HAYASHI-NO-KO

雑草三昧、時々独り言

オオイヌノフグリ6

2013-03-02 | 春 青色系

「オオイヌノフグリ よもやま話」 美しい意匠
 花冠の筋の模様はひとつひとつ微妙に違うので、いくつもスケッチして、平均図を決める。よく見ると、筋模様の基部はえんじ色を帯びていて、丁度、そこには地色が真っ白から青色への境目上で、なんと美しい意匠だろう!
 そうこうしているうちに、目が見えにくくなって我に返ると日暮れであって、机上の実体顕微鏡の回りには解剖器具が散らばり、オオイヌノフグリの無惨な断片で一杯となっていた。

 オオイヌノフグリ5の冒頭に、高校の同窓・小西さんが先年秋に開いた個展の際に、会場に置かれていたエッセイから
雄しべと雌しべの部分
を引用した。
花冠が落ちた後の雌しべを見たい…と、閉じる萼の内側に
そうはさせじとメスを立てる…の行は、何度読み返しても微笑ましい。
春まだきの午後、今日もオオイヌノフグリと一時間付き合った。
『2本の雄しべの花糸がS字状に内側に曲がっているため、
雌しべは挟み撃ちを避けて直立せず、前かがみの体勢だ』の行も
まことに実体通りの記述だった。
彼女が描いたオオイヌノフグリは『日本の帰化植物図譜』の中に収録されている。
大冊のカバーにも採用されていたからエッセイはその本に挟んである。

 



 


基部では合着している四弁の花冠、この状態が正位置
上の紋様が濃く、訪花昆虫の目印になる
下の一片はやや細長いのが普通で、時に下にある画像(↓)のように複数に裂けているものも混じる
真上から見たしべの位置関係、雌しべは小西の指摘通り前屈みで微妙にズレている






 
花冠が落ちる瞬間に、雌しべを守るように閉じてしまう萼片
開花状態ではやはり平開している







花冠を支えている萼片は平開している

花冠を押し出すように萎みかけている萼片
直後に花冠はくるりと身を捩るようにして落ちた

花冠を「押し出した」直後の萼片
その間に雌しべの柱頭が見えている
 


数日経てば、立派な果実が下がりはじめる
 
雌しべの花柱は残り続ける

オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)オオバコ(←ゴマノハグサ)科クワガタソウ属 Veronica persica
(2013.02.28 南王子町・新明町)





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今年のオオイヌノフグリ


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4 コメント

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Unknown (reihana)
2013-03-02 07:49:17
林の子様 おはようございます。
御免なさいね
今朝 メールに気づきました。
姫ノウゼンカズラ似の花は「カエンカズラ」と言うのですね。
ありがとうございました。
林の子様は旅行が大好きの様ですね。
凄いですね~沖縄以外の県 全てに行かれたなんてヽ(^o^)丿
私なんか行った事の無い所ばかりで 東北にも行った事がないんですよ。

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殆どしなくなりました (林の子)
2013-03-02 14:30:49
reihanaさん、こんにちは。
旅行は余り好きではなかったです。
山歩きしていた頃は、その行き帰りを使って貧乏旅行と言うか、ぶらり途中下車…。
だんだん出掛けることや、人混みが煩わしくなってここ数年は年に一度の栂池行き程度です。
沖縄本島より、波照間や与那国辺りでのんびり昼ねしたいなぁ~と時々考えます。
もう一度どうしても訪れたいのは、沖永良部島ですね。
48年も前になってしまいましたが、フリージアが一面に咲いていた光景を今も思い浮かべます。
青紫のルリハコベが雑草然として道端に普通に拡がっていました。
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わくわくしました。 (やく)
2013-03-02 15:53:42
林の子さんの写真とともに「オオイヌフグリ よもやま話」、読んでるだけで興奮しました。
こんなふうに、日が暮れるまで没頭してみたい。

自然の神様の意匠は、すべてが理にかなった合理的でしかも美しい最先端デザイン。
どんなデザイナーも顔負けですね。
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感動ものです… (林の子)
2013-03-02 16:55:09
やくさん、こんにちは。
植物画を描き始めたと聞いたのは、かれこれ30年になるでしょうか。
それでも実際にその作品に接したのはやっと10年過ぎた程度です。
写真とは全く違う、描いた人の意志がしっかりと詰まった絵にはいつも感動させられっぱなし。
そのお陰で、私も植物の写真を撮り、幾つもの勉強もはじめられた訳ですから、大袈裟に言えば「恩人」ですね。
オオイヌノフグリ一つで、何時間も時間を使えるなんて贅沢の極みですが、それくらいのゆとりはこの歳になると許される…と仲間内では大笑いしています。
理にかなったデザイン、理にかなった動き、それぞれの小さな仕組みを見ているとおおらかな気持ちでいられそうです。
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