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ウィルコム、PHS反抗急ピッチ 割安サービスを拡充、スマートフォン投入も検討

2011-09-08 |  ウィルコム(PHS)



 ソフトバンクグループのPHS会社、ウィルコムが割安サービスを相次いで打ち出している。

 毎月の基本料とは別に定額料を払えば同社の加入者同士だけでなく、他社の電話への国内通話が無料になるサービスを昨年12月に投入。今年6月には複数台を契約した顧客の基本料を無料とするサービスを拡充した。

 今年2月以降、契約純増減数もプラスに転じている。PHSの反攻を追った。


●携帯・固定にもかけ放題

 昨年12月にスタートした割安サービスは、「だれとでも定額」。

 毎月の基本料のほかに同980円の定額料が必要だが、ウイルコムの加入者同士だけでなく、他社の携帯電話、固定電話への国内通話がいずれも無料になる。

 他社通話が無料なのは1回当たり10分以内の通話で、通話回数も月500回までだが、一般的な利用者にとっては実質かけ放題に近い。

 「若者を中心に人気で、一般の携帯電話やスマートフオン(高機能携帯電話)とPHSを2台待つ利用者も増えている」と同社の担当者は話す。8月24日には、だれとでも定額の契約数が100万件を突破した。

 割安サービスはそれだけではない。だれとでも定額に合わせて、従来は大学生などに限定してきた基本料半額(月1450円)の割安プラン「新ウィルコム定額プランS」の対象を一般に広げた。

 定額プランSとだれとでも定額を組み合わせた料金は月2430円。携帯電話でも基本料が月780円の割安プランが登場しているが、「毎月の通話回数が多い場合はPHSの安さがはっきり分かるはず」(同社)とみる。

 さらに、複数台を契約した顧客の基本料を無料とするサービスも拡充。

 今年1月からPHSを2台契約した顧客に2台目の基本料を無料とする販促策を始めたのに続いて、6月からは3台目も無料にする取り組みも12年3月末までの期間限定でスタートした。

 1台目でだれとでも定額に加入することが条件で2台目以降の端末費用や通話料は発生するが、端末費用は実質負担0円の機種があり、親が子供に緊急連絡用として渡すような場合は実質0円で利用できる。


●21カ月ぶり純増

 ウィルコムは過去の設備投資に伴う多額の負債が重荷となり、10年2月に会社更生法の適用を東京地裁に申請。現在はソフトバンクの支援のもとで会社更生手続きを進めている。

 それでも様々な割安サービスを次々と打ち出すのは、09年半ばから契約数の純減が長く続き、まず利用者を増やさなければ再建はおぼつかないとみたからだ。

 実際、昨年12月のだれとでも定額の発表会の席上、ソフトバンク取締役を兼務する宮内謙社長は「3カ月以内の純増を目指す」と宣言した。

 宮内社長の狙い通り、今年2月から21カ月ぶりに純増に転換し、5月には13年11カ月ぶりに純増数が10万件を超えた。8月末時点でも純増を維持している。

 一方で、安さだけではない魅力づくりにも力を入れている。年末・春商戦には女性向けなど10機種程度の新商品を投入する計画。

 会社更生法の適用を申請してからは既存端末の改良版や新色展開が中心だったが、米ユーティースターコム製端末の投入など珍しさのある端末も出し始めた。

 米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマートフォンの提供も計画する。

 昨年12月から人気モデルの佐々木希さんを起用したCMを大々的に展開。取扱店舗も昨年11月の2754店から今年3月にかけて4083店に増やした。

 料金から端末、イメージ戦略まで、どう独自性を打ち出すか。PHSの再生は正念場を迎えている。




【記事引用】 「日経産業新聞/2011年9月8日(木)/8面」


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