点では、使ってみても良いのかもしれません。

私が行っているクリニックで、数年前風邪の症状が出たときに、漢方薬を処方されがっかりしたことがありましたが、それなりに効いたような記憶もあります。最近は鍼や灸のツボが注目されテレビなどでも取りあげられてきました。

またそのメカニズムの詳細が、西洋医学的な研究でも明らかになってきています。こういった流れから漢方薬も見直しても良いかという気がしています。

私が現役のころ、漢方薬の有効成分を分離精製するというプロジェクトがありました。私は直接関与していなかったのですが、色々と情報は入ってきました。最大の問題は成分を分離していくと、どこにも活性がなくなりどうも複数の成分がうまく絡み合って活性を出しているようです。

しかも単に混ぜればよいのではなく一定の比率が必要という事で、このプロジェクトは中止になってしまいました。

漢方薬は、植物、動物、鉱物などの天然物からなる生薬を調合して作られます。日本では医療用に使われている生薬は、137種類になります(2022年、日本漢方薬製剤協会調べ)。

そのなかにはケイヒ(桂皮:シナモン)やミカンの皮を乾かしたチンピ(陳皮)など、身近な食材を原料にしたものも少なくありません。例えばカンキョウですが、体を温めることで有名な生姜を蒸してから乾燥させて作る生薬です。

主な成分はショウガオールで、血管拡張作用や抗炎症作用などがあり、科学的にも体を温めたり体調不良の改善に役だったりする働きが確認されています。

またチンピには、ヘスペリジンという成分が含まれていて、胃の働きを高めるだけでなく、意外にもウイルスの増殖を抑える作用も報告されています。古くから冬にミカンの皮を入れた風呂で温まったりする習慣がありますが、先人たちの知恵といえるでしょう。

このように漢方薬には身近な成分をうまく利用していますが、その成分の科学的な分析も進んでいます。多分漢方薬はそういった成分の効果と、他の成分が微妙に効果を発揮し、予想外の良い結果を出しているのかもしれません。

こういった成分例えばヘスペリジンを、単独で医薬品またはサプリメントとして摂取する方が安全かもしれませんが、漢方薬としての生薬にはプラスアルファの効果が出ているのかもしれません。


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