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双方が利益を得る共生、相利共生とは

2021-03-24 10:03:07 | 自然
自然界には多くの共生関係が存在しており、ヒトの腸内の多くの微生物とも共生関係といえるようです。

ここでは主に送粉者と呼ばれる花粉を運ぶ動物と植物の共生についての記事を紹介します。「相利共生」とは異種の固体同士が双方にとって利益となるように、厳密で持続的な関係を持ちながら生活することと定義されています。

共生とだけ言った場合は、必ずしも双方が助け合うと限りません。片方のみが利益を得て相手が害を受ける「寄生」や、片方が利益を得るだけの「片利共生」なども広い意味での共生です。

ハチやチョウといった送粉者は、花から蜜を吸うときに花粉を体につけ、花粉を他の植物の元に運び繁殖を助けます。送粉者はお腹を満たし、植物は生殖できるといった関係が相利共生です。

この戦略は大いに成功を収めており、17万種の植物と20万種の動物が関わっており、世界の穀物生産量の35%に寄与しているとされています。このために進化してきた植物と送粉者もいるようです。

例えばハチドリの多くは、特定の花の形に合うようなクチバシをもっています。またハチを呼び寄せる花もあり、アピフェラというランの花はメスのハチの姿に擬態しています。このランは自家受粉することもできるため、ハチがいなくても存続でき、この関係は「条件的相利共生」と呼ばれています。

インド洋のサンゴ礁に住むホンソメワケベラは掃除魚として知られています。近寄って来る大きな魚たちの口やえらの中にいる寄生虫を食べますが、甲殻類なども食べるため、この関係もやはり条件的相利共生となります。

これに対しイチジクとイチジクコバチの場合、互いに相手がいなければ存続できない「絶対的相利共生」と呼ばれる関係にあります。イチジクには約750種ありますが、それぞれが特定のイチジクコバチを送粉者としています。

雌のイチジクコバチは、イチジクの中に卵を産み付けます。孵化した幼虫はイチジクを食べて育ち、翅をもたないオスがメスを受精させます。そうしてメスたちは体に花粉を付けて別のイチジクまで飛んでいき、そこに卵を産んで一生を終えます。

ハチが発生するはるか昔は、植物は花粉の媒介を風に頼る「風媒」という方法で繁殖していました。花粉がちょうど良い場所に落ちることを期待するしかないため、あまり効果的ではなくもっと良い戦略が進化しました。

こうして植物と動物の相利共生が出来上がったわけですが、こうした自然の営みというのは本当に面白いと感じています。進化というのは突然変異によりますので、目的をもっての変異はありません。

あくまで多くの変異者の中で有利となるものだけが生き残るという、時間のかかるものです。現在も進化は進んでいますが、人が確認することはできないという点も面白いのかもしれません。