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KDDI、「iPhone4S」発売で携帯電話加入者数急上昇 ブランド復権へ正念場

2011-11-15 |  KDDI



 KDDIとソフトバンクモバイルが米アップルの最新スマートフォン「iPhone4S」を発売して1カ月が過ぎた。

 スマートフォンで出遅れ、防戦一方だったKDDIは10月の携帯電話加入数が急上昇。移動体通信事業者の勢いはiPhoneに大きく左右されることが改めて浮き彫りになった。

 この勢いを一過性で終わらせず、本格的な反転攻勢につなげられるのか。KDDIの真価が問われる。


●KDDIの執念結実

 移動体通信各社の10月の純増減数(新規契約から解約を差し引いた数)で、KDDIは前月未比19万6900件の増。5ヵ月ぶりに2位に浮上した。

 通信事業者を変更しても同じ電話番号が使える番号持ち運び制度(MNP)の同月の利用件数は、6万8700件の転入超過で1位だった。

 iPhone4Sがこれらの結果をもたらしたことは、過去の傾向を振り返っても明らか。

 2010年6月末にソフトバンクモバイルが「iPhone4」を独占発売した際は、同年6月と7月の合計で11万3500件のMNP転入超過を記録。KDDIは同6万4800件、NTTドコモは同4万7400件の転出超過だった。

 MNPの数値はさまざまな要因で決まるものの、iPhoneの扱いの有無で明暗が分かれた点は現在と同様と言える。

 これほどまでに影響力の強い端末を手に入れることは、KDDIにとって悲願だった。田中孝司社長は就任以後、事あることに「auのモメンタム(勢い)回復が最重要」と発言。

 失われつつあった自社の携帯電話ブランドの力を取り戻すことに心血を注いできた。ソフトバンクモバイルの日本でのiPhone独占を崩したのは、KDDIの執念が結実した成果と言える。


●なりふり構わぬ姿勢

 なりふり構わぬ姿勢は、ほかの商品政策にも垣間見える。

 米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載スマートフォンに加え、米マイクロソフトの「ウインドウズ・フォン」対応端末も販売。

 8月にはマイクロソフトの最新OS、ウインドウズ・フォン7.5の搭載機種を世界で初めて発売した。

 「需要は未知数だったが、誰よりも早い新商材の投入が勢い回復のカギと考えた」(菊池正和KDDIプロダクト企画本部課長)と、顧客層の拡大にリスクをいとわない姿勢を示す。

 ただ、商品の品ぞろえを増やすほど営業やサポートの仕組みが煩雑になり、経営資源を柔軟に割り当てられなくなる恐れもある。増大し続けるトラフイック(通信量)への対処も悩みの種。

 勢い最重視の戦略でスマートフォン市場の拡大に追いつきつつあるKDDIは、市場をけん引する存在にまでなれるのか。正念場はこれから始まる。




【記事引用】 「電波新聞/2011年11月15日(火)/11面」


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