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ソフトバンクに“漁夫の利”批判 ウィルコム再建の足かせ

2010-02-20 |  ウィルコム(PHS)



 ウィルコムが、昨年9月に事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きに入って以来、約5カ月の迷走を経て、法的整理に追い込まれた。

 しかも、“漁夫の利”で勢力を拡大しようとするソフトバンクを、官民共同出資の「企業再生支援機構」が手助けするという構図を疑問視する声は多く、再建の行方は不透明。


●勢力拡大を手助け

 ソフトバンクの漁夫の利は、企業再生支援機構が検討してきた支援方針が土壇場になって大幅に変更されたことにも現れている。

 当初は支援機構も、ソフトバンクとアドバンテッジパートナーズ(AP)とともにウィルコムに出資する方針だった。

 しかし、機構の第三者委員会などで「ソフトバンクの負担を軽減するための支援はおかしい」などと反対意見が噴出し、出資を断念することになった。

 最大120億円の融資枠こそ設定したが、「再建そのものは民間に委ねるべきだ」(幹部)と、支援機構も、ソフトバンクの勢力拡大に手を貸すことに躊躇しているのが実情。

 ソフトバンクは、ウィルコムが手がける次世代高速データ通信「XGP」を取り込み、自社の携帯事業を補完することを狙っているとみられる。


●機構の都合で分割

 だが、ソフトバンクの思惑通りに進むかは未知数。再建計画では、現行PHS事業を行うウィルコムと、XGP事業会社を本体から切り離す方向。

 PHS事業は営業利益を稼ぎ出しているが、XGP事業は今後、総額1400億円の設備投資が必要で、収益化するまでは長期戦となる。

 関係者によると、将来の事業でなく現在の事業に対する支援を目的に設立された機構にとって、XGP事業を支援する大義名分がなく、分割案を採用せざるを得なかったという。

 支援機構の都合による事業分割は、今後の再建の足かせとなる懸念がある。久保田幸雄社長は、「上場ができれていれば、全く違った状況になっていた」と無念さをにじませた。

 PHSは電磁波が携帯電話に比べて微弱で人体への影響が少ないことから、全国約500施設の医療現場で、6万人に利用されている。

 機構が支援に踏み切ったのは、その公共性に配慮したため。ソフトバンクの“漁夫の利”批判をかわし、透明性と公平性を担保した再建スキームを構築できるのか。

 ウィルコム再生の前途は多難。





【記事引用】 「フジサンケイビジネスアイ/2010年2月18日(火)


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