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ウィルコム、多難な再建 機構支援決定も複雑なスキーム

2010-03-15 |  ウィルコム(PHS)



 企業再生支援機構は12日、PHS大手ウィルコムへの支援を決定したと発表した。

 機構が手掛ける案件は1月の日本航空に次いで2例目。当初検討した出資は見送り、120億円の融資枠設定を正式に決めた。


●容易ではない道すじ

 支援機構の決定を受け、ソフトバンクと投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)、ウィルコムおよび支援機構の4社は同日、ウィルコム支援に関する基本合意書を締結した。

 ただ、公的支援を後ろ盾に動き出す複雑な再建スキームには未確定部分も多い。支援期間3年だが、その先の道筋をつけるのは容易ではなさそう。

 支援機構が同日開いた第三者委員会は、ウィルコムが約420万人のPHS利用者を抱え、医療、介護現場など公共性の高い通信事業を手掛けていることなどを考慮し、支援を全委員一致で決めた。

 当初は先月下旬に決める予定だったが、機構内で「民間企業のM&A(合併・買収)の手助けになる」など異論が噴出し調整が長引いた。

 決定した再建スキームは、既存株主の米投資ファンド、カーライル・グループ、京セラ、KDDIに対し、100%減資を実施。

 ウィルコムと分割新会社との間で次世代PHS事業「XGP」の譲渡契約を1、2カ月以内に結び、今夏をめどに既存PHS事業のウィルコムと、XGP事業の2社に分割。

 XGP事業を継承する新会社には、APが50億円(うち20億円は議決権を持たない優先株)、ソフトバンクが30億円をそれぞれ出資する。

 新会社にはこのほか、ソフトバンクが交渉中の複数社が計30億円を出資する見込み。


●ネット効率化で協力

 ウィルコムにはAPが3億円出資するほか、支援機構が最大120億円の融資枠を設定。金融機関などが1145億円を融資する予定。

 基地局設備は新会社が譲り受け、ウィルコムは他社の回線を利用してサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)方式で事業を継続する。

 ソフトバンクは、ウィルコムのネットワーク効率化などでも協力する。

 同日会見した支援機構の瀬戸英雄委員長は、出資見送りについて「なるべく民間の力を活用してほしい。足りない部分は手伝う」と述べた。

 支援は不要との意見については、「調整機能を果たすことも責務」と強調した。





【記事引用】 「フジサンケイビジネスアイ/2010年3月15日(月)」


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